4.《ネタバレ》 確かに自分も第一幕が一番面白かったですかね。普通の映画は事件が終わるか主人公が死ぬか、などで終わるもの。けれど、現実だったら終わることなく「その後」が続いていくわけで、普通だったら描かれない「その後」のお話と思えば面白かったです。ジェイソンと養父が実父のことを思い出しながら、ダースベイダーのセリフを言っておどけるシーンが好きです(ある意味スターウォーズのような大河ドラマだしね)。そしてこのシーンで、ジェイソンが無意識にアイスクリームを食べていたのが、見てて凄く嬉しかったです。赤ちゃんのときに実父からアイスクリームを食べさせてもらったときのことがフラッシュバックします。本人は気づいてないけれど。こういう一風変わったスタイルの映画なければ味わえない瞬間だったと思います。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-06-06 01:04:31) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 悪くないんですけども。三世代ものドラマを描こうとするにはやっぱり尺がたりないですし、各パートの出来不出来が一本の映画作品の中にできてしまっては座りが悪くなります。 収まりが一番良かったのは一番手ライアン・ゴズリング編。ダメ父の悲哀を短い時間の中できっちり見せ切ったゴズリングの技量は大きいです。 2番手B・クーパーは脚本で割を食ってしまっています。生来の生真面目くんが狡猾に立ち回る政治人間になってゆく流れなど、30分やそこらで描き切れるわけないのです。だもんで、まあクーパーのキャラ変化が忙しい。おまけにこういう挿入話的なすき間にレイ・リオッタなんて特大級存在感の悪顔役者を投入すべきではありません。レイ・リオッタだよ?全部持って行かれたではないか。 3パート目のデイン・デハーンが輝きを放ったので、なんとか最後盛り返しました。良い血筋もそうでないのも三代は続かない、ということですかねえ。 タイトルは地名まんまだそうな。松林の向こうへと巣立つデインはかつて父親が居た世界で何を見るのでしょう。若者が旅立つ姿ってほんとに良いなあ、とラストシーンはなかなかにじーんときました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-04 23:09:24) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 移動遊園地の曲芸バイク乗りとして全米を転々としているルーク。久々に訪れた田舎町で彼は偶然、昔付き合っていた彼女と再会する。懐かしさから昔の思い出話に花を咲かせるルークだったが、その中で彼女の口から驚愕の事実を知らされる。知らぬ間に彼女は自分の子供を妊娠出産していて、彼はいつの間にか父親となっていたのだ――。考えた末、ルークは息子の側で過ごすためにサーカスの仕事を辞めると地元で仕事を捜すことに。たが、現実はどこまでも厳しく、ルークはろくな仕事にもあり付けずしかも彼女にはちゃんとした新しい彼氏が出来てしまう。半ば自棄になった彼は、手っ取り早く大金を稼ぐためにリスクを承知のうえで銀行強盗へと手を染めるのだった……。物語は、中盤でそんなルークの犯罪ドラマから、偶然彼を追うことになった正義感の強い警察官エイヴリーの警察内部の腐敗と戦う彼の物語へと紡がれてゆく。そして15年後、さらには彼らの子供たちへと物語の種子は受け継がれてゆくことに。まるでそれが親の代から続く彼らの宿命だとでも言わんばかりに。理不尽で残酷な現実社会でもがく親と子の苦悩と救済の物語をドラマティックに描いたクライム・サスペンス。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、久々にこんな骨太の映画に出会えました。2時間20分という決して短くはないこの物語の中に、15年に渡る多種多様な人々のドラマを見事に内包させ最後まで緊張感を途切れさせずに見せ切るこの監督の手腕は素直に素晴らしいと思います。豪華な俳優陣もそんな監督の要求に、プロフェッショナルを感じさせる素晴らしい熱演で応えていて見応え充分。第1部と第2部で主役を演じる、ゴズリング、クーパーもさることながら、第3部で主役を演じたデハーン君のまだまだ荒削りながら、見る者に鋭いナイフを突き付けるような圧倒的な存在感には圧倒されました。カリスマ性や実力、そして将来性をビシバシ感じて今後の成長が今から楽しみ。人間は結局、親や周りの環境から簡単には逃れられない――。それでも必死になってもがき、そんな宿命から逃れようとする人々の姿には感動せずにはいられません。久し振りに作品世界へとどっぷり浸れる良質の映画に出会えました。この監督の過去の作品もあらためて観てみようと思います。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-06-14 00:11:24) (良:1票) |
1.誰しも、本当は“真っ当”でありたい。 悪に染まることなどなければ、勿論それに越したことはない。 でも時にそういうわけにもいかなくなるのが、この世の常。 「正義」と「悪」、本来相反するものである筈のその狭間で苛まれ、持って生まれた血脈と宿命に対峙する人間たちの生き様。その行き着く先に涙する。
結局、与えられた「宿命」が何であれ、「行動」を選び取るのは当人自身であり、結果として何が起ころうとも何が起こらなかろうとも、それが“生きる”ということなのだと思える。
タイトル「The Place Beyond the Pines」は、「森林の向こう側」という意味。 薄暗く、すぐに出口を見失いそうになる鬱蒼とした茂みを越えて、彼らが辿り着いた場所は何だったのか。 終始“いやな予感”しかしない映画世界だったけれど、最後の最後、走り去って行く若き主人公の背中には、ほんのわずかではあるが、希望じみた光が見えたような気がする。
「ブルーバレンタイン」おいて、残酷で美しい男と女の身につまされる関係性を描き出したデレク・シアンフランス監督の才能は、今作によって疑いの無いもになったと思う。 前作同様に、残酷なまでに美しい映像美とカメラワークによって、俳優の演技力というよりも、描き出されるキャラクターの実在感を導き出して見せている。
前作に引き続きタッグを組んだライアン・ゴズリングの存在感は言わずもがなだが、一幕目のヒロインを演じたエヴァ・メンデス、二幕目の主人公を演じたブラッドリー・クーパーらも、他の映画では見られない“表情”を見せており、素晴らしかった。
ただし、個人的には、ライアン・ゴズリングよりも、ブラッドリー・クーパーよりも、三幕目の主人公を演じたデイン・デハーンが最も印象的だった。 作品の結論を成す三幕目なので印象度が強いことは必然だとは思うが、登場のファーストカットを見た瞬間にちょっと唸ってしまった。 昨年鑑賞した「クロニクル」で既にその才能は認識していたけれど、レオナルド・ディカプリオの「陰」の要素を爆発的に増大させ、今にも満ち溢れんばかりのバランスで場面を支配するこの若い俳優の存在感は、この先さらに特別なものになり得るだろうと断言せずにはいられない。
監督と、三者三様の主人公を演じた俳優たちを筆頭に、これからの映画界の根幹を成していくだろう才能が結集した、エポックメイキングな映画だと思う。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-19 23:23:18) (良:1票) |