2.《ネタバレ》 この映画にはハイライトが二つある。そのふたつはインパクトと同時に、時代の流れも映している。 ひとつ目はあれだ、あの鼻だ。鼻から流れる血を鼻血と言うが、あんなに痛い鼻血は見たことが無い。殴打で流れる鼻血とは質が違う。主人公が負わされる怪我という意味で、あの鼻は過去に見た映画の中でも最大級のインパクトだった。エイリアンに食い破られる腹のレベルだ。そして、あれは現代ではなかなか出来ない描写だと思う。鑑賞年齢が制限される。 ふたつ目はフェイ・ダナウェイの告白。「彼女は私の娘で妹よ!」。5秒くらい間を置いてから、やっと意味が分かる。なんか、百恵ちゃんの赤いシリーズみたいなオチだ。そんな時代だったんだ。彼女をソファまで張り飛ばすジャック君の力の入り方も、最近ではなかなか見られない激しさだった。 アカデミー脚本賞を受賞した本作。実は2回観て、じっくり吟味した。省略されている部分が「行間を読む」的な深さになっている。大人のサスペンスだ。ただ、ひとつだけ腑に落ちない部分がある。事の真相を知ったジャック君が彼女を逃がそうと画策している最中に、鬼畜ジジイにコンタクトしたこと。あれは明らかな失策だと思う。無事、船で逃げた後で良かったはずだ。そこだけは、熟練の探偵らしくなかった。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-19 03:19:20) (良:1票) |