4.《ネタバレ》 製鉄所で働けだって?馬鹿らしい、はっきり言ってやるよ、兄貴、製鉄所なんてクソだ。確かに俺たちの親父もずっと製鉄所で働いていたよ。でも、そんな製鉄所が親父を殺したんだ。生きるための立派な仕事だって?じゃあ、俺が派遣されたイラクでの戦いも立派な仕事だって言うのか、兄貴。俺はこんなクソみたいなところから一刻も早く抜け出したいんだ――。製鉄所や町工場が建ち並ぶアメリカのとある地方都市。長年にわたりそこの鉄工所で働いてきたラッセルは、愛する彼女と年老いた父親とともにささやかながらも充実した日々を過ごしていた。ところがある日、彼は飲酒運転中に事故を起こし、相手の女性を死なせてしまうのだった。当然のように刑務所暮らしを余儀なくされるラッセル。もちろん仕事も同棲していた彼女も失ってしまった。そんな彼をずっと支えてくれたのは、海兵隊としてイラクへと派遣されていた弟のロドニーだった。数年後、ようやく釈放された彼は弟のロドニーとともに新たな生活を営もうと決意するのだったが、イラクで心に深い傷を負った弟は一攫千金を求めて次第に闇ボクシングの世界へとのめり込んでいく…。貧困の連鎖に喘ぐアメリカの寂れた一地方都市を舞台に、どん底を這いずり回るような困窮した日々を送るそんな2人の兄弟を描いたヒューマン・ドラマ。クリスチャン・ベイルやウディ・ハレルソン、ウィレム・デフォーといった何気に豪華な役者陣競演に惹かれて今回鑑賞してみました。冒頭から薄暗い何処にも晴れ間なんてなさそうな鉄工所の映像から始まり、登場する人物たちも誰も未来なんてなさそうな鬱屈した人間ばかり、酒を飲んでは下品な冗談を交わし、賭け事や麻薬に溺れていく…。そして、ただ幸せになりたかっただけなのに、次第に心を擦れ違っていく兄弟に忍び寄る闇社会の住人たち。と、見れば見るほど気が滅入るような暗いお話なのですが、アメリカの地方都市が抱えるリアルな現実を冷徹に見つめ続けるこの監督の視線は鋭い。実力派の役者陣も静かな熱演でもってそんな監督の要求に応えていて、重厚な人間ドラマとして充分見応えのある作品に仕上がっていたと思います。ただ、脚本のところどころに細かな破綻があるのが惜しい。特に、ウディ・ハレルソン(いかにもいやらしいマフィアのボスを演じた彼の熱演も見事でした)が森の中でどうしてあんな行動にはしったのか、そこにいまいち説得力が感じられなかったのが残念でした。最後にお店に現れる彼ももっと用心棒を引き連れていてしかるべきでしょう。と、細かな部分に爪の甘さが目立つものの、この全編を覆う重厚な雰囲気はなかなかのもの。この監督の次回作も期待して待ちたいと思います。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-12-07 13:55:02) (良:1票) |
《改行表示》 3.ウディ・ハレルソンのキ〇ガイ演技が素晴らしすぎて、彼が出ている場面には目が釘付けになりました。次の瞬間に何をしでかすか分からない怖さは『グッドフェローズ』のジョー・ペシに匹敵するレベルであり、製作陣もこの男の底知れぬ魅力に気付いていたのか、その登場場面を作品の冒頭に持ってくるという大盤振る舞い。これまたすごいのが、この登場場面が本筋にまったく影響を与えていないという点であり、作品の冒頭が一人の脇役を紹介するためだけに存在していたことには二度驚かされました。脇役をここまでフィーチャーした映画が他にあるでしょうか。 その割を食ったのが主人公であり、強面俳優がひしめく本作において、主人公は空気同然の存在感となっています。クリスチャン・ベールはいつも通りの深刻な顔で、演技に変化がありません。このままいくと、ハリソン・フォード並みのワンパターン演技の俳優となってしまう恐れがあります。 作品全体の空気はなかなか良くて、こういうガサガサした映画は私好みなのですが、前述した通り脇役が強烈すぎて、相対的に主人公の出ている場面がつまらないという点と、作品の要となるような強烈な場面を一つも作れておらず、結局は雰囲気もので終わってしまっているという点が残念でした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 6点(2015-05-08 00:55:25) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 有名俳優ばかり出るハードボイルド、という事で公開当時から期待しすぎたせいもありますが、普通のバイオレンス映画だという印象です。丁寧に作ってありますが、悪党が二人を殺害するのが唐突過ぎると思います。我慢し続けた兄貴が爆発するというのはわかりますが、映画としての面白さには繋がっていないです。終盤は登場人物も更に少なくなり、寂しい映画で終わった感じです。内容は違いますが、鑑賞後の寂寥感は「ヒミズ」に近いです。フォレスト・ウィテカーは「96時間 レクイエム」でも使えない警官役で、ここでもやはり使えない警官で残念でした。 【DAIMETAL】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-02-04 00:14:05) (良:1票) |
1.ストーリーは極めてシンプルな上に王道です。悪く言えば目新しさが全くありません。でも、面白かったんですよね。一番気に入ったのは、登場人物の生い立ちを必要以上に説明しないところ。「今」だけにフォーカスしているんです。でも、彼らの言動を見るとその人の過去とか人生観がなんとなく見えてくるんですよ。出てくる人は皆、何かしらの傷を持っています。問題も抱えています。そして、それぞれが大切にしている物も異なります。そんな人たちの人生が絡み合うのを見るだけでハラハラしました。俳優陣の演技の凄まじさもこの作品をワンランク上げていました。結構好きです。 【Y-300】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-11-30 23:19:09) (良:1票) |