《改行表示》 6.とても愛らしい映画だったとは思う。 原作漫画は1巻しか読んでいないが、キャストのビジュアル面をはじめとして最大限忠実に漫画の実写化に努めている。 ただそれ故に、あとほんの少しだけ映画表現としての巧さが備わっていたならば、この映画は青春映画としても、ファッション映画としても、もっと快作に仕上がったのではないかと口惜しさが残った。 コメディ漫画の世界観を、キャスト陣はビジュアル、テンション含めて見事に表現している。それについては、核となる“尼〜ず”の面々のキャスティングが抜群だったと思う。 もはや「名女優」という枠にカテゴライズされてもおかしくない池脇千鶴の贅沢過ぎる配役を筆頭に、ビジュアルの合致を存分に活かし“芸人枠”としては塚地武雅並の安定感を見せた馬場園梓(アジアン)、ファッションにも精通した篠原ともえのバラエティー性は映画の題材的にもマッチしていた。 そして個人的には何と言っても太田莉菜。「69 sixty nine」以来のファンとしては、彼女がまさかの役どころを怪演していることも嬉しかったが、“まやや”というキャラクターに隠された要素を知らなかったので、クライマックスの顛末では何故この役が太田莉菜だったのかが一目瞭然で、ただただアガりっぱなしだった。 この“尼〜ず”の面々が入り乱れるシーンの一つ一つは笑いが絶えない。 ただそれぞれがコント的で、個々のキャラクターが持つドラマ性までは踏み込めていないことも事実。 もちろん、奇妙な面々の可笑しささえ表現できていればいいのかもしれない。けれど、終盤の展開を踏まえると、もっと個々が待つ葛藤や人間性に踏み込んだ場面があった方が、“チーム感”が高まり、ラストの円陣はもっともっとエモーショナルになったろうにと思えてならない。 126分というコメディ映画としては結構な長尺を有しているにも関わらず、そういった人間描写が物足りないことは、映画的な巧さがなく稚拙なのだと思う。 あと、これは言っても致し方ないことだとは思うけれど、“女性にしか見えないキャラクター”を男性が演じるのはやはり無理がある。 菅田将暉は「綺麗」だったし、所々の1カットにおいては、原作漫画のキャラクターのビジュアルを表現できていた場面も幾つかはあったと思う。 しかし、実写で動きがつくとなると、やっぱり男は男だし、それをあれほど密接に関わっている人達が気付いていないという設定にはどうしても違和感を感じ続けなければならなかった。 まあコレは本当に仕方ないことだ。それが最大のウィークポイントになることは前提の上での映画化なのだろうから、もはや何も言うまい。 そして、この映画が愛らしい最大にして唯一無二の理由は、言わずもがな「能年玲奈」(2014年時点)という女優の存在そのものである。 能年玲奈演じる主人公“月海”が、すべてのシーン、すべてのカットにおいて愛らしいからこそ、この映画は愛らしいのだ。 女優として上手いとか下手だとかそういう一般的な評価は彼女には相応しくない。 能年玲奈が能年玲奈であったかどうか、この女優に与えられる評価の付け方はそうあるべきだとすら思う。 「あまちゃん」を観ていなかった僕は、先日観た「この世界の片隅に」に続いて、今更ながらこの女優の特別さを思い知っている。 決して優れた映画ではなかったし、評価が低く、売れなかった映画であることも納得はできる。 ただしだ、能年玲奈、いや「のん」という女優の若き日の貴重な時間を切り取った映画としては、とても大切な作品になるかもしれない。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 6点(2017-03-04 12:47:41) (良:2票) |
《改行表示》 5.内容としてはテレビドラマでありそうな物を2時間に詰め込んだ感じでしょうか。 こう書くとつまらなさそうですが、そんな事はありません。 劣等感を持つ個性的なキャラクターを配置して問題が起こり力を合わせて問題解決するという ありがちなパターンと言ってしまえば身も蓋もないですが起承転結にブレが無く良い映画です。 女装が女装を越えて居なくてどう見ても男だろ・・・気がつかないわけ無いだろ・・・ と言う野暮な突っ込みはしないでおくとして。 残念なのは演出方法も近年のテレビドラマのようなアニメチックなCGを多様して 演出が安っぽい所でしょうか。漫画ですとデフォルメした表現は効果的でしょうが 実写で石のように固まる部分を、実際にCGで石にしちゃうって安易な方法は 役者さんの演技の幅を狭めてしまうと思うのですがね。 また、オタク設定が一昔前のオタク像というか、ステレオタイプのオタク像?とでも 言うのでしょうか、過剰演出によって一見個性的には見えるのですが 様々なキャラクタが全員同じような味付けで個性が生かされていないし 背景が描かれて居ないのでトラブルのシーンなどでも感情移入しにくく メンバーの団結感が高まりが弱い気がしますね。 こう書くと酷い映画のように思えますが、今時の漫画原作ならではなのでしょうか? キャラクターにとことん嫌な奴は出てこないし汚い部分がなく安心して楽しめる映画です。 ある種定番の雛形ですので類似の映画が沢山ありますが そのなかでも、なかなか楽しめる方の仕上がりになっていると思いますよ。 深く心に残る映画ではないかもしれませんが力を抜いて気軽に楽しむのに丁度良い映画です。 【デミトリ】さん [インターネット(邦画)] 7点(2017-02-23 12:55:22) (良:1票) |
《改行表示》 4.内容的にはつまんないけど、いい役者を揃えているので、見られるレベルの映像にはなってると思う。 アホみたいなオタク設定を無しにして、ちょっと個性的な住人くらいにしておけば、感動的な話になってたかも。 この設定だと役者がどう頑張ってもコントにしかならない。 もちろん笑えるならコントとして成立するんだろうけど、笑えるネタは皆無だった。 見所は能年玲奈の尋常じゃない可愛らしさだけで、なんだかよくわからない理由で活躍の場が奪われてるのが勿体無い。 あと、どうでもいいことだけど、直射日光の当たる場所に水槽を置くのは如何なものか。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 4点(2016-08-19 18:46:18) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 この手の漫画原作ものは漫画を読みすぎると先入観に囚われ、まともなレビューが出来なくなる事が多々あるので、コミックスの1巻だけを読んでいざ出陣。 これは…正月早々地雷を踏んでしまったか。 たしかに、登場人物の造形やクラゲに対するこだわり、天水館などはよく再現されていたと思うが、如何せんストーリーがベタすぎる。アパートを取り壊しから守る為に反対しよう、とか安易に総理大臣とかが身近に絡んできたり、突然童貞の格好いいお兄さんに告白されたり、漫画では許せるけど、こんな手垢の付いたようなベタベタな展開を実写で見せつけられるとさすがに辟易してしまう。 ファッションショーに関しては失笑しか湧いてこなかった。皆で一つの目標に向かって頑張ろうとするのは見ていて感動的なはずなのに、果たしてあれで目標を達成できるのかという疑問しか湧かない。全体的に登場人物が皆自分勝手に自分の好きな事をがやがややってるのをただ見せつけられた感じ。 能年ちゃん目当てで観た自分としては、ストーリー1点、音楽1点(セカオワの歌が合ってないと思う)、能年ちゃん8点で、総合的に4点を献上致します。 【ヴレア】さん [映画館(邦画)] 4点(2015-01-06 08:48:13) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 能年さんのファンなんでとりあえず見ました。ちなみに原作は2巻ぐらいまで読んでます。読んだ限りではこの主役のキャラクターは能年さんにぴったりだろうと思ってましたが、思ったほど合ってない印象です。と言うかこの人はしゃべりも演技もダメダメなのでやはり役者はきついなぁと思った。可愛いんだけどね。この主役もどちらかと言うと最初から可愛いオタクキャラなんで、これで合わないときついですね。お話はいくぶんファンタジックに過ぎるんでこれも実写化はちょっときついです。見てる方が恥ずかしくなってきます。蔵之介の女装も外見は頑張ったが声はいかんともし難い。これで男とばれない訳ないです。結論を言えば「能年ちゃん可愛い!」と喜べる人以外にはちょっとお勧めしかねる作品です。唯一の収穫はアジアンの馬場園さん。再現度の高い天水館のキャラの中でも、彼女は完璧でした。 【ぴのづか】さん [映画館(邦画)] 5点(2014-12-28 22:50:04) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 マンガが原作ならばこういう描き方でいいでしょ?っていうのがハッキリ見て取れてツラいです。 リアリズムを廃したギャグ映像が生身の人間によって演じられる事で上滑りし続け、それはドラマを織り成してゆく事を阻害して。最終的にはとっ散らかったエピソードの羅列で終わる映画。 まず、デフォルメされたオタクの生態を笑うばかりで、その才能をあまりプラスとして描いてない、みんなで協力して、なんてところも各人の個性を活かしておらず、単なるオタクからの脱却こそを是としているばかりな点で、それでいいのかな?と。 ファッションショーの成功をクライマックスに据えた事で、結局「キレイに着飾った渋谷系のお嬢さんこそが正義」になってるんですよね。メガネ取ったら美人っていうアレをここでも繰り返していてセンスがとても古いです。 で、オタク状態では地味で、ドレスアップするとキレイって落差を話で見せていても実際のビジュアルで見せきれてない、その差を劇的に感じさせる事がちっともできていないのがまたダサくて。能年ちゃんをキレイに見せてるつもりのビジュアルは、本当にそれでいいのか?というカット多数。どう見てもホラーっぽいライティングまであるし。 説得力なんてモノは皆無で(ファッションショーのせいで政治家のパーティに誰も集まらないという理屈が一体どうしたら成立するのか、論理的に説明して貰いたいもので)、ならばせめてエピソードやキャラクターで楽しませて貰いたいものなのですが、類型的で(相手を酩酊させてベッドの写真を撮るって、つい最近他のマンガ原作映画で見ましたが)空虚な世界が広がるばかり。せめてせめて『三国志』や鉄道や和物やじじいの魅力を少しでも見せようよ・・・ それでもクラゲの魅力だけは幾分醸し出されていた感じで、クラゲがモチーフになった部分はなんとか楽しめたような、そして、キャラの多さでなんとか退屈さだけは免れたような。女装男子の蔵之介に救われてたかな。どう見ても男でしたが。 クレジット見るまで気付かんかったわ!って池脇千鶴や篠原ともえはおろか、能年玲奈の個性までも殺し気味なコスプレ映画ではありました。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 4点(2014-12-28 22:43:20) (良:1票) |