4.確かにもっと前の時代のハード・ボイルドを彷彿とさせる作品だと思う。ただしジャック・ニコルソンはハンフリー・ボガートみたいに隙のないヒーローではないのね。後半ずーっと鼻に絆創膏をあてがって登場するのがそれをうまく表現していると思う。鼻にキズを負わせたのがチンピラに扮したポランスキー本人というのがいいじゃないですか。テンポよく進むわけではないけれど(むしろ途中イライラする)結末が読めないのがいい。 つまりは「色と欲」あの父親がラストで娘を抱きかかえるようにして連れていくシーンにはゾっとさせられた。歪みきった執念、執着。まったくもってムカつくじじぃでした。 アクの強いニコルソンがここではわりとあっさりと見えるのがいい、フェイ・ダナウェイのミステリアスで退廃的な雰囲気も最高でした。ポランスキーの作品はラストがやるせないものが多いですね、バッド・エンドな映画というとまっさきにコレが浮かびます。 【envy】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2003-12-16 09:44:29) (良:1票) |
3.スタッフ、キャストの遊び心が楽しい、ハードボイルドをとことん遊んだ映画。浮気調査専門の私立探偵が元警官なのもハードボイルドなら、浮気調査を頼みに来る女が偽者なのもハードボイルド。ハメットが、チャンドラーが築き上げた、どこまでも情けなく己を笑い飛ばす悲しい男たちの後姿を、オリジナルシナリオで描き切った心意気は見事。ワンカットごとにクスクス笑いをこらえる撮影現場の茶目っ気が伝わって来るかのような、ベテラン達だけに許される大人の余裕が楽しい作品。「チャイナタウンで起こったことは忘れるんだ」・・・いかにもな名文句と、哀れな女と悲しい男。二重の責め苦を背負った女をけだるげに、ミステリアスに演じたフェイ・ダナウェイの存在感と、どこか間抜けで人が良く、タフになり切れない私立探偵ジャック・ニコルソンのとぼけた表情が、どこまでもやるせなく観客の心に残り続ける。傑作。 【anemone】さん 10点(2003-12-02 00:34:49) (良:1票) |
2.飄々としながらもフィリップ・マーロウ並みの行動力と推理力を持つ私立探偵ゲティスのもとに舞い込んできたありがちな夫の浮気の調査を進めるうちに、実はその裏に大掛かりかつ悪意に満ちた事件があったが、1つ謎を解いてもそれ以上の疑問が湧いてくる・・・という話。ロマン・ポランスキー、ジャック・ニコルソン、そしてスコアを担当したジェリー・ゴールドスミス各々にとってもエポックと言える秀作だと思うが、細部まで相当に拘ったでろう画面から醸し出されるある種のハードボイルドな雰囲気が最高で、それこそが本作の白眉。いつまでも陶酔していたくなる。ラストは次に何が起こるか分からないチャイナタウンならではか。 【ダイ】さん 9点(2001-08-03 01:36:10) (良:1票) |
1.1930年代のあまり景気のよくないLAの風俗を見事なまでに再現している秀作と言えるだろう。この作品の意外な拾い物は、名監督ジョン・ヒューストンのふてぶてしいまでの演技でした。まぁ正直言って納得のいく演技ではなかったものの、欲の塊と化した大富豪の老人を見事に演じていたと思う。ロマン・ポランスキー監督の見事な手腕を発揮したベストワークとも言えるし、また主演のジャック・ニコルソンとフェイ・ダナウェーも良かったと思う。実はこの映画のニコルソン、どこにでも首を突っ込むしがない私立探偵を嫌味なく巧い具合に上品に演じていたと思う。またフェイ・ダナウェーは激しい台詞の応酬ではなく、30年代の貴婦人を気品高く演じていたと思う。ただこの映画に10点を挙げられないのは、ただ釈然としないラストのおかげである。 【チャーリー】さん 9点(2001-06-18 20:50:38) (良:1票) |