8.《ネタバレ》 フィンチャーらしく、少々ダラけたところがある感じで、もう少しタイトにできたんじゃないかと思います。 エピローグ部分なんて「まだ続くの?」って感じがして。その続いてゆく中に何か新たな展開があるのかと思いましたが、エピローグはあくまでエピローグの役割を果たすばかりで。1~2シーンでスパッと切ってしまった方がもっと色々な余韻を残せたんじゃないかなぁ。あの効果的なラストカットはあれこれと事後の説明をせずにさっと出した方がより効果的だった気がします(それだとただでさえツッコミが必要な細部のアラに加えて更にツッコミ箇所を増やす事になりますが)。
さて、エイミーは結局、母の描いた『完璧なエイミー』を嫌悪しつつ、一方ではそうあらねばならないという強迫観念に囚われていたのだろうな、と思います。常に理想像があって、その理想像に自分をピッタリとハメ込なければならない、そのためには手段をいとわない。理想像からかけ離れる事の恐怖に比べれば、他は大した問題ではないと。そんなエイミーを作り出したのは本と現実という二面性を創造した母親。
そしてもう1つ、大衆が求める理想像。理想的な夫婦の形、理想的な人間の生活。そこからはみ出すものを徹底的に叩く事で自尊心(と思い込んでいるもの)を維持している人々、それを煽るマスコミ。テレビやネットに触れている人々もまた、常識的、良識的な理想像に縛られて強迫観念から攻撃性を持つという点ではエイミーと同じな訳ですね。口では良識を説きつつ現実はその口とは必ずしも一致していない、でしょ?
つまりこれは、ごくごく当たり前な今の人間、理想的な人間を必死に演じている人々に対するシニカルなお話し。 エイミーみたいな存在が身近にいる可能性の話ではなくて、誰の心の中にも少なからず存在するエイミーの話。 他人の問題じゃなくて自分の問題なんですよ?って、まー、そこに思い至らないといつまで経ったって円満な夫婦関係なんて築けやしないんじゃないんスか? 一生独身であろう私が言うのもナンなんですが。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-12-14 15:07:25) (良:5票) |
7.特別前夜上映会にて視聴。
これから本作を楽しもうと思うなら、絶対ネタバレ無しのレビューだけ見ることを強くお勧めします。 ・ここまで見事な「起承転結」演出は本当に久しぶり、しかも単純な4区切りじゃなくて「承」以降はその展開一つ一つも目まぐるしく転がるので本当数分先すら予想できなかった。 ・そして、「起」の部分だけ見せて、視聴者に良い意味で間違った本作のイメージを持つようにミスリードを狙った予告にし、見事視聴者の度肝を抜いた(少なくても自分は)広報の手腕にも賞賛。予告も作品の評価を上げる材料になることを十二分に実感できた。 ・「結」にいたっては、最悪の「こんなこともあろうかと・・・・」に思わず絶句。
総評 最後だけ見れば、一人を除き全員が何かしらの「利益」を得ているので、バッドエンドではなく、最後のワンカットで見事に「背筋も凍るハッピーエンド」を魅せられた。 【ムラン】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-12-11 21:31:44) (良:1票)(笑:1票) |
6.《ネタバレ》 劇場公開時に行きそびれた作品。 配信されていたので、この度鑑賞。 10年近く前なんですね。 月日の経つのは早い。
どう転ぶかハラハラしながら面白い!とワクワク。 ところが、血まみれでエイミーが帰宅してから急に興味は半減。 前半警察をじっくり描いたのに、このサイコ殺人はバレないし。 あれもこれも不自然でちょっと残念。
私がエイミーみたいな悪女だったら、役割を演じるのを放棄してデジーに乗り換えると思います。 ニックは貧乏だし魅力が少ないと思う。 実話が元だから制限あったかもしれませんね。
「結婚とは」と大仰に言っている作品だけど、結婚はこんなに怖くないと個人的に思う。 ふたりで居て楽しければ結婚もありだし、嫌なら別れれば良いだけ。 もっと良い人が居たら再婚もありです。 ちなみに私は結婚33年です。 【たんぽぽ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-12-06 11:38:11) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 妻は、知性も才能も容姿も全てに充たされた一見完璧な女。夫は自意識が高く感性が鋭いようでいて軽薄で低俗な男。表面だけ捉えれば裕福で互いへの愛に溢れた理想的な夫婦に突然訪れた不幸。
ところが一皮剝けば本性とも言うべき隠された顔が現れて来る。妻は、自分というものを封じ込められ親の価値観の元に作り上げられた人生に怯える愚か者。夫は全ての不幸を妻に転嫁し自らの正当性に固執する愚か者。
これは二人の愚かな男女が惹かれ合い憎み合い、そして再び惹かれ合うという、結婚生活をデフォルメして表現したブラックコメディなのかなと受け止めました。
ま、こんなことは滅多にあるものじゃないでしょうし、仮にあったとしたって真実を知る者が少なからず存在する以上このまま順風満帆な人生は待っていないでしょう。その前に遅かれ早かれ自己崩壊するでしょうし。
冒頭とエンディングに大写しになる妻の表情の空虚さ。特に目の虚ろさが印象的です。最初に観る冒頭の表情は「このカット、NGじゃないの?」とさえ思えるのですが、エンディングの同じ表情を観て思わず納得。この作品の本質を語る見事な演技と演出に納得です。
夫の一人称と妻の一人称が交錯しながら物語は展開しますが、夫の双子の妹の目線がもう少し欲しかったかも知れません。この兄妹は二人揃って一人前という印象を受けましたので。
冒頭のナンパシーンの気色悪さと終盤の若干のダラダラ感が減点対象です。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-05-15 14:26:03) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 後味が悪い映画だなあ(笑) とにかく、女がろくでもないやつで見ていて鬱憤が貯まるので、最後は女をとっちめて終わってくれることを期待した。 しかし、全くそうはならない。 完全に女の勝ちで終わる。溜飲が下がらないどころか、逆流して口からあふれそうである。 この気分の悪さもこの映画の魅力であろう。
展開もよかった。 物語の半分くらいで、嫁のもくろみ、夫婦間の真実など、すべての謎の答えは出る。 そこで一回、そういうことかーと思わせておいて、おいおいまだ続くのかって構成は変わっていて、面白い。
話としてはさすがにできすぎで、あんなやり方で殺人現場を偽装しても、さすがに警察が一通り調べたらすぐバレるだろうなあ、とはちょっと思うけれど、それは言いっこなしですかね。 【椎名みかん】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-10 07:41:22) (笑:1票) |
3.《ネタバレ》 美しく、完璧な妻が実はサイコパスすれすれの異常者である、というネタは中盤くらいから早々と明かされるのだけど、そこに至るまでの演出が巧み。B・アフレックに不誠実男という印象を客に持たせるので、妻と夫どちらについて観るべきか、まんまと翻弄されました。かろうじて妹のマーゴにすがりつきましたが 私は。 ”切れ者”とされる妻エイミーだけど、コテージであんな頭の悪そうなチンピラにカツアゲされてたり、ちゃんとアリバイを潰さないまま元彼を突然誘拐犯に仕立てたりと、やってることはけっこう穴が多くて米国犯罪史上に名を残す知能犯の面々と肩を並べる、といったレベルではないような気もする。 むしろエイミーの喜びそうな台詞を吐いて彼女をみごと引っ張り出した夫にも、まだまだ分がありますよ。ショックを受けてるマーゴのためにも、もう一幕がんばってほしい。 それにしても、この監督の映像はしっとりとして美しい。下手するとB級に落ちる題材を、画の格調高さで一枚も二枚も引き上げてる感じです。 【tottoko】さん [映画館(字幕)] 7点(2015-10-23 23:42:39) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 前半は展開が早くて字幕を追っていくのに精一杯、+現在と過去の追想が交錯、+誰が嘘つきか推理、 なのでちょっと気を抜くと置いて行かれます。お金を奪われる展開と元恋人の殺害が罪に問われないところが出来すぎかなと思いましたが、元さやに戻った以降が映画的には蛇足気味ながら、見ていてどんどんテンション下がりました。異性には感想を話しにくい映画ですね~。 【Banjojo】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-12-29 12:22:25) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 原作未読。フィンチャーらしく演出に切れがあり編集が上手いのでどんどん引き込まれた。特に消えた妻エイミーの綿密な計画の回想シーンは、細かいカット割りの巧さもあり完全犯罪成立で勝者になりえるくらいの勢いだった。気の緩みから小馬鹿にしていた低所得者に目を付けられ大金を奪われるカウンターを食らうという自爆や向ける矛先がなく枕に発狂したりする辺りは可愛げもあったが、立て直す唯一の手立てだった元カレの元に転がり込むも軟禁状態にされ、どうすっかなと思考中に旦那の媚びた会見を見て気が変わり、元カレを虐殺して練ったシナリオを強引に修正するあたりは恐ろしさを感じた。まあ、隙もあるけど子供という人質も取られてしまい、この女には生涯勝てそうもないなと思いましたね。 エイミー役のロザムンド・パイクが圧倒的な存在感で素晴らしかったけど、旦那役のベン・アフレックもお人よし風で愛想良くするだけで一見人畜無害のぼんやりした男を好演したかな。人によってはホラー、人によってはブラックなコメディの要素もあって面白かったですね。結婚間近のカップルや倦怠期の夫婦の方が観たら色々と面白そうな気がします。彼や彼女は理想の男や女を演じているだけなのかもしれません。あなたは隣にいる人の事をどこまで知っていますか?結局は相手を信じるしかないんだよねえ。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-12-14 01:00:31) (笑:1票) |