5.前作「ザ・ファースト・アベンジャー」は、当時公開間近だった超大作「アベンジャーズ」の布石であり前日譚である要素が強く、単体としては娯楽映画の魅力に欠けていたことは否めなかった。 ただし、「前日譚」と割り切っている以上、この映画のあり方はまったく問題なかったと今となっては思うし、「アベンジャーズ」でのキャプテンの存在感を目の当たりにした後では、この一連のマーベル作品シリーズの中でも極めて重要な作品だと思える。
そうして、再びマーベルの“大祭”第二弾を控え、満を持しての続編。前作と同様に布石、前振り的な要素は大いにある。 しかし、今作は前作と比較すると圧倒的に主人公キャプテン・アメリカのキャラクター性が完成している。
彼が“アベンジャーズ”の中で最も「地味」なキャラクターであることは言うまでもない。 純粋な戦闘能力としてのタイマンなら、ソーは勿論のこと、アイアンマンやハルクの足元にも及ばないだろう。 ただそれでもチームのリーダーは、“キャプテン”を置いて他にいない。 それは、彼の最大のストロングポイントが、決して人体実験で生み出された超人的パワーなどではないからだ。 キャプテン・アメリカとなる前の一兵卒スティーブ・ロジャーズ本人が持つ揺るがない「正義感」こそが、このスーパーヒーローの最大のストロングポイントであり唯一無二の武器なのだ。
そのキャラクター性は、あまりに理想主義的で、あまりに青臭い。 でも誰も彼のことを否定などできない。
エネルギー破など出せず、飛ぶことも出来ない。 けれども決してひるむことなく、ひたすらに走り、ひたすらに盾を投げつけ、ひたすらに投げた盾を拾い、ひたすらに敵を叩く。 その姿を見て、どのヒーローも本質的な部分において「彼には敵わない」と思うのだろう。
勿論、弱みを突かれてのピンチには事欠かない。 ただしいつも彼には強力な仲間がいる。 真面目さが仇になるとあらば、ブラック・ウィドウが世渡りと危険回避の巧みさでフォローするし(あとガールフレンドの斡旋も)、空が飛べないとあらば、新戦力ファルコンが翼を与える。
自らが勝利する必要はない。結果として正義が悪に打ち勝てばそれでいい。 それが、キャプテン・アメリカというヒーローなのだ。
そういうことを、きっちりと“生真面目”に映し出すこの映画が面白くないわけがない。
(2018.5.12 再鑑賞)
この「キャプテン・アメリカ」の第二弾が、MCUの本流ど真ん中を紡ぐ作品でありながら、映画単体として非常に高評価を得たのは、ポリティカルサスペンスとしてのテーマの鋭さに尽きる。
即ち、「正義」を司る組織として存在していた“S.H.I.E.L.D.”が、実のところその中核的なところから「悪」によって動かされていたという、あまりにも虚無的な事実。 もはや、何が「正義」で、何が「悪」なのか。その言葉の意味すら曖昧になり、濃く深い霧の中に入り込んでいくような感覚。 そしてそれが、荒唐無稽なフィクションである筈の映画世界を超えて、現実世界の実情とリンクしてくるという絶望感。
ただ、そんな混沌とした状況だからこそ、我らがキャプテンは最後の最後まで、「親友」を見捨てることが出来なかったのだとも思う。 その感情は、この無慈悲な世界において、あまりにも不確かで危ういことだけれど、人間に唯一残された希望のようにも思える。
それは、70年の時を経て、変わらぬ愚かな世界の混沌の中で、「正義」の意味を背負い続けるヒーローが語るに相応しいテーマ性だ。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-04-28 00:01:37) (良:3票) |
4.MCUに疎かったので時系列で順に観ていっているところですが、これは出色の出来では?とにかく隙がない。
まずアクションが良い。撮り方も良くて、きっちり見せるところとカメラワークでごまかすところの配分が絶妙。全体的にマーシャル・アーツ的で全員同じ競技やってるのか?という感はあるが。西洋カンフー映画?
この映画は無駄な説明をしないのが小気味良い。僕みたいな門外漢には理解できないところもそりゃあるが、いわゆる映画的表現てやつで、絵と演技で「これは何かあるんだな」と分からせる。
全部のシーンが良く出来た隙のない映画だが、個人的に気に入っているのは冒頭でキャプテンを迎えに来るナターシャのバカ女ぶり。部外者に重要任務と悟られないためだな、とちゃんと分かるスカジョの演技。あと「隣のナース」役エミリー・ヴァンキャンプはめちゃくちゃ可愛いな。 【tubird】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-02-28 23:37:04) (良:1票) |
3.最初の方で、スーパーヒーローなのに人間と1対1のバトルで結構苦戦してるのを見て大した事ないじゃんと思ってしまったが、前言撤回。 エレベーター内での複数の敵とのバトル→高い所からガラス突き破って落下→バイクで疾走してそのままジェット機に飛び乗る。という一連のアクションを見て、やっぱりあんたは超人だよと確信。 とにかく、全編に渡ってアクション満載で楽しいし、ストーリーもサスペンスに満ちていて面白かった。 【ヴレア】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-04-22 13:36:08) (良:1票) |
2.ウィンターソルジャー=帰還兵。前作ラストで現代に蘇ったキャプテン・アメリカの活躍を描く、シリーズ第二弾。あの『アベンジャーズ』の戦いから2年。スティーヴ・ロジャース(=キャプテン・アメリカ)は、慣れない現代生活に苦労しつつも、諜報機関「S.H.I.E.L.D」で世界の平和維持活動に従事していた。あの戦いでともに戦ったナターシャ・ロマノフ(=ブラック・ウィドウ)も同僚として共に活動している。そんな中、S.H.I.E.L.D長官ニック・フューリーが襲われ、匿ったキャップも同僚のはずの攻撃部隊によって襲われる。実はS.H.I.E.L.D高官であるピアース一派が指揮権を奪い、密かに世界を支配する計画を進行していたのだ。「インサイト計画」による恐怖支配。それは、空中空母ヘリキャリアとスパイ衛星を利用し、「平和維持」の名のもとに現在・未来に脅威となるテロリストを殲滅するというものだった。何とか難を逃れたキャップは、ブラック・ウィドウや新たに仲間となったファルコンと共に、暗号を解読して手に入れた資料を基に秘密基地を探し当てる。だが、そこで彼らを待っていたのは、予想だにしない人物だった...。世界平和を維持すべく組織されたはずのS.H.I.E.L.D。だがその内部は、かの「ヒュドラ」によって食い荒らされていた。この点は、テレビシリーズ『エージェント・シールド』ともリンクする内容となっている。そしてキャップと互角の戦闘力を持つ「ウィンター・ソルジャー」との熾烈な戦い。シリーズ屈指のアクションとして見事な内容になっていると思う。実はキャップとウィンターソルジャーは、コインの表裏のような関係であることが判明する。根源的な「正義とは何か」という問いを提起している内容は、単なるアクションものとして終わらせない深みを作品に与えている。"ファルコン"や"エージェント13"など、キャップに近しい魅力的な新キャラも登場し、シリーズ続編への期待も高まる。ハナマル! 【しぇんみん】さん [DVD(吹替)] 7点(2017-05-01 23:54:05) (良:1票) |
1.IMAX3Dにて鑑賞。ファルコンの飛翔シーン等で3D効果は発揮されていたものの、そもそもアトラクション映画として作られていないためか、全体としては3Dで見る必然性のある場面に乏しく、3D料金分は損したかなという印象を受けました。。。 他方、内容の方は骨太アクションとして堂々たる仕上がりで、なかなか見応えがありました。弱いだの、ダサいだの、役立たずだのと、今まで散々な言われようだったキャップですが、本作では彼が強すぎないことを活かした舞台と物語が用意されており、そこではキャップが十分にかっこよく、かつ、男らしく見えています。ジェイソン・ボーンのようなキレっキレの肉体アクションの合間に、彼のシンボルである盾を実にクレバーに使うことで、これはキャプテンアメリカの映画であるという印象も残す。リアリティとファンタジーの間で見事なバランスをとってみせた監督達の采配には脱帽なのでした。物語の方も、ヒドラだのヘリキャリアだのと漫画的な要素を散りばめつつも、全体としては70年代のポリティカルサスペンス風にまとめられており、おかしな組み合わせをとりつつも、総体としてはまったく破綻が生じていないという点では驚かされました。さらには、平和のための予防措置として政府が国民生活を脅かすことの是非をも問うており、今日の社会問題までが作品に織り込まれています。本作は、クリストファー・ノーラン作品をも射程に捉えかねないほどよくできたヒーロー映画だと思います。。。 不満だったのは、タイトルロールであるウィンターソルジャーの印象がイマイチだったこと。キャラ造形は決して悪くはないものの、作品全体の志の高さと比較すると、彼の存在は小さすぎたかなという感じでした。強力なヴィランを生み出せていないことが本作を含む一連のマーブル作品の欠点であり、来年公開の『アベンジャーズ2』に向けて、この課題をどう改善していくのかに注目なのです。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-04-20 02:21:58) (良:1票) |