《改行表示》 4.《ネタバレ》 ビリー「人間の感情は芸術品と同じ。偽造できる。まるで本物に見える。だが、偽りだ。」 小人症の女「231」 オールドマン「彼(機械人形製作者のヴォーカンソン)について卒論を書いた」 観終わってから考えると、あれこれ伏線が張り巡らされている事に感心しました。 考えてみると、真作を贋作と鑑定し、安価で仲間(ビリー)に落札させていたというのだから、バレれば失業どころか、刑務所送りになっても仕方がないです。 しかし、偏屈な主人公がようやく巡り合えた恋と、長年収集してきた絵画の双方を一度に失う幕切れは哀れでしたね。 「どっちか一方にしてやれよ オイ!」などと思ってしまいました。 一気に歳をとってしまったようでした。 まさか、主人公以外の主要登場人物が全員グルとはね‥‥‥ その点は、マッチスティック・メンにも似てるけど、あちらはまずまずのハッピーエンドでした。 個人的には、ハッピーエンドの方が好きですね。 しかし、ビリー一味は、あの盗んだ絵画、どうやって売りさばくのでしょうかね。 まぁ、オールドマンも盗難届けは出せないのだけどね。 【TerenParen】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-12-10 23:06:50) (良:2票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 ニューシネマパラダイスの監督の作品ということで、心温まるヒューマンドラマだと勝手に思い込んでいたら・・・(笑) でもやっぱりこれは、単純な犯罪映画じゃなくて、ヒューマンドラマだと思います。 絵が全部盗まれたシーンでは、「女に免疫のないオタクなおっちゃんが、若い娘に入れ込むとロクなことにならないよなぁ・・・」程度の感想しかありませんでしたが、でもラストまでのシーンで、印象は変わりました。肖像画の女性しか愛せず、生の女性とは目も合わせられないような男が、クレア(偽)のおかげでようやく、男として最高の悦びを得ることができます。最初は、哀れな様子を見てかわいそうと思いましたが、彼にとっては「The Best Offer」だったのでは? アガサ・クリスティの「地中海殺人事件」で、女優と一晩いい思いをした金持ちがめちゃ高い宝石をプレゼントした後で捨てられ、その男に言ったポワロの「男女の秘めごとに値をつけるのですか?」というセリフが、ふと頭に浮かびました。 盗まれた絵よりも、思い出されるのはクレアと愛し合った瞬間のことばかり。彼にとって失ってショックだったのは、絵ではなくてクレア。そのことに気付いただけでも、この人は幸せなのかも・・・。 草食系とか呼ばれてるアホ男子や、アニメキャラやフィギュアしか愛せないオタク君が、ナマの女を知ってしまったら、このおっちゃんと同じように、コロッと弄ばれてスッテンテンにされるんだろうなぁ・・・。 この映画は、そういう人に向けての警鐘?(笑) それから、「貞節は最も異常な性的倒錯」というフレーズには、激しく同意です♪ 【ramo】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-17 16:11:12) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 初回はミステリーなのか恋愛映画なのかサッパリわからないというモヤモヤ感で、私たちをもてなしてくれる。観終わって、ルパンと不二子に狙われた被害者の話だと気付いて震えた。上手く行き過ぎだろうとは思うが、上手く行った事例だから映画になったのだと納得した。ロケ地の屋敷を見ながらバーで飲みたいです。 【DAIMETAL】さん [DVD(吹替)] 8点(2014-08-31 11:34:18) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 まずは名優ジェフリー・ラッシュの時に凄味を見せる、時に弱味を見せる名演を堪能しました。ラッシュが演じる男は確かな目を持つ美術品の鑑定士として富を築いた男。その一方でずっと女性と縁が無く1人で生きてきた孤独な男でもある。彼の恋愛の相手は秘密の隠し部屋の壁一面に飾られた女性の肖像画。 そんな男が受けた、電話のみで決して顔を見せない女性からの鑑定の依頼。ここから静かにドラマが動き出します。どこにいるかも分らない依頼人。しかし、ついに依頼人の居所を突き止めるが、彼女がいる部屋の扉は開かない。次第に顔の無い依頼人に恋をしてしまう男。しかし鑑定士だけでなく、見る者にも声だけでその姿を見せない。 彼女は何者か?その容姿は?謎の依頼人の女性に興味が尽きないミステリアスな前半。鑑定士と見る者に少しずつ彼女の姿を見せ始める緊張感のある中盤から、後半の孤独な鑑定士に幸せが訪れるロマンス、といった展開の組み立ても見事。 しかし、トルナトーレがただ幸せなロマンスを撮るとも思えなかった。最後には思わぬ落とし穴が待ち受けています。彼が初めて恋した1人の女性。更にはビリーにロバートといった登場人物と鑑定士との関係。どんな贋作にも騙されなかった彼の、生身の人間の真贋の見極めの結末は・・・。最初はたった1つの部品。そこから少しずつ輪郭を現していく機械じかけの人形、屋敷の向かいのカフェの小人・・・鑑定士と依頼人の周囲にあるものや登場人物も印象に残る哀しき男の人間ドラマ。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-12-20 21:05:15) (良:1票) |