14.かなり荒唐無稽なお話でありながら、主人公が常軌を逸していく過程の描写が極めて丁寧で説得力があるので、きちんと見られてしまうという点には感心しました。誰にでもあるちょっとした心の闇にスポットを当て、観客に「分かる分かる」と思わせながらダイナミックなドラマへと導いていく。この手のイタイ映画を作らせると、スコセッシは世界一だと思います。。。 妄想の世界での対話を繰り返すうちに、その対象と古くからの友人であるかのような錯覚に陥ってしまう。アイドルや歌手のファンには結構ありがちなことではないでしょうか。私の周りには、「俺はゆずの友達だ」と主張する知り合いがいます。また、自分自身の成功を妄想するということは誰でもやっていることであり、高校時代の恩師が現れて「君を見くびっていてすまなかった」と謝る場面などは、特にリアルだと感じました。恥ずかしながら、私自身も似たような妄想を繰り返していた時期がありましたから。自分は社会から正当な評価を受けていないという被害者意識と、自分を見下している人間達にいつか吠え面かかせてやるという復讐心、こうしたものの描写が実によくできているのです。主人公を『ミザリー』のような完全にイっちゃった人とするのではなく、ささやかな欲望や虚栄心、現実逃避癖を持つ小市民としたことで、非常に間口の広い映画になったと思います。。。 『ゴッドファーザーPARTⅡ』 や『レイジング・ブル』の重厚な演技から一転して、コメディの才能も見せつけたデ・ニーロの演技力の高さには心底驚かされました。キャリアで初とも言えるコメディ演技を完璧にやりきっていると同時に、カリスマ俳優が小市民になりきってしまうというカメレオンぶり。ヴィト・コルレオーネを演じた人ですよ。困った奴なんだけど、同時に哀れみも感じさせられる。この引き出しの多さには脱帽するしかありませんでした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-02-15 15:54:43) |
13.人間の狂気と悲哀を鋭く描き出し、ロバート・デ・ニーロの演技の凄みを感じられる傑作。 【ashigara】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-07-10 01:53:38) |
12.やっぱりデ・ニーロはこういう変人が一番合っている。タクシードライバーとは作風は少し違うが、違う意味で怖い。パプキンがラストのことまで読んでいたら凄い。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-10-27 00:02:24) |
11.BSでたまに放送しているハリウッドスターのインタビュー番組で偶然にスコセッシが出演していて、「太陽は好きですか?」と聞かれて「大嫌いだ」と言い、「じゃあ南の島なんかも?」と続くと「気が狂ってしまうよ!」(ヤヤ誇張アリ)。これ聞いてスコセッシが好きになった。しかもこの時スコセッシはスゲーいい顔してた。非生産的な人間は手加減を知らない。ちょっとでも方向を間違ったらヤバイ。このエネルギーがスコセッシ映画では美学になる。抑えの利かない屈折したエネルギーが「タクシードライバー」のトラヴィスを創り出し、「一夜の王」ことパプキンを創り出した。どっちも根底には同じ人間性を抱えてるが、パプキンの狂気はより複雑に表現されている。それは笑いと狂気と恐怖が「一緒くた」にされている感じに近い。いや、この3つはある条件では同義ともいえる。戦争映画はこの条件に一番あてはまるだろう。例は挙げるまでもない。ホラーは笑いという意味ではちょっと薄いがあてはまるものはたくさんある。で、スコセッシはコメディの中にこの3つをあてはめた。結果的に芸能界というヤクザな世界とスコセッシの負の力は怖いぐらいに調和し、デニーロはやっぱり天才だった。それにしても、オスカーに焦がれたスコセッシが大作ばかり作るのも、この「キング・オブ・コメディ」の延長線上にある事なのかもしれない。 【Qfwfq】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-04-14 07:49:41) |
10.デ・ニーロってやっぱり凄いんだ。あれで最後にスターになってしまうのは、やはり世の中話題性って事なのかな。 【腸炎】さん 8点(2004-05-09 14:01:39) |
9.これは怖い。特に前半が怖い。デ・ニーロが快活に笑えば笑うほど、怖い。民主主義幻想と歪んだアメリカンドリームで肥大するエゴ。「ありたい自分」と「今ある自分」のギャップを、自分に対する嘘・妄想で埋める、主人公。・・・っと、あまり怖すぎて、いつもと文体が変わってしまった。んと、誘拐するまでの前半は、そんな訳でホラー顔負けの緊張感なのだけど、後半ちょっとだれたような気がするなあ。っていうか、オチはきっとTVのステージにあがったものの、主人公は緊張のあまり何も出来ませんでしたってな感じなんだろうなーと勝手に予想していたので、少し拍子抜け。んでもあれはあれで、すごーく皮肉の効いたオチなのかも。蛇足ですが、デ・ニーロが公衆電話を独り占めしてるときに絡んでくるチンピラって、ジョー・ストラマー? 【ぐるぐる】さん 8点(2004-05-06 16:19:26) |
8.ほとほと疲れます。好きです。 (テレビ) 【zero828】さん 8点(2004-02-25 22:13:45) |
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7.デニーロの「狂気」といえば「タクシー・ドライバー」がよくあげられますが、私は断然こっちをとりたい!狂気といえば、殺人・暴力などで表現されますが、本当にリアリティのある狂気って、むしろこんな形で表現されるのかと感心しました。(知人にも似たようなやつがいて、時折ブラウン管で茶の間の雰囲気を汚しているんです)今でいうと、ひどく「イタい」人ですね。ルパート・パプキンは。最後のダイアン・アボットのいかんともしがたい表情が印象的でした。 【神谷玄次郎】さん 8点(2003-12-16 22:40:24) |
6.『タクシードライバー』『レイジングブル』に並ぶ三大バカ男。デ・ニーロはそれぞれの役作りがうまいなぁ。口ひげ、人なつっこい笑顔、抑揚があって活舌の良いしゃべり、でもストーカー。完璧です。 【ちゃか】さん 8点(2003-10-30 14:37:07) |
5.うっわ~!デ・ニーロ上手すぎ!でも、あのストーカーのねえちゃんのキレっぷりも凄いね。あのラストはどう解釈すべきなのか。本当に成功したのか、それとも彼の妄想の世界なのか・・・。う~ん。悩む。 【あやりん】さん 8点(2003-07-09 00:21:48) |
4.「タクシー・ドライバー」にも共通する屈折したパワフルさが伝わってくる狂気の世界。<デ・ニーロ>の熱演はもちろん、相棒のおねえちゃんもめちゃくちゃ怖い。途中妄想を何回も見せることで、ラストをただのお約束にしていないところは流石スコセッシ監督。 【クロマス】さん 8点(2003-02-16 22:58:32) |
3.デ・二ーロの独り芝居には圧巻でした。彼はどんな役でも完璧ですね!!スコセッシ監督もこのような映画でも、らしさを充分に出してたし、彼の表現方法の懐の深さも垣間見れたような気がします。俺、映画大好きです。 【頭梁】さん 8点(2003-02-08 03:16:54) |
2.いやー、これはすばらしい!とってもとっても現実的な映画だと思います。つまり、とっても人間感情を表した映画じゃないかなぁと。僕はデ・ニーロに共感してしまいました。有名になりたいけど認めてもらえない主人公、そこで思いきった行動にでてしまう。また、人気コメディアンのルイスは、その人気ゆえの苦労さが描かれている。いやー、面白い。面白いよ。この人間感情。 【あろえりーな】さん 8点(2002-11-18 23:42:09) |
1.自分は才能に恵まれてるのになぜか世間に認められない男が有名コメディアンを拉致し、そいつの番組を勝手に代役したら結構ウケてしまう。だが拉致した罪は罪で服役しなければならない。そこから彼の本当のサクセスストーリーが始まる。彼のコメディアンへなりたい執念を感じさせられます。夢をつかみたいなら、本気でがんばらなきゃいかんという事を学んだ映画です。 【四次元大介】さん 8点(2001-10-25 10:09:49) |