8.《ネタバレ》 ああこいつのレビューは大変かも…でもオイラ的には避けて通れないしなあ…。 いま名づけましたが「Uボート映画の原理」とでも言うべきモノがありますな。 1.潜水艦には頭脳派の名艦長が搭乗している。 2.いろいろあって駆逐艦に目をつけられる。 3.駆逐艦の艦長は猟犬なみにタフな野生派か頭脳派。 4.潜水艦1隻を沈めるために爆雷を出血大サービスするが、初手は爆発深度を予測されて失敗。 5.丁丁発止の駆け引きをするうちに潜水艦側が手詰まりになって、 6.耐圧深度ギリギリまで潜って難を逃れる一発勝負に出たり、 7.音をひそめて死んだフリしたりして、 8.一発必中の機会を待つ…。 この「駆逐艦」の部分を「軍事アナリスト」に変えたりすると、もうちょっと幅が広がりますね(苦笑)。さて、このうち8割くらいは、この映画で生まれた定石と言っていいんじゃないでしょうか。これは潜水艦映画が、他の多くの戦争映画とはジャンルのレベルから違うという事です。上記ルールを半分以上守ってる映画は、(沈むか、逃げ回って逃げ回って運がよければ一発逆転という展開しかない)潜水艦側に圧倒的に不利です。もう観客が、潜水艦の艦長に感情移入しないワケがない。これ、戦争というよりスポ根ドラマの枠組みなんですよね。本作以外にも『深く静かに潜行せよ』『レッドオクトーバーを追え』『U-571』…例の日韓2作は見てませんが…。 ところがこの原理に従わない潜水艦映画がふたつありまして、『Uボート』と『クリムゾン・タイド』ですな。潜水艦を舞台に「戦争」を描こうという勘違いをしたせいで(って言っても『Uボート』は潜水艦ファンへのメッセージでもあり確信犯でしょうけど)「別にミサイル基地の中でも塹壕の中でも撮れるやん」って感じの映画になっちゃってます。その他の例外はSF映画。『海底2万リーグ』『渚にて』『ミクロの決死圏』『復活の日』『アビス』…まあここでの潜水艦は戦闘目的ではなく冒険装置・人類生存装置みたいな役割ですから。敵はタコさんだしね。 というワケで「潜水艦映画」の規範を作り、ストーリーを戦争の本質から上手に切り離し、潜水艦という卑怯な弱者をヒーローに仕立て上げちゃった本作の功績は限りなく大きいのです。ただ本作には原作がありまして、原作ではもっと濃い駆け引き(『U-571』で使われる死んだフリ作戦もある)が展開されてます。ご参考までに。 【エスねこ】さん [地上波(吹替)] 10点(2005-06-01 04:36:14) (良:3票) |
7.CGでは無い爆雷攻撃が凄い 【マーガレット81】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-11-11 22:16:30) (良:2票) |
6.眼科の敵。耳鼻科か?何言ってるんだ。戦争映画です。駆逐艦とUボートの戦い。駆逐艦がかなり優勢に攻める中で、一発逆転を狙うUボート。米駆逐艦側を主人公にするのなら、いわば普通の映画とは逆の展開です。だもんで、互いの駆け引きが、どちらかに肩入れすることなくじっくり描かれています。ところで昔、この映画は別のラストも作られてたとかいう話を聞いた気がするんですが全くのウロ覚え。どうなんでしょ? 【鱗歌】さん 7点(2003-09-15 01:25:59) (笑:2票) |
5. おおっ!ナカナカ好評じゃありませんか。嬉しいですねぇ♪この当時でココまでドイツ軍を平等に描いた戦争映画って他にありませんから、可成り新鮮だったでしょうね。感動の名作とかではないですが、98分を潜水艦対駆逐艦のスリリングな読み合いで押し切るディック・パウエルの引き締まった演出は、個人的に大味なオールスター超大作などより遙かに好感が持てます。アメリカ人が扮したステレオタイプの偽ドイツ将校とかじゃなく、ドイツ人俳優クルト・ユルゲンスにヒトラー嫌いだが祖国愛に燃える潜水艦艦長を演じさせているのもグッと説得力を増していると思います。ドイツ人だって皆が皆ナチスに心酔してた訳ないですからね。勝負の結果も言わば「痛み分け」ですから、一方的な連合軍万歳映画じゃないと思いますし、ああいう爽やかな結末は案外ありそうで実は本作以外には殆ど見受けられません。もっと再評価して欲しい逸品だと感じてマス。余談ですが、モロ直訳ながら確かに味のある邦題ですよね?昨今の邦題(やたらと片仮名連発)は手本にして貰いたいくらいですよ。 【へちょちょ】さん 8点(2003-01-06 01:10:15) (良:2票) |
4.アメリカの駆逐艦vsドイツのUボートの息詰まる攻防を描いた、潜水艦モノの秀作です。 ロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンス。タイプは全く異なりますが、両軍の艦長を演じる2人のカッコよさ! 戦争をする敵に対する憎しみを前面に押し出すのではなく、 次第に敵の指揮官をリスペクトしあうに至る2人のプライドをかけた次の一手の読み合いにじっくり時間が使われる。 2人共に戦争で大切な家族をなくしていることが前半に語られます。 Uボート指揮官の「この戦争に勝っても名誉は無い。無益な戦いだ。」という序盤の台詞も印象的ですが、 双方の指揮官の戦争に対する微妙な心理が垣間見えてくる。 そういった思いが互いのプライドをかけた戦いが終わった終盤の行動や、ラストの2人の短い会話にもつながっていく。 潜水艦モノとしての醍醐味も十分にして、2人の指揮官の男対男のドラマとしても見応え十分で、 演じる2人の名優の素晴らしさと共に脚本の素晴らしさが十分に感じられる作品です。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-08-15 18:07:54) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 双方有能な指揮官による、敵の手の内を探りながらの知能戦。 艦長同士が戦いの中で生まれる互いへのリスペクト。 できる者はできる者を知る。 特に、戦闘前までは味方に素人扱いされていたアメリカ側駆逐艦艦長の、爪を隠していた鷹っぷりがカッコいい。 知将同士の好敵手である戦国武将のような、死闘を繰り広げた後のボクサー同士のような、殺し合いなのにフェアで爽やかなものが感じられる。 戦争はもっと残忍で陰惨なもので、こんなわけにはいかないんだろうけど。 殺伐とした争いの世界でも、せめてこうした人間性を失いたくないという願望が見える。 双方の艦長ともにこの戦争には決して前のめりではなく、厭戦気分さえ感じられる。
ドイツ軍を敵として一方的に悪く描いてはいないのが良い。 ただ、潜水艦でドイツ人同士が英語で会話しているのはかなりの違和感。 アメリカの観客に気を遣ったのだろうが、字幕にすれば済むことなのに。 戦闘シーンは、この時代の映画にしては火薬も本格的に使ってリアルな迫力があった。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-12-11 02:22:56) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 初見は学生時代だったけど痺れましたね。「潜水艦映画に駄作無し」という格言はこの作品から始まっているのでしょう。プロフェッショナル同士のガチンコです。タイプは違えど、それぞれの能力や人格が丁寧に演出される。そのプロらしさに映画的な説得力を与えているところが本作の魅力です。クルト・ユルゲンスの、なにかをグッと堪える面構えが作品を引き締めています。対するロバート・ミッチャムの米国人らしい呆けた面構えも嵌ってます。でも、やっぱりこの作品の品格を高めているのはラストの命を大切にする遣り取りだった思います。戦争は無いに越したことはありません。でも、起こってしまったら「命の奪い合い」では無く「兵器の壊し合い」であって欲しいものです。 【アンドレ・タカシ】さん [地上波(吹替)] 9点(2012-04-09 23:12:00) (良:1票) |
1.「Das boot(邦題:Uボート)」の冷徹さ、圧倒的なリアリティとは較べるべくもないが、かわぐちかいじの漫画「沈黙の艦隊」のように、潜水艦の知的ゲームと見ればある意味で楽しい映画。まあ、将棋とか囲碁の世界ですな。 |