4.《ネタバレ》 「芸術とは積み重ねたコインを真上から見るようなもの」とある芸大学長の講演でそのような話を聴きました。 シンゴジラはまさに日本映画芸術の現時点であり、高く高く積み重ねられたコインの中にはこれまでのゴジラ(東宝特撮)シリーズ、ウルトラマンやパトレイバーは勿論、邦画(アニメ含む)の名作・傑作の数々が含まれていて、更には 鳥坂先輩や空想科学読本にはじまる「シニカルでリアルっぽいファンタジー」の終着地になっています。そして「さぁ、次は君の番だ!」とバトンを渡すがごときメッセージが感じられ、「神」「芯」「進」 TV特番でキャストの皆さんが示した「シン」に込められた想いにも 日本語=日本人 の奥深さや可能性が込められていて感慨深いものがありました。蛇足になりますが田んぼアート「シンゴジラ」の「なるほど!」と唸らされる見事さがまた嬉しかったりする 日本だからできた、日本人に見て欲しい 日本らしい映画です。 【0707usagi】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-07-31 01:28:33) |
3.《ネタバレ》 純粋に面白かった。登場人物の多さや、会議シーンの長さなどある程度の前情報を持って鑑賞したが、期待をはるかに上回る面白さだった。 会議は踊る感じから、無人新幹線での爆弾突撃、在来線爆弾セットとか最高。 背ビレから放射線ビーム出しまくるゴジラ、ヘリコプターで脱出する途中あっさり撃ち落とされる総理大臣、大破壊される東京、また観たい。 石原さとみの英語はイーオンでしょうか。 満点つけたいけどこれ以上のゴジラ映画出てきて欲しいので9点。 【おとばん】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-07-30 22:43:34) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 (初見時以降適宜修正)ゴジラファンという自覚が全くないにもかかわらず、なぜか必ず見に行くはずだと周囲の人々に思われていて圧力を感じたために仕方なく見たが、公開初日を含めて結局3回見た。何度見ても退屈を感じる暇のない映画だが、それは早口のせいもあると思われる。真面目なだけでなく微妙に笑えるネタも仕込んであり、個人的には冒頭の映倫マークで足音一つというところから可笑しい。特に巨大不明生物が初めて全貌を見せた場面はかなり衝撃的(笑)で、これは見事に意表をつかれた感があった。終盤の在来線爆弾も悪ふざけのようで、やりやがったなと苦笑させられた。
ストーリーとしては、要は前例のない大災害への日本国の対応を描いている。野次馬的な国民も被災者も、各種勢力の蠢動も登場人物の家庭環境も全てチラ見せした上で、政治・行政・防衛と対外関係に絞った形になっている。 政治家に関しては、世俗にまみれた人々が状況に急かされて覚悟を固めていく様子が描写され、総理も最後は惜しい人を亡くしたという気にさせられる。とても人格高潔そうには見えない人物が骨のある発言を聞かせるとか、いかにも優柔不断な責任者が、その場になれば自分のやれる方法で最善を尽くそうとするのもいい。官僚組織や学者にも、現実的かつ発想力と対応力のある人材はいるはずだということが表現されている。 対外関係としてはあくまで対米関係を主軸にし、対馬沖で騒いでいたのは何かなど名前すら出ない。米軍機が東京を爆撃したのはさすがに反感を覚えたが(2機撃墜!)、最後は自国の才覚で何とかする形になっていたのは安堵した。最終的には期待と懸念を両方含む不透明な未来に向けて、友達とも限らない大国と付き合いながら国の舵取りをしていこうとするラストはリアルともいえる。ハッピーエンドともバッドエンドともいえない状態でどこまでも続いていくのが現実ということだ。 自分の若い頃は現実に即した自由な考えが許されない息苦しい時代だったので、今になってこういう真っすぐな映画が製作されて普通に受け入れられたのは感慨深い。ちなみに劇中には自衛隊に関わる格好いい台詞が複数あって少々やりすぎかとも思ったが、その中でも「仕事ですから」くらいなら、何らかの社会的使命をもつ人は官民問わずに誰でも言える。
そのほか女優の出演が少ないという意味では映像的に華がない。ヒロイン風に出る日本人顔のアメリカ女は目障りでしかないが、少なくとも前半ではこの人物が、外国からの介入の煩わしさを思い切り体現していたのだろうから嫌われて当然である。この映画としては、最終的にこの人物への好感度を回復させるよう狙っていたのではと思うが、少なくとも自分に関してはそうならないまま終わってしまった。まあこのキャラクター自体がマンガと思えば突っ込むまでもないということはある。 一方で、化粧気のない環境省自然環境局野生生物課の課長補佐は変人風で付き合いにくそうだったが、必要なことを真っすぐに言う人物は正直好きだ。この人が劇中初めて破顔した場面は泣かせどころだった。
[2024/5/25追記] 「-1.0」を見た機会に再見。映画の伝えたいメッセージは「この国はまだまだやれる」だった気がする。「戦後は続くよどこまでも」というのは当時も今と同じだろうが、それでも持てる潜在力を発揮して、日本国の意思と主体性を確立してもらいたいという願いが感じられる。2024年の現在になってみれば「まだまだやれる」などとは全く思えない有様だが、逆にこの映画の時点で共感できたということは、当時は本当に「まだまだやれる」可能性があると思える時代だったということだ。1954年の原典版と同様に、公開時点の世相をちゃんと捉えたゴジラ映画に思われる。 【かっぱ堰】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-07-30 21:40:56) |
1.エヴァは投げっ放し、実写の評判が著しく悪い庵野監督をなぜ起用したのかと殆ど期待していなかった事もありましたが、全く裏切られました。興奮、感動の一言です。見終わった後も議論の余地を残す傑作に仕上がっています。監督らしくエヴァ色は濃かったです。グロテスクなクリーチャーが変態を繰り返す、ゴジラと言うより使徒を想起させましたが核や震災等現代に見合った新しいゴジラ像が見事に表現されています。旧来からのゴジラファンですが、十二分に満足出来ました。語りたい事が多過ぎますが、それは聡明なる評論家にお任せしたいと思います。 多くの日本人に観て貰いたい。この国はまだやれる、天晴れ。 【Kの紅茶】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-07-30 17:04:01) |