4.貧しい農村の中でひときわ輝く清楚な美少女の中に、苺を食べるシーンや口笛の練習のシーンで強調された唇の描写で女を映し出してゆく。はるか昔のことを「異教の時代」と言うこの作品はキリスト教世界に被われている。そしてその世界が一人の女を悲劇へと導く。牧師の要らぬ一言が悲劇の発端となり、私生児には洗礼を受けることが許されないだとか秘密を持った結婚は許されないだとかという戒律に、またその戒律に従う信仰心に翻弄されて悲劇の道を転がり落ちてゆく。エンジェルがテスの告白を受け入れることができなかったのは、単なる嫉妬心以上にキリスト教世界の中で生きているという大前提があったからではなかろうか。宗教でもなく合理主義でもなく愛を選んだテスが行きつくところがストーンヘンジという異教の遺跡というのが皮肉である。太陽を神と崇める石の遺跡の前で太陽が昇る前に連行されてゆくというのも二重の皮肉だ。幸薄いヒロインを演じたナスターシャ・キンスキーの純朴な中にも意志の強さを漂わせる瞳が印象的。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-04-20 16:35:44) (良:2票) |
3.トーマス・ハーディの原作小説をポランスキーが映画化、ということで原作にはかなり忠実に作っています。19世紀イギリスの美しい風景、そしてヒロインをN・キンスキーが演じている事が原作の雰囲気を十分に伝える事に成功していると思います。原作の名シーンもしっかりおさえてありますし。結局、彼女にとって一番の悲劇は自分が貴族の一族だった、ということではないでしょうか。ただ、原作に比べて惜しい、と思うところは妹のライザの存在がまったくと言っていいほど無視されている事。原作ではテスが最後ストーン・ヘンジでエンジェルに死後、彼女と結婚するよう頼む貴重なシーンがあったのです。それともう一つはエンジェルの苦悩のシーンがないこと。あれがないせいで、この映画は原作を知っている私にとってもエンジェルがよけい身勝手なだけに思えてしまいました。ラストもどうせならエンジェルが義理の妹のライザと去っていくシーンで終わったほうがよかったです。そういうことで、評価は7点にしときます。 【マイカルシネマ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2004-10-24 10:44:35) (良:1票) |
2.女遊びをしていた過去があるエンジェル。テスの真摯な告白を受け止められなかったエンジェル。路頭に迷うと知ってながら、テスを置き去りにしたエンジェル。彼を慕っていた別の女に、海外出稼ぎに同行しないかと口説いていたエンジェル。病気になってノコノコ戻って来てはテスを捜すエンジェル。人畜無害を装ったこのボンボンは、力と金で女をモノにするアレック(少なくとも彼はテスとその家族の扶養実績あり)や、家名に溺れテスを売り飛ばしたも同然の父親よりもタチの悪い、この物語最大の科人だと断定し、21世紀の法廷は、テスのかわりにエンジェルに絞首刑を命ずる。 【トバモリー】さん 5点(2004-03-29 18:20:40) (笑:1票) |
1.大っ嫌い、生理的に受け付けない。こんな前々時代的な原作を、わざわざ映画にして残さないで欲しい。映画の方も退屈な絵画的「美」と、ナスターシャ・キンスキーの絶頂期の「美」を、ただ冗長に映してるだけ。「美人は3日で飽きる」って諺を知らんのか? 演出も甘いし解りにくい。袋叩きを覚悟で断言、これは駄作です。衣装担当者とロケハン担当者とナスターシャの「美の記録としての価値」に1点ずつ、3点献上。 【sayzin】さん 3点(2002-09-01 00:32:16) (良:1票) |