5.《ネタバレ》 就職しなくちゃいけない。でも社会に出る覚悟もない。こんな時、ダメ人間が取る行動は決まっています。とりあえず寝ます。漫画を読みます。TVゲームをします。要するに現実から逃げるんです。選択の回避=自己責任の放棄。私も正真正銘のダメ人間気質ですので、その思考は痛いほど分かります。それがモラトリアムの真相。学生時代は社会的に容認された執行猶予期間と言えますが、卒業後も続けるのはご法度です。というか、物理的に無理なのです。通常は。世間体が、親が、そして何よりお財布が、許しません。そういう意味ではタマ子がモラトリアムを延長出来たのは、恵まれた生活環境にであったからに他なりません。実家住まいで3食昼寝マンガ付き。もちろん家事なんか手伝いません。それが許容されるのは、財政的ゆとりは勿論、父親がタマ子を子供扱いしていた証拠。そう、紛れもなくタマ子はガキでした。メンタル的には写真屋倅と同レベル(だから話が合う)。図体のでかい中坊でした。ラスト、父から家から出ろと言われ「合格」と返すタマ子。何生意気言ってるんだ?という話です。アイツは東京の母親の元へ逃げますよ。間違いなく。そこで“とりあえずの今”を続けるつもり。もっとも男親より女親の方が娘には厳しいもの。果てさて、何時までこの生活が続くことやら。真夏の棒アイスが溶けるのと、実は結構切羽詰った現状に気づくのと、一体どちらが早いでしょうか……。主人公は冴えない無職女子。少なくとも芸能界デビューの夢なんて無理に決まってるでしょ、と思わせる地味なキャラでなくては務まりません。これは意外と難役でした。当たり前ですが、映画女優全員がデビューを勝ち取った“選ばれし者”だからです。特に主演女優はそう。例えば北川景子、石原さとみ、橋本愛。彼女らにタマ子役は無理です。スターのオーラは簡単には隠せません。現役主演女優クラスでこの役にハマるのは黒木華くらいのもの。輝きを消してなお、(必要な)存在感は消さない。女優のお仕事でした。前田敦子にとっては大変な挑戦だった気がします。彼女が進むべき道が、明確になった一作だったと思います。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-12-30 18:59:00) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 なんも起きない(笑) タマ子で始まったのにタマ子の一言目の台詞が5分経っても6分経っても聞かれない(笑) 実はこのまま最後まで何も発しないじゃないかと思えてきたりもするこの数分。(笑) 名前呼ばれてトイレでキレる(奇声)(笑) でも確か、きっと始まって5~6秒もしないうちからもうタマ子のとりこになってしまってたですやん(自分。) だってワンカット目から可笑しさが充満しきっているんだもん(笑) 最後までずっと可笑しさこらえるのに大変だったもん(笑) ぐうたらりあむタマ子、別名、食う寝るりあむタマ子、 まさか70分ちょいで急激に終わってしまった時には寂しく感じてしまいましたもん。(淋。) ただし、最初に〃なんも起きない〃とは言ってしまいましたが、実は確実になんも起きている。父がタマ子に突きつけた〃 おまえ出ていけ 〃 と、そしてタマ子が二呼吸ほど置いて返した〃合格〃 という僅か二文字のこの台詞。これは夏以降に確実に何かが起こるという事。それは親子間に起きた革命、その瞬間を目撃してしまった私らは、そうです 今後私らは貴重な瞬間を目撃してしまった 歴史的証人となるのです なるのです。おもしろいです ぐうたらりあむタマ子。続編やるんだったらまた観ます。 【3737】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-08-07 23:51:45) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 父親からすればそうそう娘ってこんな奴だよって感じ 親に呼ばれてもすぐ動かないし自分の事を棚に上げて都合のいい事をいいやがって、いつも携帯ばっかいじってる 部屋も汚くって休みは汚い格好でグダグダ 親には不遜な態度を取る癖に外面はいい リアルな父親と娘の関係を描く 前田敦子もうまい しかし実際には父親の立場としてはリアルすぎて笑えない ヒロインもさほど成長しないし父親としても娘が実家を卒業するのも寂しい この話の骨子がよくわからなかった 全編グダグダな前田敦子を見て楽しむ映画だと思うが、父親としては「本当は父親が大事だ」的な所が無いので救いが無い 母親の態度もリアル過ぎて笑えない 食べるシーンがやたら出て来るがあまりうまそうじゃないとか父親がストーブに給油する仕草が必要以上に寒そうで可哀想とか、父親に対して妙に毒があるところが嫌いだ By高校生のバカ娘を持つオヤジw 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-07-29 00:26:59) (笑:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 実家でニート暮らしをするダメな娘と、その父親(離婚済み)のお話。ダメさ加減が絶妙。 1.家事手伝いもほとんどしないくらいだが、外面はソコソコ良い 2.近所のガキを子分みたいに扱うけど、実は同情されちゃってる 3.努力している姿は絶対に見られたくない 4.家から出ないことを甘すぎる親父のせいにしてる そんなたま子は、自分に働かない言い訳(4)を作っていたのに、あろう事か親父の再婚という危機が訪れる。この時の、先行き不安を表す曇天模様は素晴らしかった。 なおかつ、ずっと変わらないはずだった親父が成長したことで、言い訳が封じられたタマ子は観念するのである。 「きっかけを待っていたが、予想より早かった」だけの話だったのだろう。 長らく堕落しちゃうと、いきなりキリっとするのも恥ずかしいものだ。そうなると、自分から努力して失敗するところを絶対に見られたくないっていう気持ちもよくわかります。 親父の成長をきっかけに、娘の成長を描いた作品でした。ニートを抱えている親御さんに、まずあなたから変わろう!というメッセージなのかもしれない。 ところで、前田敦子の臆面もなく不細工顔をさらせるところは大きな武器である。なんだかんだで、カワイイ時はカワイイので、キャラクターとして実に個性的で魅力的。名女優の要素を彼女は秘めていると思ったのでした。 それにしても、近所のガキとのやりとりは最高だったなー。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-02-23 12:28:50) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 父が写真を見て笑いだすシーン、その写真が一体どんなものであったのかはもうちょっと後になって明らかになるわけで、こちらは映画を遡って思い返す事で父の笑いの意味を理解できるのですね。 そこに焼き付いたのは無愛想で横着でだらしなくて無表情なタマ子が、外に出るため、状況を変えるために作った精一杯の笑顔。 ただ食べて食べて食べて続いてゆく日常。そのユルさと、心地よさと、そしてそれじゃダメだって意識と。 家では勝手気まま(に見える)なタマ子が外では卑屈になったり、心を許した人間に対しては饒舌になったり。胸に色々抱え込んでいる様子が伝わってきて、短い上映時間の中に細かく織り込まれた「生」が楽しく切なく溢れ出します。 エピソードを演技を上手にすくい取り、タマ子の何気ない日々が等身大の存在を形作り、1つ1つを思い返すごとに人間タマ子が見えてきて、どんどん愛おしい映画になってゆきます。 前田敦子がとても魅力的にタマ子という個性を創造していて、女優としての彼女にとってとても貴重な一編として刻まれたのではないかと思います。 見終わった後からじわじわと染みてくる印象深い一編でした。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-04 21:24:36) (良:1票) |