《改行表示》 6.《ネタバレ》 オープニングは私立小学校の面接から始まる。ある一家が面接を受け、可愛らしい子どもが行儀良く質問に答えている。面接後、父親である主人公が「キャンプになんて行ってないよな?」と聞くと、子どもは「塾でそう答えるって教えられたから……」。父親は「お受験塾もよく考えるよなぁ」と単に感心している。この映画はそんな嘘の家族像から始まる。 そんなオープニングとは対照的に、映画のラストで主人公は何もかもをさらけ出して我が子の前に立つ。やっと本音を伝え本当の家族となった父子を観て自然と涙が出てきた。結局映画の始まりと何ら家族構成は変わらなかったのに、これだけ感動させられると言うのは矢張り主人公の描き方が優れているからだろう。 この主人公の嫌な感じの描写がとにかく素晴らしい。単に嫌味なヤツ、最低野郎などではなく、ギュッと絞ると自然に滲み出る様なヤな感じなのだ。例えば、樹木希林演じる義母に「(同じく子どもを取り違えられた夫婦が)どんな人だった?」と聞かれ、主人公は一言「電気屋だった」と答える。相手の人となりを見ず、相手を社会的地位や経済力で判断する主人公の感じの悪さが上手く現れている。また『ガリレオ』シリーズと同じく完璧人間を演じる福山雅治が実に良くその役柄に合っている。 「本当に父親らしいとはどういう事なのか?」というありきたりなテーマで、結論も「しっかりと子ども触れ合い、真剣に愛する」というありきたりな物なのですが、監督の手腕の高さで一級の人間ドラマに昇華されている。名監督に題材の平凡さは関係無いという好例だと思います。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-10-10 23:04:18) (良:3票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 知らぬが仏とでも言えば良いのだろうか。 言うだけ言って、選択を委ねる病院は無責任だ。 4人の親が全く異なる性格の持ち主であるのが面白い。 気の強い真木よう子、おちゃらけていてるリリフランキー、気難しい福山雅治。 そして静かに苦難を受け入れる尾野真千子。(個人的には彼女のキャラクターが一番すきだった) 様々な個性と考えがぶつかり合い、最後には子供だけでなく親たちも成長している。 一方で、斎木家の描写をもう少し観てみたたいとも思った。 リリー・フランキー演じる斎木雄大もなにかバックストーリーを持っているはずだ。 最後風呂の中で慶太くんが静かに見つめる雄大のタトゥーがそれを暗示している様に感じた。 そして、父になるというタイトルのセンス素晴らしい。 最後双方がどちらの選択を取ったのか観客の我々には分からないが、 どちらの選択をしても今後苦難が待ち受けているのは間違いない。 それでもどちらの家族も応援したい。そしてどちらの家族もその苦難を乗り越える事ができるだろう。 そんな風に思わせてくれるちょっと悲しいけど爽やかな映画だった。 【鈴木】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-08-27 19:26:35) (良:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 去年の6月にテレビで見たらしいがCMが多くて変なCM入りだったとあるので地上波かな。 プロットは割と単純で、出生時に取り違えになった男の子ふたり。 父親二人は、片方(福山)はエリートで多忙で嫌味、もう片方(リリー)は貧乏で奔放で暇。 ちょうどエリートのほうは、なんで自分の子供なのにこんなにできないんだ?と思っていたところ、という。 ここまではまあまあよくある話なんだが、ここからの味付けで本当に才能に差が出るなぁと。 まぁ、ただ、嫌味に見ればこれは逆算の映画かな、と。 最初にたぶん福山ありきで持ち掛けられた話じゃないかなと。 そこで監督は思いつくわけだ、そうだ、福山を嫌な役にしようと。 福山といえば大体いい役だから、そういう「役職」の「いやな性格」に、 その逆といえばで意表を突いたと言えるのがリリーだろう。 以降リリー=貧乏父さんというイメージが付いて回るわけだが。 なんにせよこの話の気持ち悪いところは、誰にでも共感できるところだろう。 子供を自分の子供じゃないと思うのは男親だけかもしれないが 子供がこの親本当に自分の親なのだろうかと考えるのは人生に一度くらいはあるだろう。 親がよく冗談で言う「(元から)うちの子じゃない」「橋の下から拾ってきた」の延長とも。 それにしても元々俳優である福山の演技はお世辞にもうまいとは言えないのが 元々漫画家だった演技のうまいリリーとの対比で、福山の演技も許せるかなぁと。 この見せ方も明らかに監督の計算だろうのは言うまでもないのでやはりうまい。 そして何よりこのタイトル、これは明らかに福山が演じる父親に100%かかっている。 リリーの演じるほうではない、というところだろう。 【にんじん】さん [地上波(邦画)] 8点(2019-08-21 03:42:27) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 母ではなく父に焦点を絞ってるのがよーくわかりました。母の持つ強さを父が持っていると思ったら大違いだよと。 福山のような父親はたくさんいると思いますし、仕事重視でもいいお父さんの方だと思います。でも福山はおおいに不条理な選択を迫られます。悪いのは子どもを入れ替えた看護師なのに。受け入れがたいことをなんとか受け入れようと努力してます。福山を悪者と思って映画を観ることはできませんでした。リリーフランキーは確かに良い父親です。でも2人の父親を対比するのは福山に悪すぎて…。 私も父親ですが、今となっては子どもに会わせてもらえない父親になってしまいました。離婚。もう最初からえぐられる思いで鑑賞しました。福山ー。私の方が悪い父親だよー。福山ー。がんばれー。福山ー。お前なりによくやってるよー。家族として機能してるじゃん。応援してるよー。林を作ってセミがやってくるまで15年もかかるんだよー。まだまだ大丈夫だよー。いけるよー。私なんてぐちゃぐちゃだったよー。てな感じで観ましたσ(^_^;) ラストはどうなるんでしょうか?すっごいところで映画終わるなと。 でも、ハッピーだと信じたい。 【JF】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-06-24 16:39:33) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 本当の子供とは血の繋がった子なのかそれとも共に過ごした子なのか、そしてどちらを選ぶのかを問う映画では決してなく、まさしくタイトル通り「父になる」、父とは何かを問う映画だったと思います。福山雅治はどちらの子にも失格の烙印を押され、父親の責任、意義、そして素晴らしさを子供達から学んだように見えます。こんな僕が父になっていいのか?でも、父になりたいと切に願う僕にとって胸を打たれるような映画でした。結局父とは何かは分かりませんでしたが、もしいつか我が子を授かう日が来れば生涯をかけてちゃんと我が子を愛せているのか、ちゃんと父として務めているかを、そして父になるとは?ということを自分の心に常に問うて生きていかなければと気持ちを新たにさせられました。 【うー】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2015-02-06 15:46:10) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 確かに映画は進化してる。役者の演技らしからぬ演技を引き出す是枝さんの演出。内容もとてもいい。最後までどうなるか、分からないストーリー。仮に子どもの交換だって、今の時代、なんか平気でやりそうな大人ばかりだ。だから、どんな最後でも、あ~そんなもんか、そんなもんだよね、って言ってしまいそうになる。映画が生まれてから、創られた映画の中で一生懸命、人間ってそうじゃないよね、って映画人がずっと叫んできたのに、時代はますます非人間的になってきてる。それでも言い続ける映画が、映画人が僕は好きだなぁ。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-04-26 09:56:29) (良:1票) |