4.《ネタバレ》 スティーブ・ジョブズ――。IT業界黎明期において革新的な製品を幾つも世に送り出してきたものの、その偏屈で傲慢な性格からいまだ毀誉褒貶の激しい彼の人生を、時代時代における三つの重要なプレゼンテーションの舞台裏を切り取ることによってスタイリッシュに描いた伝記ドラマ。その無駄を大胆に切り落とした野心的な構成(60年にわたるジョブズの人生を描くのに実質3日分しか描いていない!)はいかにもダニー・ボイルらしい見事なもので、なのにちゃんと彼の性格や人生を過不足なく表現しているのはさすがという他ない。これを並みの監督が安易に挑戦したりすれば、多くの場合もう目も当てられないものにしあがってしまうことだろう。流れるように展開されるスピーディーでスタイリッシュな映像、軽快でノリのいいその音楽センス、実力派の役者陣が織りなすパワフルな演技バトル。エンドロールが流れるまでの2時間弱の間、僕は映画の世界にどっぷりと浸かって見入ってしまった。なかなか完成度の高い作品であったと言っていいだろう。ただ、このジョブズという人のことはもちろん知ってはいたけれどそれほど興味もなく、またアップルの製品ともほとんど関わらずに生きてきた僕のような人間には、いまいち興味を持ち辛いテーマであったのでそこまで高評価というわけにはいかなかった。これは相性の問題だろう。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2016-12-03 00:43:52) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ipadで鑑賞したので、なんか不思議な気持ちになりました。映画の方はびっくりした。物凄く奇妙な構成やったから。新製品発表時の舞台裏で、ジョブズが主に5人くらいの人と口論するとゆう展開。これが3回続くのが映画全体の流れ。僕はジョブズやアップルに関して全く知識がない。なので、なんの話をしているのか、なんで喧嘩しているのか、チンプンカンプン。早口だし。ただ、退屈かと言えば、そーじゃなかった。なんか、わからないなりに、ジョブズの人間性や天才性、変人性がチョロチョロ見え隠れしていて、わかんないけど、だからこそ、逆にジョブズってゆうキャラに興味が湧いてきて、もっとよく知りたい感で、興味が持続した。それに3回とも一見ほとんど同じ感じなんだけど、撮り方や雰囲気が違っていて、最初の方は、なんだか映像的に昔風だし。最後の方は音楽とか映像処理とか現代的。そして観てるうちに、娘との関係性にドンドン感情移入してしまい、最後、娘に、「そのポケットに1000曲以上音楽を入るようにしてやる」ってセリフで、なぜか号泣。天才、だけど、完璧じゃない。娘への愛情には不器用。だから出たせーいっぱいの愛情的な言葉が、その発想とかやっぱジョブズ的とゆーか、でも、それに娘がなんかわかってる感じで反応してるシーンに、感動しちゃいました。これは映画で、真実とは違うかもだけど、1つの物語として、良かったです。 【なにわ君】さん [インターネット(字幕)] 10点(2016-10-10 08:10:36) (良:1票) |
《改行表示》 2.私は新規事業立ち上げに当事者の一人として携わった経験があるのですが、人の話を聞いていると事業はまったく前に進みません。特に、今まで世になかった商品やサービスを開発し、供給により需要を生み出すというタイプのビジネスではあらゆる人からリスクばかりを指摘され、できない理由を朝から晩まで聞かされることとなるため、人の意見は聞かない、聞いても自分に都合よく解釈し、「成功するはずだ」と信じて一度決めた道をひた走るという資質が経営者には求められます。 本作で描かれるスティーブ・ジョブズは完璧なクソ野郎です。脚本を書いたアーロン・ソーキンは『ソーシャル・ネットワーク』と同様にカリスマ経営者の悪しき一面を描くことに関心を持っており、間違いなくジョブズに対する悪意をもった作品であると言えます。そのクソ野郎ぶりを眺めることが本作の一義的な楽しみ方だと思うのですが、それと同時に、ビジネスの世界で成功するためにはこれくらい極端な人格を持つ必要があるという勉強にもなります。自身のビジョンに絶対の自信を持ち他人の意見に左右されないこと、部下の事情など考えずにビジョンの実現のみにこだわること。凡人にとってここまで自分を貫き通すことは難しく、どこかで心が折れたり、目標や方法がブレたりするのですが、ベンチャーを成功させる経営者はメンタル面での圧倒的な強靭さを持っています。そして、経営者を間近で見ていると、そのような人物像は一種の才能であるかのように感じられます。 英語では才能をgiftと言い、神からの贈り物という含みがあります。劇中で相棒のウォズニアックから指摘される通り、ジョブズにはハードウェアを作る技術も、プログラムを書く技術もなく、後天的な努力をしてスキルを磨いてきた人物ではないのですが、他方で自身のビジョンを信じて突き進むという人格面での強靭さと、10年先20年先の社会を読んだ上で当たる商品コンセプトを思いつくという先天的な能力には恵まれており、まさに神からの授かりもので生きてきた人物だと言えます。人格面では最悪で多くの人から嫌われているものの、凡人がどれだけ努力しても身につけることができない才能を持っていることから、部下達は彼の元を離れることができません。努力で自分の価値を高めている秀才にとって天才とはズルくて憎たらしい存在なのですが、ジョブズとウォズニアックの関係はまさにそれを象徴しています。 作品は3部構成であり、それぞれ重要なプレゼン前のバックステージを舞台としており、膨大な量のセリフのみによって物語は進められていきます。そのような特殊な構成をとっているために視覚的にはやや単調なのですが、ジョブズという人物像がそもそも強烈である上にマイケル・ファスベンダーの熱演もあって、彼の最悪な発言を聞いているだけで2時間はもってしまいます。ただし、状況や人物に係る説明的な描写はなく、ジョブズの人生を知っていることが鑑賞の前提条件となることから、間口の狭い作品となっていることは残念でした。また、天才を突き放した視点で眺めた作品であるためか、鑑賞後に特に心に残るものがありませんでした。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2016-08-18 18:21:36) (良:1票) |
《改行表示》 1.飛行機の中でたまたまやってたので見ました。 ちょうど2013年度版のジョブズを見たばっかりだったので、ある意味グッドタイミングで視聴できました。 正直、私はジョブズのコアなファンでもなければ、アップル信者でもありません。 ということは、ジョブズのことなんて前記の2013年版の映画レベルの知識しかありません。 この映画は製品発表会の舞台裏でのいざこざにフォーカスをしていて、正直万人がみて楽しめる映画にはなっていません。 ジョブスの人柄をしるとか、歴史をしるとかという丁寧な作りではなく、ある程度ジョブズのことを知っている人間にしか面白さは感じないと思います。 例えば、トヨタプリウスの開発から試行錯誤しての発表という映画なら見ても面白いだろうけど、いきなりプリウス発表会でケンカ騒ぎがありましたという映画が面白いと思いますか?そんな映画なんで、ジョブズのことをあまり知らない人は、まずは2013年版を見て興味を持った方が見る映画かなと思います。 そうしたちょっと知識があれば、その映画の裏舞台という感じで楽しめるかと思います。 【シネマファン55号】さん [ビデオ(吹替)] 5点(2016-04-21 13:39:16) (良:1票) |