5.《ネタバレ》 我ながら鈍いと言うか話題に周回遅れしてるというか、そもそもこの作品が公開してたことすら知らなかった。ところが昨年ネット上でチラホラこの作品の評価が関連ニュースとして目にとまるようになり、そのきっかけが主演したももいろクローバーZの一人が年明けに卒業したことに端を発しその才を惜しむかのように取り上げられていたことが門外漢の自分にさえ分かったのが観てみようと思った動機。踊る大捜査線第1作で青島が重傷を負ってからのくだりに未だに泣けてしまうほどの単純な人間なので、同じ本広監督の作品ならまあハズレではないだろうというその程度だった。 だから、まさかこんなにハマるとは思わなかったのだ。某ウィキで「この作品が一番刺さるのは高校演劇にもももクロにも興味関心が無い人だろう」という大意の文化人コメントがあったが、自分がそのど真ん中だったことを思い知らされた。 大した実績もない地方高校の演劇部。のっけから地区大会敗退でモチベーション下がりまくる中主人公のさおりは部長を押し付けられ不満でイライラしている。新入生勧誘の舞台も学芸会以下のレベルとなりゃ、そりゃあ生徒会もアクビ噛み殺すよなあ、という八方塞がり状態の中新任の美術教諭が実は学生演劇の女王と謳われた凄い人と判り頼み込んで教えを請う。最初こそ稽古場見学とか言いながら徐々に熱血指導になり部員たちはそれまで考えたことすらなかった全国大会出場へと覚醒していく。細かいアラも気にならないほどにその過程が判りやすく描かれ、俄然彼女達の表情もいきいきしてくる。演劇強豪校からの転校生も加わり結束していく様子は微笑ましく、終盤起きる事件をも乗り越えて行くことが想像できてしまう。でもネタ割れの興醒め感ではなく、乗り越えてほしいという観る側の願い通りになることがこの作品の良いところ。 一方でこの作品は不公平の映画でもある。ももクロのファン、所謂モノノフの方々なら常識であろう目配せが幾つかあり、知らなくても楽しめるのだけれど中には置いてかれるものもある。中西さんがメロンソーダというのは序の口(演じる有安杏果のカラーが緑)で、劇伴にももクロ曲をワンフレーズピアノで入れたり、果ては何で松崎しげるや鶴瓶が出てくるのか一般には判らない(自分も最近分かった)。それこそこの映画がアイドル映画と言われる理由なのだけれど、アイドル映画を差別するつもりは毛頭ない。むしろ平田オリザの原作が現実のももクロにオーバーラップする(原作者にその意図は全く無い)と感じた本広監督の慧眼がこの映画を多層的にしている。「踊る」シリーズではカエル急便とかスタトレネタとか意図的なマーキングが随所に張り巡らされていたが、どこか仲間内でニヤニヤしているような一見(いちげん)さんお断りの印象すら与えていたように今は思う。だがこの作品では現実世界のももクロが経てきた道のりが、それを知っているファンにはいちいち被るように感じたのではないか、例えば吉岡先生の退職は早見あかりの脱退を想起させたように。もっとも後からこれを観た自分は有安杏果の卒業を知ってからの観賞なので、ファンではないけれどちょっと切ない気持ちにはなった。以前海街diaryを劇場で観なかったことを後悔した映画の筆頭に挙げた。この映画をモノノフでごった返したであろう劇場に足を運ばなくてさすがに正解だと思っている。でも海街と共通するのは、どちらもその時しか撮れない彼女たちを描いている、その貴重さだと思う。それにしても「べっぴんさん」で百田夏菜子、「女子的生活」で玉井詩織を観ていたのに何で今更四年前の映画で盛り上がるのか我ながら呆れている。 【rinzou】さん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2019-01-05 06:42:27) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 私は男子部、男子ゼミ、男子職場でしたが、女子部の良さが存分に伝わってきました。どこでブワッと泣いたとかではなく、ただ静かに涙を流しながら観ました。それは大人になるともう、正論や真っ直ぐさが通用しないのを知っているからだと思いました。皆の演技良かったです。途中、中島哲也作品っぽい演出があったり、フジテレビアナウンサーや終盤は有名芸能人が映るのは意識が現実に戻されてしまい微妙だと思いましたが、体験しえなかった高校時代に「戻る」事が出来たので、総じて素晴らしい映画だと思います。 【DAIMETAL】さん [映画館(邦画)] 8点(2015-03-04 01:07:13) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 単純に映画としてみた場合、良くも悪くも、本広監督らしい 可も不可もない微妙な作品でした。 ですので、5点という評価をさせて頂きます。 ももクロを知らないの原作本のファンなら、酷評する方もかなりいるのでは。 ファンにとっては、これ以上にない楽しい作品ですが。 本広監督は「ただのアイドル映画にはしたくなかった」と仰ってます。 各メディアでは、それを純粋な青春映画を目指したと受け取ったようですが、作品を見た限りでは、 「ファンに向けて真面目に作った作品」、ファンのために非常に良く作られた「アイドル映画」という印象でした。 長編の原作を120分に縮めるためためには、 様々な部分に手を加え、説明を加えなければならないと思いますが、 正直なところ特に各キャラクターの人物像で、この点が大きく欠落していると感じます。 ところが、ももクロのキャラクターに親和性が非常に高いこの作品、 ファンに対してはこの部分でほとんど説明がいらないのです。 そのままメンバーに重ねてみればいいだけです。 唯一、中西さんだけが、 「滑舌が悪い」 「声が出なくなった」という原作にはない設定がもりこまれ、 演者の杏果に重なるように誘導されています。 このほかにも、 ユッコ(しおりん)と中西さん(杏果)が打ち解ける重要なシーン、 舞台道具に色を塗ってるシーンは、 ユッコが緑色、中西さんが黄色(お互いが相手のももクロでの担当カラー)を塗っているという象徴的な演出
さらに、結構重要なシーンでのBGMに 「行くぜっ!怪盗少女」や「あの空へ向かって」が使われていたり、 最終的にエンドロールで唐突に始まる「走れ!」 これら全てが、この映画が、ももクロの成長とリンクするのだと示唆され、そこに一番のキモがあることを教えてくれます。 そのために、ファンは歓喜し感動を覚えるのです。 逆にファン以外の人間には、そのキモが全くわからないでしょう。 つまり、この映画はももクロを熟知した者がファンにのみ向けて作った限定的な傑作なのです。 よく、「人を選ぶ映画」といわれるものがありますが、 たぶんこの映画は「ファンを選び出す」映画です。
結論:この映画は「アイドル映画」の範疇からはずれない、 逆に「アイドル映画」をとことんまで突き詰めた映画です。 そこにこそ、この映画のキモと制作者の覚悟があるのです。 【りけい】さん [映画館(邦画)] 5点(2015-03-03 21:25:28) (良:1票) |
2.ふつうに面白い映画でした。悪くないと思います。 映画としてよりも、ももクロファン向けの色のほうが強いかな、という印象。 なので「映画」としての点数は6点と少し辛目の評価に留めたいと思います。 それはさておき、5人の輝いてる姿は観ていて至福ですね。 個人的な趣味ですが、制服姿がすごく可愛かったです。 ただ、それ以上に吉岡先生が魅力的で釘付けでした。 原作知らないのでなんとも言えないけど、もっと吉岡先生を見たかった! 【愛野弾丸】さん [映画館(邦画)] 6点(2015-03-01 11:09:04) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 1月27日の完成披露試写会にて鑑賞(鑑賞環境に試写会ってあるんだから書いていいんだよなこれ?) 原作自体がもともと好きで、それの映画化しかも主演がももクロということで否応なしに期待度が上がってしまっての鑑賞。もちろん自分の思い描くようには映像化なんてされるはずもなく、観終わってみればやっぱり「そつなくまとめたなー」が第一の感想。 勿論一般人にも耐えうる作品だと思うが、メンバーや周りの人間関係を知らなければ「なんでこの人がこれに出てるの?」とか「なんであそこはああいう演出だったの?」とか出てくると思うので、やっぱりファンのための映画なのだなと思う。映画で勝負するというのであれば、そうしたファンサービスは必要最低限に止めてほしかったというのが個人的感想。 じゃあつまらなかったかといえば全然そういうわけではなく、印象的な場面はいくつもあった。 自分が長く追っかけてるからというのもあるけど、まずはメンバーの演技力が格段に上がっていることに驚き。 原作自体も当て書きか?と思わずにはいられないくらいメンバーに合っていたけれど、映画版は自然な状態でよりメンバーに近づけてあるので、ある程度知っている人なら色々と思い出すこともあるでしょう。 そして、ラスト。常套手段ではあるけど、ああ出られてはもう言葉がありません。 期待度が高かったために今回はこの点(それでも7点)ですが、公開後また見直してたぶん点数が上がってくと思います。それなのでとりあえず暫定点ということで。 ≪追記≫すいませんね。得点上げさせてもらいます。そりゃ舞台挨拶含めて17回、舞台も5回も観れば思い入れだって強くなります(笑) でも好きだからこそ何度も観ているし、観返せば富士ケ丘高校のいつもの面々やどんな形であれ青春を謳歌していた高校時代のことを思い出させてくれるので、自分にとっても特別な作品です。 【クリムゾン・キング】さん [試写会(邦画)] 8点(2015-01-31 20:11:15) (良:1票) |