1.《ネタバレ》 山田洋次監督以外での渥美清を見る。監督は文芸映画を上手く撮る中村登監督。何だか初めのうちはこの組み合わせってどうなのかな?て思ったけどやはり渥美清は面白い。渥美清がまんま寅さんみたいで面白い。桂小金治とのやりとりは本職の落語家を喰う程、渥美清は本当に喋るだけで落語家に匹敵するほど面白い。この映画は失業者に対して、けして暗く描いてない。寧ろ馬鹿馬鹿しさ満載で失業者に対する希望みたいな感じを前面に押し出して描いてる。この映画が描いてるのは仕事が無く、仕事を失って、絶望的になる人に対しても何とかなるさ!みたいな前向きな感じで描いてるので、普段仕事で忙しくて疲れてる私の様な人も見てるだけで嫌な気分がどこか遠くへ消えてしまいそうになる。またとにかく出てくる俳優の顔ぶれだけでも凄い。渥美清以外でも伴淳三郎に伊藤雄之助と個性派勢揃い。女優に目を向けると若き加賀まりこの可愛いさに目を奪われる。そんな中にあって渥美清の面白さは最高だ!渥美清を見るだけで普段の疲れが消える。こんな俳優はそうはいません。どんな監督と組んでも面白い渥美清は日本映画最高の名喜劇役者だと改めて思うと同時にこんな面白い人を失った日本映画界の損失の大きさを感じずにはいられない。はっきり言って傑作、名作とは言い難い程、滅茶苦茶な映画だけど渥美清が好きな人、寅さんが好きな人なら間違いなく楽しめる筈です。
【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-03-05 20:35:49) (良:1票) |