5.《ネタバレ》 映画開始早々の1コマ。ブリーフ一丁で寝転がり(足はぴーん)、家族が居る食卓に背を向けてTVゲームに逃げ込む四十男(目だけはギラギラ)。で、タイトルは『俺はまだ本気出してないだけ』。これはなかなか高品質なダメ人間の生態が頂戴出来そうだと思いました。ところがどうでしょう。主人公はニート生活に入る前、きちんと会社員として働いていたようですし、超絶美人で性格マルの娘もいるじゃないですか。今の怠惰な生活に甘んじながらも危機感が無いワケではなく、漫画家になる目標を立て、きちんと完成品を仕上げる技量まで備えています(←このポイント大変重要!)。ギャンブルに狂うワケでもなく、酒や女に溺れるでもないシズオは、言わば優良ダメ男。店長、監督、大先生と周りから揶揄されているのに気付かずその気になる様は、『男はつらいよ』から綿々と受け継がれてきた“愛すべき馬鹿”の系譜と考えます。要するに、寅さんや釣りバカ感覚でお気軽に楽しめる人情喜劇カテゴリー映画だと思いました。『俺はまだ本気だしてないだけ』そんなチンケな自分への嘘で、生きられる今日もあるのです。“この人が演れば間違いない”堤真一、今一番信頼できるバイプレーヤー・石橋蓮司、美人警報発令中・橋本愛、強烈キャラ封印・生瀬勝久、ザ劇薬・佐藤二朗と配役は絶好調。フォーマットの完成度は高いので、シリーズ化十分イケると思います。デビュー目前で担当編集者が変わるなんてお約束で、続編は如何でしょうか。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-01-01 00:00:00) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 とにかく深刻にならないところがいいですね。新手の「寅さん」をみたような気分です。世の中、きっとこんな人にいて欲しいんですよ。こんな人もいて、そしてサラリーマンもかっこよくって、ねぇ。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-12-14 17:35:15) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 原作はちらっと試し読みした程度で、ほとんど未読。どうしようもなく情けない四十男・シズオとその娘、および父親を中心とした物語ではあるが、彼ら家族は見かけ上の主人公に過ぎない。シズオ家族にとって、最初から最後まで状況は何一つ変わっておらず、ストーリーは動いているようで全く動いていない。漫画家になりたいと努力はしてみるが、すぐに怠けてしまい、努力が報われずに終わるも、それを決して自分のせいだと認めようとしないシズオと、それに呆れる家族の繰り返しである。しかしこの作品において、シズオはむしろ狂言回しに過ぎず、彼の情けない姿を見せつけられることで、周囲の人間が変わっていくという物語の構造になっている。失敗すれば自分のせいでなく他人のせい、運が無いせいと現実から逃げ続けるシズオのような心性は、決して珍しいタイプではなく、誰でも心の一部に持っている要素でもある。それゆえに、失敗を運のせいにし、何度でも挑戦を続けるシズオの自由な生き方に、誰もが軽蔑しつつも憧れる。友人の宮田も、後輩の市野沢も、編集者の村上も、どうしようもないシズオの生き方に憧れて、自分を変えようと動き出す。しかし同時に誰もが「そうは言っても、シズオのようなダメ人間になってはいけない」と心に誓う。宮田の息子がつぶやいたように「シズオみたいになっちゃ嫌」なのである。だから、シズオの影響で自分の人生を変えようと動いた人たちは、誰一人シズオにそれを感謝することもない。シズオは相変わらず自分探しを続け、失敗を重ね、父と娘から呆れられる。そんな"変わらない"シズオが、自分の知らない間に周囲の人間を変えていく物語。「だから何なんだ」という感想もアリだけど、こういう映画もあっていいかも。堤真一・橋本愛・石橋蓮司の役柄は、結果的にはぴったりはまっていた。いい人過ぎる生瀬勝久、何考えているか分からない山田孝之も、結果的には好キャスティングでした。 【蛇蟇斎狐狸窟】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-06-16 15:41:56) (良:2票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 現代日本が舞台で、おっさんが主人公の、楽しいファンタジー映画。 では、あらすじ。主人公のシズオ(42歳だっけ?)は会社を辞め、漫画家を目指し、出版社に持ち込みを繰り返す。 シズオは漫画家を目指すが、他の漫画家の名前が出ないし、部屋にも漫画雑誌と単行本が全く無い(たぶん)。そこが、とってもファンタジー。だから良い(笑)。 シズオは、家庭でも、バイト先でも、出版社でも、どこでも楽しそうだ。いつも明るく、いつも元気がいい。悩むことはあるが一時的で、いつも楽しそうだ。 漫画にはハウツー本が多数あるだろう。だが読んだりしない。一冊も読まない。作風は全てオリジナルで、既存作品のマネなんかしない。映画もテレビドラマも観ない。小説も漫画も読まない。つまり、本当にオリジナルで描きたいという設定なのだろう。 映画『アフロ田中』を思い出した。 『俺はまだ』は楽しいファンタジー映画だ。 世間に怨み事なんて言わない。ただ、漫画家を目指す男。 愉快だから10点。楽しいのは良いことだ。 【激辛カレーライス】さん [DVD(邦画)] 10点(2018-05-13 18:43:07) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 確かに、シズオは最初から最後まで全然変わってないですね。それでいて、周りにいる人たちが変化していってる。それも良い方向に。シズオは駄目な人かもしれないけど、すっごい前向きといいますか、楽観的なんですよね。んで可愛い娘もいて、いろんな話出来る友人がいる。もうそれで十分じゃないかっていう気もするんですけど。まぁなんにせよ、そこそこ笑えました。夢でそれぞれの年代の自分とやり合うシーンが一番良かったかなぁ。シズオだけだとだらしない一人の男の話だけだけど、その周りの正義感ある山田孝之とか人の良い生瀬勝久とかのエピソードがなかなか良いですね。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2013-12-04 21:43:47) (良:1票) |