《改行表示》 9.《ネタバレ》 2時間を超える上映時間で、特に大きな事件がおきるわけではない 日常が淡々と描写されているだけだったにもかかわらず、退屈さや間延びした感じもなく 一気に見てしまいました。全体的に流れるノスタルジックでほのぼのとした雰囲気は嫌い ではありません。ただこの手の題材(戦争のあったレトロな時代を現在において回想する パターン)がこれまでも多く用いられていて新鮮さがないことや、ここぞという盛り上が りの場面がなかったこと、そして戦争の時代の暗さや悲惨さがあまり描かれていなかった こと、などから、今一つ心に残るものもありませんでした。 ちなみに他の皆さんのコメントでは指摘されてはいないのですが、私が素直に感じたのは、 タキさんは時子様を強くお慕いしていたのではないか(言ってみればレズに似た感情を持 っていたのではないでしょうか)というものです。 そうでなくては、時子は女学生の頃から同性のあこがれの的だった、と松岡睦子がタキさん に語る意味ありげなシーンが不要になってしまうのではないでしょうか(他にも坊やの マッサージをしていて時子がタキの手が暖かいといって握ったことに対する、タキのぎこち ない反応のシーンとか)。タキさんが手紙を届けなかったのは、(小中先生に言われた「夫 婦の仲は女中さん次第だ」という言葉に従って)、ひたすら奥様をお守りしたかったから、 そして、空襲で亡くなってしまった奥様の唯一の直筆の手紙を形見として最後まで持ってい たかったからでははないか、そんな風に思いました。 【キムリン】さん [地上波(邦画)] 6点(2015-03-02 21:50:05) (良:5票) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 基本的なミステリーが上手く機能していて、タキが晩年まで何故あれだけ苦しみ続けたかが氷解する手紙のエピソードは良かったです。その胸中を想像すると「私は長く生き過ぎた……」の言葉がとても重い台詞に思えます。一種の愛憎劇はとても良く出来ていたかと。 でも其処此処に山田洋次独特の演出に驚いてしまった部分もあります。特に驚きすぎてちょっと笑っちゃった場面は、雨の日に時子が板倉にキスをした時に雷が「ピシャーン!!」と轟いた所です。その演出はギャグだろう。 それから終盤の妻夫木演じる若者のエピソードは蛇足と思えました。タキの遺品から細長い手紙が出てきた時点で、観客はタキが時子の手紙を渡さなかったことは明確な筈ですが、その後に妻夫木君に「おばあちゃんは手紙を渡さなかったんだよ!」と驚かせる。多分大多数の人は「もう判っとるわ(笑)」となったんじゃないかなぁ。手紙をチラと見せてエピローグでも十分だったと思います。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 6点(2014-02-20 23:11:31) (良:2票) |
《改行表示》 7.黒木華が出ているという理由だけで観た。彼女の演技はとても良かったものの、ストーリー自体がつまらない。もっと先が気になるような物語だったなら飽きずに観れたと思いますが、そこまでの力はなかったですね。 丁寧に作られた良い映画だとは思いましたけど。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-06-03 23:41:12) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 山田洋次監督で不倫物、しかも戦争の話が絡む中での不倫とは異質である。仕事だから、会社命令だからといって見合いをする気がない者に無理やり見合いさせようとする時子の亭主が見ていて腹が立つ。そんな夫を尻目に夫の部下である板倉に想いを寄せる時子とその事を知り、時子の夫に知られないようにとするタキ演じる黒木華の演技が上手い。話の内容からどろどろしてもおかしくないのにさほどどろどろした感じを受けないのは山田洋次監督作品だからといっても良い。ミステリアスな世界、そんな世界を丁寧に描いていて普通に見る事が出来る。そんな中で賠償知恵子のナレーションが説明のし過ぎでそこまでやらないといけない?それは泣く場面もです。ストーリーだけ見て普通に感じ取らせて欲しい。そういう不満を感じての点数です。 【青観】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-03-06 12:08:50) (良:1票) |
5.花子とアンで実力派の主役吉高仲間さえ凌ぐ脇役黒木華の驚異の表現力と存在感に度肝抜かれていた思いがあって、それをふまえて今作観賞。同じくする表現力を既に魅せておりこの段階でもう素地があったんだなと。決して派手さとか刺激の場面が多い作品ではないけど、それぞれの小さなエピソードが丁寧に描かれておりそれぞれが下地伏線となってラストまで感動を織りなす、山田洋二らしい作品だった。田舎から女中として出てきて、誠心誠意尽くした女性の心情をあまりに見事に黒木が魅せた。彼女あっての作品。世界が認めたのも納得。日本らしい秀作です。 【タッチッチ】さん [地上波(邦画)] 8点(2015-03-02 08:18:06) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 結構いい話なのに、あまり引き込まれず感情移入しなかったのはなぜだろう。 安定感は感じるけれど、どこか教科書的な作りというか。 しきりに郷愁を誘うようなレトロな演出。 そうしたあざとさが気になったのかもしれないし、板倉に惹きつけられる魅力やエピソードが足りずに、タキ、時子、板倉の恋愛感情の絡みがいまひとつ伝わってこなかった気もする。 監督に反戦へのメッセージがあって、それをさりげなく表現しようとしているのだけれど、わざとらしくてくどく感じるところもあった。 わかりやすくするのはいいけれど、説明的にすぎたような。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 4点(2015-02-04 22:59:02) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 女中タキが、奉公先の平井家の時子夫人と、平井の会社の若手社員である板倉の不倫を目撃する話。徴兵検査丙種合格だった板倉にも召集令状が届き、時子が会いに行くのをタキが世間に関係が知れるからと止める。その代わり自分が手紙を届けるからと手紙を書かせるが、届けなかった。その後、タキは田舎に帰り、平井夫婦は空襲で鬼籍に入る。満州事変、支那事変、大東亜戦争と戦争が拡大しても、戦争なんてどこか他人事だった時子とタキの明るい暮らしぶりに新鮮味がある。この暮らしが戦争の拡大により崩壊していく様子を描き、反戦の意を伝えている。但し、低予算の為、当時の東京の様子は写真以外、一切出て来ない。空襲もおもちゃによる特撮で、セットも最小限。こじんまりとした映画だ。タキは時子への贖罪のためか、生涯結婚しなかった。そして、自分は長生きし過ぎたと号泣する。悲しい物語だが、感涙を催すほどの感動はなかった。理由の第一は、タキの不倫の理由が不明なことだ。子供に恵まれ、何不自由ない暮らしをして、夫に不満があるわけでもなく、板倉が美青年でもなく、人妻の理性を狂わすほどの漁色家でもない。不倫に走る必然性がないのだ。時子が板倉にどうしようもなく魅かれる理由を描かない限り、観客は時子に同情できないだろう。次に、タキの手紙の秘密だが、これには重要な意味が無いと思う。タキが板倉に手紙を渡そうが、渡さなかろうが、板倉は出征したし、時子は爆死した。板倉は翌日平井家を訪れているので、最後の別れも果たしている。手紙の内容もただ来てくださいという至極単純なのもの。手紙は秘密を解く重要な品目のように扱われているが、実は大勢に影響を及ぼさない程度のものでしかない。完全な肩透かしである。従って、タキが生涯結婚しなかった理由に成りえないのである。このような秘密を演出する場合、渡さなかった所為で誰かの人生が大きく変わるとか、誰かが非常な不幸に陥るというような展開にしないと均衡が取れない。板倉が「僕が死ぬとしたら、タキちゃんと奥さんを守るためだからね」とタキを抱きしめるが、これは頂けない。当時の人は決してこのような直接的な物言いはしないと思うし、タキと板倉の間に恋愛感情があったと誤解される恐れがあるからだ。タキが、板倉が描いた赤い屋根の家の絵を所有していた由来が描かれていないのも不親切だ。戦争批判を含んだ“毛色の変わった不倫劇”で終っている。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-12-05 23:39:59) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 役者に言わせなくてもわかります、 壊れるところを見せなくても察する事はできます、 泣いてる姿を見なくても悲しい事は伝わります、 現代の若者をお年寄り好みに改変しすぎです、 板倉さんに魅力がなさ過ぎです、 映画終盤の絵本からおじいちゃんまでのくだりはすべて不要です、 同じ役者を流用しすぎです、 要は、観客をみくびりすぎです。 映画の完成度は松と華でかなり救われています。 【aimihcimuim】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-10-12 01:38:02) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 中島京子さんは、書店の棚にささってた「イトウの恋」に呼びとめられて以来ずっとファンで、本作も出版直後=受賞ずっと前に読んでて映画化が決まったときから期待してました。で、正直なところ、再婚で恭一ぼっちゃまが連れ子であること、そして旦那様の性癖の件が設定から外されてしまい、単に時子奥さまの「姦通」話になってしまったことがとても残念です。昨今のようにギスギスした物言いがネット等で横行する世の中になりますと、これらの緩衝がなくなってしまえば、感情移入できない人たちがかなり発生してしまいますから。ここが減点理由。物語のなか、言葉遣いは完璧だったと思います。たとえば黒柳徹子さん、向田邦子さん、野際洋子さん、下重暁子さん、そして小野洋子さんなんてかたたちが過ごした戦前の東京の「山の手」と「郊外」が見事に再現されてましたね。それから、タキを演じた黒木華って見事なくらい昔の顔。さて、ラスト近くの絵本「小さいおうち」のシチュエーションで、さりげなく左に見切れてディスプレイされてた「風が吹くとき」に、山田監督の強いメッセージが込められていると思います。台詞にも、昨今の情勢に対するメッセージが散見する箇所がありますしね。そうそう、満男とさくら、純と蛍が同一画面に出ないようにしたのは正解。今回は違うとわかってても一緒に出てくると前のイメージに引っぱられちゃうからね。 【shintax】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-01-27 21:17:44) (良:1票) |