《改行表示》 4.《ネタバレ》 「こんなもんかぁ」って印象。もっとズッシリ重厚なドラマで見応えアリ、とかいう方向を期待していたのですが。 雄大な風景を捉えたダイナミックな映像はとても良いです。シネコンのハンパなサイズのスクリーンよりも昔の大劇場のような大スクリーンで見たかったな、ってくらい。 だけどドラマはどうも上滑りしているような感じがして。 謙さんの抱えた過去、殺しを重ねる事で背負った罪の自覚、それを変えた妻の存在、残された二人の子供への愛、そういったものがペラペラとしか伝わってこないんですよね。セリフで説明されはする、アイテムを提示したりもする、だけどそれが生々しい生の感覚に繋がって来ない感じがするんです。回想とか半端だからでしょうか? 回想シーンを入れるならちゃんと入れる、入れないなら一切入れない、なんか回想すべき事柄の取捨選択がイマイチ? で、佐藤浩市は作り過ぎです。こんな人いるわけ?って。もう娯楽エンターテイメント映画用のキャラ。 柄本明にしても國村隼にしても、いつものおっちゃんのいつもの演技なんですよね。その役の背景が透けて見えて来ない。 むしろ忽那汐里、小池栄子って女優の表情の方が印象に残ったかな。 映画として色々やろうとし過ぎていたのかもしれません。様々な人の感情を大量のセリフによって盛り込む事でやたら饒舌な映画となり、騒がしい混乱劇になってしまったようで。 もっとセリフもエピソードもキャラクターも削ぎ落として謙さんのストイックさを際立たせれば良かったんじゃないかと思います。 この監督の映画、どうしてもいつも饒舌ね。「雄弁な映像」ならばいいのだけれど。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-10-14 15:56:47) (良:2票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 うーん、かなり辛口です。残念ながら私にはダメだった。 「許されざる者―全ての者は許されざる者である」…… この極めて重くかつ普遍のテーマを映画という「娯楽」として、観客を気の利いたセリフでクスッとさせたり登場人物の渋さや凄みに魅了させたりしながらズシンと突き付ける、これがオリジナルが名作である所以じゃないのですか? なのにこのリメイク版では「(誰もが)許されざる者」というテーマはあいまいにされ、その娯楽性も辛気臭くあらかた潰してくれている。 佐藤浩市の署長はジーン・ハックマンの保安官の茶目っけをほとんど持たない悪党以外の何者でもないし、アイヌや女郎のシーンなんてまさに「許されざる者」ではなく「虐げられし者」。 もしオリジナルのような人間の多面性を描きたいのであれば、最下層の人々だからこそむしろしたたかな強さも描くべきでなないのでしょうか。 それが歴史の事実にそぐわないのだとしたら、もっと自由に描ける時代や舞台を探してもいいわけだし。 一見「オリジナルに敬意を表しながら丁寧に作りました」という格好なんだけど、全く別物を撮りたかったってことですよね、この製作者たちは。 その姿勢はクリエイターとしてアッパレです。「たとえいびつでもオリジナルを一点でも突き抜けよう!」そんな気概もなく製作されている、まず話題性(興業性)ありきのリメイク映画たちよりずっといい。 …… 結局のところ、出来上がった作品が今回はただ自分のツボにははまらなかっただけってことなんだろうけど、 それでも私はやっぱり言いたい… 重いテーマを重く描いたところで何の芸があるというのでしょう?と。 このリメイクは上質なエンターテイメントを、美しく情感に溢れているけどありきたりな悲劇にしてしまったと、 やはりそう思わずにはいられません。 【ぞふぃ】さん [映画館(邦画)] 4点(2013-09-17 17:11:19) (良:2票) |
2.偉大な作品をリメイクする時、必ず嘲笑の声が上がります。今回の挑戦もそうでした。しかし、完成された映画は原作よりも美しい風景が圧倒的なさみしさを表現できていたと思います。作品の病理と感情を際立たせていました。設定の置き換えも見事だったと思います。ただ、他は原作に到底敵いませんね。クライマックスの格闘シーンがかっこよすぎることに違和感を覚えてしまい、複雑です。オリジナルの作品として見ても、面白いかどうか…。それでも、今の日本映画界でもこれくらいのことはできるんだ、舐めるな!と宣言できていることは間違いないでしょう。監督の次作には多いに期待できます。ぜひ、オリジナルで。 【カニばさみ】さん [試写会(邦画)] 5点(2013-09-16 13:03:56) (良:2票) |
1.《ネタバレ》 とりあえず原作をDVDで復習してから見に行きましたが、びっくりするほどそのまんまという感じでした。かなり忠実に原作を日本にトレースしていますが、その意味で明治10年代の北海道というのは、ベストな選択だと思います(廃刀令に全く触れられてないのは気になりましたが)。手塚治虫好きにとっては同時代・同舞台の「シュマリ」という怪作も思い出しますね(あの作品にも「人斬り十兵衛」というキャラが出ていました)。さて私の場合、そもそもイーストウッドの原作をそんなに名作とは思っていない人間でして、忠実な再現であるがゆえに、ストーリーに関する違和感も、そのまま移植されている気がします。そもそも最初に傷ついた女郎は復讐を望んでいたのか、北大路は何のために出てきたのか…柳楽君の役を半アイヌという設定にしたのは、ちょっと面白いと思いました。ただ全体としては渡辺謙・佐藤浩市・柄本明という役者の実力で引っ張った作品で、話的には「どこまで忠実に再現してるのか」に気が行ってしまいがちなのが、むしろ残念。 【蛇蟇斎狐狸窟】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-09-14 20:00:13) (良:2票) |