8.《ネタバレ》 人の存在理由は真理探究だと思った。人の本能は真実を強く求めている。 神秘の源泉は真理欲求が生み出すものと仮定し、その現象は人の限界を突破しうる可能性を持つ。 科学的に相反するオカルトの存在も無意味では無く、直感も真理を目指す為に必要な要素なのだ。 全てに意味がある。なぜなら、起こりうる事は起こり、偶然は必然なのだから。
人類の命題が真理究明ならば、人はその為に誕生した事になり、 誕生以前に存在していた事物は、人が真理に到達する為に用意されていたと考えられる。 では何が用意したのか? 太古の昔から人知を超えた存在を神と呼び、現在も神が万物を創造したと考える人は多い。 作中では人類は異常気象や疫病により危機に瀕している。 誰もが神に救いの祈りを捧げていてもおかしくないのだが、そのような人たちはこの映画には登場しない。 即物的な救いを求めている人類に呼応したのは神ではなく「彼ら」だったーーー。
一般的に神とは聖書に出てくる神を指している。 この神は全知全能で完璧な存在であり、ある特質を持っている。 それが「愛」である。 聖書は分厚い本であり一読するに労力を必要とするが、教義は一言で説明ができる。 それは隣人愛である。自分を愛するように他人を愛しなさい。ただそれだけである。 ただし究極的に隣人愛を実践するということは、自分を殺しにくる相手も愛しなさいということである。 普通の人間なら理解も実践も難しい。しかし神はそれを望んでいる。
最初は愛を反理性的な本能からくる非科学的なものと考えていた男は、彼らの導きによって愛の本当の意味を知る。 愛は人を破滅させず救いをもたらすパワーであると。人類の次のステップである進化に必要な力であると知る。
彼らは神と同じく愛の重要性を教えてくれたのだ。 男の中で点と点が繋がり「彼らは我々だ」言った。三次元的思考が五次元空間を介する事で慧眼したのだろう。 その言葉を聞いて私は、もしかしたらこの世の全てを造ったのは我々自身なのかもしれないと思った。 宇宙は超ミクロな一点から始まった。その中に全てが詰まっており、全てが一つだった。 万物の根源は同じであり、優劣など無い意味ある存在なのだ。 直感は訴えかけてくる。いま理解ができないからといって存在しないとは限らない、いつか分かる時がくるかもしれないと。 起こりうる事は起こるのだ。 【クロちゃん】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-12-31 19:18:07) |
7.《ネタバレ》 Do not go gentle into that good night.実に印象的な一節。命あるものの為に、という物語として王道な筋ではあるが、この詩の朗読により独特の雰囲気が醸し出されていたようだ。これまでのノーラン作品の中でも群を抜いて"素直"だと思った作品。ノーラン特有のどんでん返しがありつつ、そして小難しい理論を引き出しながらのSFが題材ではあるが、極めて素朴な夢に満ちている。美しい宇宙空間の映像も相俟って、巨大なスクリーンで游ぐ感覚。時間を超越するなかで失うもの、残るもの、そして得るもの。家族愛という安売りの宣伝文句をいとも簡単に踏み越えていくいい映画だった。去年は同時期にゼロ・グラヴィティを見ていたと思うと感慨深い。空間に圧倒される贅沢をくれたこの映画に心から感謝する。 【Gerty】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-12-07 23:35:31) |
6.レイトショーの映画館を出て、真冬の凍てつく空気に包み込まれた。ふと夜空を見上げると、澄んだ空気の遥か先に満月と星が光っていた。 広大な宇宙の中で、自分自身がひとりぽつんと存在している感覚を覚え、孤独感と大いなる宇宙意思を同時に感じ高揚感が溢れた。 普段の何気ない景色が一変していたようだった。これこそがSF。これこそが映画だと思えた。
数多の大傑作がそうであるように、今作もとてもじゃないが言葉では表現しきれない。 特にこのSF映画が描き出す世界観の多層性と文字通りの深淵さは、言葉で説明すべきものではないだろう。 「圧巻」とひと言で言ってしまえばそれまでだろうし、それで充分だとも思える。
とても複雑な宇宙理論が繰り広げられる語り口は、一見難解に見える。しかも監督はクリストファー・ノーランである。一筋縄ではいかないことは必至。 しかし、実際に観終えてみれば、この映画は決して難解なのではなく、難解な要素に彩られた普遍的な人間ドラマであったことに気づく。 複雑に入り組んでいるのは、宇宙理論ではなく、むしろ多様な人間の在り方とそれに伴う濃密なドラマ性だった。
“親子愛”をはじめとする人間のドラマを根底に敷き、未知の領域に踏み出した人類は、「人類」そのものの限界とその先を追い求めていく。 中盤、“マン博士”という人物が登場する。その名前の通り、彼こそが今現在の人間の本質を表したキャラクターであろう。 一つの“限界”に辿り着いてしまった人類、進化か滅亡か、このキャラクターはその分岐点の象徴と言える。(このキャラをほぼノンクレジットで演じているスター俳優はエラい) 主人公が、“マン博士”と真正面から対峙し、それを越えようとする様こそが、人類の進化の瀬戸際だったのだと思える。
高度な科学的空想の先に辿り着く人間の真の姿と可能性。僕はそれこそが、人間が生み出した「Science Fiction」の本質であり、醍醐味だろうと思う。 そういうことが満ち溢れんばかりに繰り広げられるこの映画を、愛さないわけがない。
ただし、この映画を語り切るには、まだまだ膨大な時間が必要だ。 それは、これがとても幸福な映画体験であったことの証明だろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-12-07 01:37:45) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 非常に面白かった。2日続けて観に行きました。 1回目は久しぶりにエンドロールが終わるまで余韻を味わいました。 ハードSFに陥りがちな無機質な情景描写を、登場人物の人間的な振る舞いで 血の通った物語にしている点、そのバランスが良かったです。 無理解な教師に対しては、自分が父親だったらテーブルひっくり返して論破してやるわ! と感情移入できたし。 なぜ、地球があのような状態になっているか、NASAが表向き廃止された理由に 主人公がひと言触れていますが、あれで十分。 あれこれ言いはじめると別のお話になっちゃうし。
良かったシーンは子供たちを置いて、NASA(NORAD)の秘密基地に車で向かいながら、 カウントダウンが進むシーン。 ブランド教授のご臨終シーン、あれは絶望感たっぷり。 主人公と娘のラストについて、いろんな意見があると思いますが、 その先を想像できるから、あれはあれでありだと思いました。
世界観に関して、相対論的には良く考証されていると思いました。 15年以上前に読んだ、キップ・ソーンの「ブラックホールと時空の歪み」 が下敷きになるなぁと漠然と思っていたら、なんとこの映画。 キップ・ソーンが原案に関わっているのね。 どうりでどうりで。 マン博士の壊れたロボットの名前がKIPP! 【じむりじんじむ】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-12-01 00:25:49) (良:1票) |
4.面白いSF小説を3時間弱で読了したような気持ちでした。 【よしふみ】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-11-27 22:49:16) |
3.《ネタバレ》 ゴリゴリのSF映画なのに、テーマが愛とはどういう事だと鑑賞前は疑問だったが観た後に納得。実に練られた脚本と圧巻の映像美、文句無しの役者達。観てるものはどんどん引き込まれ、宇宙というものの凄さや恐ろしさを体感出来たと思う。ノーラン作品は細かく書き出すと無限にレビュー出来てしまうので程々にして、とにかくこの映画は今世紀最高のSF映画であると評価。 【関白宣言】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-11-24 18:12:31) |
2.《ネタバレ》 映画館で2度観賞しました。映画そのものが面白いのは確かなのですが、ワームホール、ブラックホールといったこれまで本やテレビで観たり聞いたりしたものが、大きなスクリーン全体に映し出された瞬間、胸がギューッとなる感覚がありました。宇宙はまだ謎だらけで、あまりにも普段の生活からかけ離れており、そういったものが目の前に突如巨大なビジュアルとして迫ってくるということ自体がすごい体験だと思います。一時日常を忘れて物語と共に未知なる宇宙の世界へ飛び立つ、そんな体験をさせてくれるこの映画は極上のエンターテインメントだと思います。是非映画館で観てください。 【珈琲時間】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-11-24 17:43:37) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 クリストファー・ノーラン渾身のハードSF。例によって一度の鑑賞で全てを理解するのは難しいし、肝心のプランAがよく理解できなかったと言う難点もあるが、それを消し去るほどの圧倒的なストーリーでした。3時間でも描ききれない世界ですが、詳細な説明を排してでも正面から描き切った点を私は評価します。得点は満点以外考えられないです。 【ぴのづか】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-11-22 15:43:32) |