9.《ネタバレ》 まず、前作「モンスターズ・インク」がとても完成度の高い作品だったということが前提としてあると思います。前作が一つの作品として完璧と言っていいくらいにまとまっていたので、もし正当な続編を作っていたらきっと駄作になっていたことでしょう。それくらい前作を超えることは困難だと思います。でも、あのモンスターたちの世界をもう一度見てみたい。クオリティを下げずにもう一作作るとしたら、前日譚を描くことは正解だったと思います。今作ではマイクを中心に描かれますが、前作に出てた面々も登場していて楽しめます。ランドールは最初自信がなくていい奴を演じてて、強い奴らとつるみ出して高慢になっていったり(あと、メガネ取ってあの目付きになったり)。ロズも昔からあの雰囲気で、この映画のラストの方で実はすでにあの二人に目を付けていたり。前作で追放されてたイエティも自分で追放の条件言ってたり。「モンスターズ・インク」とのつながりを感じることができます。さて、肝心のマイクはというと、劣等感をモチベーションに変えて誰よりも努力していきます。そのマイクに周りのモンスターたちがどんどん巻き込まれていってドタバタが起きる、という展開はありきたりな感じではありますが、"恐がらせ大会"の最終戦での逆転劇がサリーの不正だったり、人間の子供たちが全然恐がらなかったり、マイクの恐がらせ屋になりたいという頑張りは結局報われません。それでも、最初自信過剰で他人を見下す嫌な奴だったサリー(ランドールと逆)を改心させ、親友・名コンビとなってその後モンスターズインクで活躍していることを考えれば、マイクの努力は十二分な成果を出していると言えます。夢はそうそう叶うものではないけれど、その過程で努力したことは決して無駄にはならない。MUを退学になってしまう二人ですが、ユニバーシティで様々なことを学べたと思います。学生生活、就職、夢・・・何だか他人事とは思えないです(笑) 【Nerruc】さん [映画館(吹替)] 7点(2013-07-08 17:34:19) (良:3票) |
8.《ネタバレ》 前作『モンスターズ・インク』の主人公コンビ、マイクとサリーの大学生活を面白おかしく描く内容かと思いきや、予想外な展開を見せてくれた。どきどきアクションは軽めだが、キャラクターの深みを感じさせる内容になっている。何をしても怖くない(=才能が全くない)が「怖がらせ屋になる」という夢に向け、努力と情熱を傾けるマイク、怖がらせ屋として一流の家柄の出身で才能に恵まれているが、努力と情熱が感じられないサリー、という前作とは二人の雰囲気が逆転して登場する。順風満帆で一流の「怖がらせ屋」になったかと思われた二人だが、紆余曲折の末、並々ならぬ努力を経てあの地位を確立していたのかと思うと深い。本作の前半では、アメリカの大学の学生クラブ(サークルとか学生寮)の生活も描かれる。そこでも家柄と才能によるヒエラルキーが描かれており、底辺の者たちは努力と情熱に見合った結果が得られない。後半はマイクとサリーが所属する落ちこぼれチームが、怖がらせ大会での優勝を目指して奮闘する内容となっている。最後は落ちこぼれたちが逆転優勝するのがお約束だが、ハッピーエンドでは終わらない。仲間を信じられなかったサリーの不正が判明し、すべての栄誉を失うのだ。自暴自棄となり「人間界へのドア」を抜けたマイクと、彼を救おうと追いかけたサリーの二人が、自分たちの世界へ戻ろうと奮闘する件が非常に感動的。互いの得手不得手を補い合い、本当の意味でのコンビとなってゆくであろう片鱗を見せるのだ。最終的に二人は大学中退となるが、ポジティブで前向きなマイクは諦めない。そしてエンディングでは単なるメール係として「モンスターズ・インク」に就職した二人が「怖がらせ屋」への階段を上ってゆく過程が描かれる。憧れの会社に就職できたのだからと、悲観せず努力と情熱を傾ける彼らの姿には非常に暖かい気分にさせられる。本作を観てから前作『モンスターズ・インク』を見直すと、さらに灌漑深いだろう。十分、良作ってことで。 【しぇんみん】さん [DVD(吹替)] 7点(2015-01-25 16:04:34) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 大ヒット作品のプリクエルとしては大変良く出来た作品だったと思います。第一印象はモンスター版『ナーズの復讐』。どちらも大学のイケてないフラタニティが学内トップのイケてる(脳筋)フラタニティに逆襲する話ですが、アメリカの学内のヒエラルキーを子ども向け映画で描いちゃう辺りは実にピクサーらしいセンスですね。 しかも100分という短い上映時間の中での鮮やかなストーリー運び、丁寧な伏線回収、サスペンスとアクションの絶妙な匙加減は素晴らしかった。 しかし個人的には気になった点が多々ある作品でもありましたので、以下に列挙していこうと思います。1.なぜマイクが少年時代の頃からあれだけ周囲から除け者にされていたか理由がない。それに"歯を矯正してる"="イケてない"って表現は正直陳腐だと思う。2.ウーズマ・カッパの面々の外面はともかく内面はそれほど掘り下げられない。最後のドンとスクイシーのお母さんの結婚話とかマジでどうでもいい。3.サリーの細工でウーズマ・カッパは優勝するが、インチキで敗れたRORへのフォローは一切無し。RORは本当に嫌な奴らだったけど怖がらせ屋としての実力は本物だった。そこを適当に流すのはちょっと許せない。4.マイクは結局怖がらせ屋にはなれなかった。個性を活かすカタチでサリーのコーチとして成功するんだけど、それでいいんだろうか?私はパーティー会場でトロフィーに写り込んだマイクの歪曲した顔が結構怖いので、その伏線を活かしてRORとの戦いで鏡か何か使って勝つもんだと思っていた。だって少年時代のマイクが遠足の時に憧れた怖がらせ屋のスーパースター、フランク・マッケイも見た目がゴツい訳では無くシルエットで子どもを怖がらせていたんだから。「個性を活かす」ということは本当に大事なことだけど、主人公には個性を活かして怖がらせ屋になって欲しかったな。でもそれじゃ前作の『モンスターズ・インク』に繋がらないか。 まあこれだけ重箱の隅をつついてしまうのは、基本のストーリーがキチンとしているからであると思うので、大変良質な作品であることは間違いないと思います。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-07-07 22:23:03) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 映像が圧倒的にすげえのに、脚本もすげえんだから、もう負けるわけがない。『ゴジラ』で泣けるのはゴジラが咆哮するシーンだ。『モ』でもサリーが全力で咆哮するシーンで涙がこぼれた。そのガオーーになるまでの、夜のキャンプ場宿舎での“恐怖演出”が、マイクがそれまで猛勉強してきたであろう「怖がらせる理論」の実践演習のようで、それはまさに、これまでの映画の歴史を紐解き、先人たちがどのように恐怖を描いてきたのかを回顧する、映画に対する深い造詣と愛情をみた。
【no_the_war】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-01-27 00:08:05) (良:1票) |
5.安定の面白さ。でも今作は子供向けというより大学生から社会人に向けたメッセージ性が強いかな。どことなくワゾウスキーに自分を見てしまった男子も多かったはず。だからちょっぴり切ない。爆笑田中さん、とってもよくできました。 【タッチッチ】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2014-11-28 16:00:24) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 前作をさほど好きではなかったので、その続編となればもっとつまらなく感じると思っていましたが、前作よりはるかに良い話になってると思いました。見かけに怖さのないマイクがどう怖がらせてみせるのか…前夜にサリーが元気なくマイクにハイタッチするシーンの心細さが上手いです。で、大会のクライマックスに期待したものの、大した怖がらせ方でもなく「ふうん…」と思っていたら、直後のちょっと想像しなかった展開! そして、湖のほとりのシーンはグッときました。「お前に分かるもんか!」そういうのきっとみんなありますよね…自分には無くて、努力しても手に入らなくて、持ってる相手を羨ましく思うし、それを持たない自分の苦しみなんか持ってる奴に分かるもんか! ってこと…。マイクの堰が切れた怒声に泣けました。だけど、自分にはないものを持ってる相手にだって、持ってないものはあり、コンプレックスや弱みがないわけじゃない。羨ましがられてる方だって「お前に分かるもんか、俺にだって悩みがあることなんて!」て言いたいのかもしれない。マイクの「なんで今まで言わなかったんだ?」の質問に対するサリーの答えのさり気なさもイイ。マイクがトロフィーに映る自分を見たとき「凹面鏡みたいなの利用するのかな?」とか思ったけど、肩透かしてくれたうえに、大人を怖がらせたアイデアが良かったです。 【だみお】さん [DVD(吹替)] 7点(2014-03-16 01:08:36) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 とにかく絵は抜群だ 最近のピクサー物の中で一番いいと思った ストーリーは前作をちゃんと憶えて無いので今ひとつピンとこなかった 良くも悪くも無い感じ 「そうそう学生時代ってこうだったよな」みたいな大学のノスタルジックな感じは良く出ている 大学の伝統行事で進路を決めるのは展開として安易な感じ 学長のキャラにも深みがない ウーズマ・カッパのメンバーひとりひとりのエピソードが少ないので彼らひとりひとりの友情が描き切れていない なのでラストの別れに今ひとつ感動がなかった やはり友達キャラひとりひとりに思い入れができなきゃだな エンディングで学長がマイクの才能を褒めるが退学は動かない この辺が若い二人の挫折を巧く描いた この手の映画で若い人の挫折を巧く描くのは珍しい この結末は本当に良かった、普通なら「じゃぁ特別に今回かぎりは」見たいな展開になるんじゃなかろうか この挫折があるからこそモンスターズ・インクでの成功がある事をしっかりと見せている希有な映画 しかし今ひとつ突き抜けたおもしろさには欠けていると思った 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-02-17 19:31:19) (良:1票) |
2.長い正月休みの暴飲暴食の狭間で唯一観た2014年の第一号は、愛娘のクリスマスプレゼントに購入した今作。 初めて愛娘と一緒に観る映画として買ったのだけれど、彼女との鑑賞時が初見とはしたくないというのは、映画ファンの我儘か。
前作「モンスターズ・インク」は、それまで若干穿った捉え方をしていたピクサーのCGアニメーションのクオリティーの高さに打ちのめされ、一気にピクサーファンに至らしめた個人的にエポックメイキングな映画だった。 それ故に、12年ぶりの続編である今作に対しては、高揚もした反面、「下手をうたなければいいけれど」と不安もあった。 特に、前作に対しての“前日譚”を描くという方向性には、「モンスターズ・インク」のストーリーテリングを踏まえると無謀とすら思えた。
ま、結果的にはそういう諸々の不安は一蹴されたと言っていい。
前作のキャラクターをそのまま復活させる代わりに、彼らの年齢設定を“学生時代”にまでぐっと下げることによって、ある種普遍的な人格の「成長」を描くことに成功していると思う。 大学生活におけるヒエラルキー、持って生まれた「才能」というものの明確な有無、が想像以上に辛辣に描きつけられるため、前作のファニー感と一転して明らかなビター感も印象的だ。
モンスターたちの世界という、アニメならではの世界観なのだから、いくらでも「夢物語」や「御都合主義」を描くことは許された筈だが、それらには決して逃げない崇高さ。 それが、世界一のアニメーションスタジオのプライドだと思えた。
ようやく2歳半の愛娘には、そんなこの映画の辛辣さなど到底理解できないだろう。 でも、それでいいのだと思う。 彼女がこれから歩んでいく人生の中で、幾度も幾度もこの映画を観て、自らの成長と共にいつか映画が描く本当の意味に気がつくのだろう。 それこそが幸福な「映画体験」だ。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-01-07 22:32:36) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 実はサリーがちょっと嫌なヤツだった・・・というのはきっとネタバレなんだろうね。 一方で会社じゃ報告書ひとつろくに提出できないお調子者のワゾウスキが、夢を叶えるために人の何倍も努力した少年だった。って、いい裏話じゃないですか。
どんなに努力してもどうにもならないものがあるけれど、夢は一人で叶えるものじゃないよ。 それに気づけた二人。世界中の子どもたちに希望を与えてください。 【denny-jo】さん [映画館(吹替)] 7点(2013-07-22 22:34:56) (良:1票) |