5.いいなあ・・・。是枝監督が独特のリズムで描く何気ない家族の日常の風景。 3姉妹が暮らす鎌倉に離れて暮らしていた末っ子すずが引越してくる。 時にはクスッとさせてくれる描写を含みながらの、4人ののどかな風景が心地いいのですが、 序盤は3姉妹プラス1という空気感も拭えなかったりする。 3人の姉に対し敬語を使うすず。ずっとここにいていいのかという思いが拭えない。 でも、学校やサッカークラブですっかり鎌倉での日常に溶け込んでいるすずの姿にほっとさせてくれる。 自分の知らない、でも確かに父がこの街にいたことを少しずつ感じるすず。 すずの学校生活や放課後の様々な青春の風景がいい躍動感をもたらせています。 姉妹の周りにいる鎌倉の人々や姉妹の何気無い日常を積み重ねていく内に、 気がつけばすずは3人にすっかり溶け込み、4姉妹になっていました。自然に、何の違和感も無く。 やはりこの監督はどうってことの無い家族の日常の中にあるドラマを描き出すのが本当に巧いと思う。
姉妹が暮らす古民家の佇まいがいい。 今時のドラマには見かけなくなった畳と丸いちゃぶ台の茶の間。 縁側。仏壇。年期を感じさせる茶箪笥。背の高さを測る柱の傷。家族の歴史を感じる。 こんな家には一家の大黒柱的な存在がつきものなのですが、 綾瀬はるか演じる、しっかり者の長女がちゃんとその役割を果たしています。 少しシリアスな内容を含みながらも次女、三女が産み出すちょっとした笑いが効いています。 姉妹の思い出の中にいる父の姿を徹底的に見せない。それも今を生きている感じが伝わってきて良かったのかな。 どこか昭和の空気をも感じさせる現代の姉妹と家族のドラマなのですが、 是枝監督にはこれからもニッポンの色んな現代の家族のカタチを見せ続けて欲しいと思います。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 9点(2015-12-25 17:05:01) (良:1票) |
4.なんか映画を観ているというよりも、人んちの日常を覗き見しているみたい。まさに「diary」ですね。とくにこれといってドラマチックなことがあるわけでもないけれど、四姉妹のそれぞれの心理描写をわずかなエピソードでテンポよく掘り起こしてくれるので、退屈することなく作品の世界に浸ることができた。監督の職人技に拍手です。それと綾瀬はるか史上最高の演技じゃなかろか。正直言って彼女の演技力はあまり褒められるようなものとは思えなかった。ところが別人!?ていうくらいいい演技をしてましたね。ビックリです!他の演者さんたちもみなイキイキとしていて、みていて清々しく気持ち良かったです。人の生涯って結局死んだあとに何を残すか、そこなのかな・・・。そう感じました。 |
3.「家族」って、とても面倒なものだ。でも、だからこそとても愛おしいものなのだとも思う。
私的なことだが、今年自分自身が家を建てることもあり、いつになく自分の家族や親戚とコミュニケーションを取らなければならないことが多い。 それ自体は、至極当然のことであり、幸福なことであるはずだけれど、そのコミュニケーションの中で、時折、いや頻繁に、自分自身が生まれ育った家族が見せる“弱さ”や“無理解”に対して、寂しさと憤りを感じる。 それは、僕自身の“弱さ”と“無理解”が露呈し、合わせ鏡のように相手に写っている結果であることは重々承知している。 ただし、それらを認め、何の不満もなく素直に受け入れられるほど、僕も、家族も、完璧なわけではない。
「家族」の中の些細な“ほつれ”は、そのまま些細なものとして消え去ることもあるし、小さな不満が募り不幸を呼び寄せてしまうこともあるだろう。 「家族」の形態は様々だけれど、ほとんどすべての人達は、そういう普遍的な危機感を孕んだ危ういバランスの上で、小さな人間関係を築き、支えあっているのだと思う。
随分と愚にもつかない前置きが長くなってしまったけれど、詰まるところ、この映画は、“四姉妹”を中心とした、「家族」の物語であり、穏やかで優しい時間の流れの中で、彼女たちが根本的な部分で持ち続ける人生の“苦味”を垣間見せる傑作であると思う。
普遍的な人間関係の機微を、極めて細やかに、それでいて卓越した技量で描き出したこの映画は、一つ一つのシーンの意味を言及するほど野暮になる。 ただ、最初から最後まですべてのシーン、すべてのカットが、映し出された瞬間に「名作」のそれだと分かる。
当然ながら、四姉妹を演じた4人の女優は、みんな素晴らしかった。 一見、人気漫画の映画化に際して人気女優たちを集めただけのようにも見える。しかし、実際にこの映画世界の中で息づく彼女たちは、“四姉妹”以外の何者でもなく、それぞれが息づく様をずうっと観ていたくなる。 この奇跡的なキャスティングそのものに幸福感すら覚える。ただそれも、一流の監督のなせる技なのだろう。
4人揃って砂浜を歩いていく姉妹たちの道程は、きっとこの先枝分かれしていく。 その度に彼女たちは、時には「面倒」と思いつつも、悲しみつつ、怒りつつ、相手のことを思うのだろう。 それはきっと、正しい家族の在り方の一つなのだと思う。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2015-11-04 23:30:02) |
2.是枝作品らしく四姉妹の自然な会話シーンが多く、だんだん引き込まれていく。でも展開や会話の内容がちょっと退屈で、『歩いても 歩いても』のような毒や凄みは無かったかな。しかし長澤まさみ、大人になったなー。 【noji】さん [映画館(邦画)] 6点(2015-06-25 22:11:47) |
1.いいですねえ。 観ているだけで、ほっこりする作品です。 続編やドラマ化を期待してしまいます。 自然と目が行ったのが、四姉妹のファッションセンスや着ているものですねえ。 このあたりは多分、監督はかなり気を遣ったんじゃないでしょうか。 美味しそうな食べ物や梅酒の話などは話に引き込みやすい小道具だったと思うのですが、カンヌをはじめ海外に出品するには説明するのが難解だったんじゃないでしょうか。 長澤まさみ出演作品としては、久々に満足できる出来だったと思いました。 【ミスプロ】さん [映画館(邦画)] 8点(2015-06-24 17:22:44) |