6.《ネタバレ》 TVの財テク番組で銘柄推奨を派手にぶちかます、考えるだけでも製作側には恐ろしくリスクがありますよ、こんな番組のキャスターは命がいくつあっても足りません。日本じゃ絶対にあり得ない番組ですけど、アメリカではたとえCSやケーブルテレビ放送だったとしてもモデルとされる様なコンテンツがあるんでしょうかね、気になるところです。 ジョディ・フォスターもすでに何本も監督経験があるんで、手堅く撮っています。どこか雰囲気が、彼女も出演していたスパイク・リーの『インサイド・マン』と通じるところがあったような気がします。ストーリーの行き先は序盤でほぼ推測できますが、お話しの引っ張り方というかサスペンスの盛り上げ方はなかなかの手腕かとお見受けいたしました。説得させるつもりで警察が連れてきた彼女が犯人を罵倒し倒すところはもちろんですけど、個人的にはジョージ・クルーニーが命を懸けて買い推奨したのに、逆に値が下がってゆくところが爆笑でした。序盤はチャラい業界人丸出し、乱入されてからの小人物感丸出しのうろたえ振りを見せながら、だんだんとシリアスになっていつものクルーニーになってゆくジョージ・クルーニー三変化も愉しめます。だけどあんな短時間で真相を暴いてしまうというのはご都合主義全開で、ここでも最近のハリウッド映画お得意の“困ったときはハッカーを使え”でした。この風潮、何とかなりませんかね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-24 23:04:43) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 ジョディ・フォスター、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツというハリウッドの意識高い系が揃って参加しているだけに重厚な社会派サスペンスを予想していたのですが、実際にはフットワークの軽いコンパクトな犯罪ドラマでした。 本作で驚いたのはジョディ・フォスターの演出力や構成力の高さであり、実にうまくドラマが流れています。主要登場人物の紹介や人となりの説明を冒頭10分で簡潔に終わらせるとすぐに事件発生という手際の良さ。また、被害者と加害者から協力者へという主人公二人の関係性の変化も極めて自然であり、そこに違和感はありませんでした。リーが自身とカイルの幸福度をスコアー化し、金を持っていることが必ずしも幸福には繋がっていないという事実を突いたり、カイルが奥さんにこっぴどく叱られたりといった象徴的なイベントがうまく挿入されているため、語り口に説得力があるのです。 またサスペンスの構図もうまく作られています。小市民に過ぎないカイルではリーを撃てないことは誰の目にも明らかであるため、代わってリーの救出よりも爆弾解除を優先したい警察のスナイパーがリーの懐にある起爆装置を狙っているという設定を置いています。「リーは重傷を負うけど心臓には当たらない位置に撃つから、すぐに蘇生すれば大丈夫だと思う」などと怖い計画を立てているわけです。これにより、いつ発砲されるか分からないというサスペンスを作り出しており、うまく考えられた設定だと感心しました。 問題点は、鑑賞後に何も残らないということ。前述した幸福度のスコアー化や、大企業の資金運用の杜撰さなど、何か深いことを言おうとはしているものの、そのどれもが観客の思考や人生観に影響を与えるレベルにまでは昇華されていないのです。この辺りがもっと鋭く尖っていれば社会派サスペンスの秀作になった可能性もあっただけに、やや中途半端に終わった点は残念でした。 他方、衝動的で子供っぽいリーの後ろにはしっかり者のパティがいたり、愚かなカイルが奥さんに叱られたり、運用で大赤字を出したうえに隠蔽したアイビス社CEOの不正を女性幹部が暴いたりと、劣った男と賢い女という図式が全編に渡って繰り返し示される点は、ややしつこいかなと思いました。この点については、監督の個人的な志向が表に出すぎているように感じます。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2017-01-12 20:07:48) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 導入部では、まあ大体定石通りの展開なのかな?と予想していましたが、意外に悪くありませんでした。MVPは犯人をさんざん怒鳴りつけてあっさり消えるあの彼女さん。普通ならここで涙の説得か何かが入って、それを契機に次のステップへ・・・なのですが、台風のように全部破壊し尽くして去ってしまいました。その後の、犯人も局関係者も警察も含めた「どうすんだよこれ」感がたまりません。あと、座ったまま指示だけの芝居を続けるジュリア・ロバーツもなかなか楽しそうでした。それに比べるとジョージ・クルーニーはちょっと大物感がありすぎて、この役に要求される出発点としての軽薄さや小市民感が少し足りない感じ。20年くらい前だったらはまり役だったのでしょうけど。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-07-06 01:02:25) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 才媛ジョディ・フォスター監督にしては、ひねりの無いやけにストレートな出来でした。ウォール街全体にはびこる搾取システムを糾弾するのかと思ってたんだけど、一企業CEOのセコイ企みを暴くだけでした。その発覚の仕方もやたらイージーで頂けません。TV局とハッカーが結託してものの数十分で真相が明らかになるのですよ。そんな簡単な。 G・クルーニー扮するTV司会者と投資に失敗してキレた襲撃犯がなんとなーく心通わすんだけれど、その辺の心理機微もざっと済ませてしまってる。ほかにも「何をどう考えてるのかなあ」と物足りないキャラばかり。悪徳CEO本人やその背反秘書の気持ちとかジュリアとクルーニーの関係とか、私には今ひとつぴんと来なかった。 もっとも、個人の内面等をすっ飛ばした結果、事件の展開がテンポよくさくさく進んだともいえますが。 そうそう、ジョディ監督が”awful"と評したクルーニーの下手くそダンスシーンが見どころでもあります。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-10-08 16:49:28) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 面白い素材だと思うんですけど、ちょっと核心から逃げてるかな?勝ち組がむさぼるように金融の世界で勝ちまくっているのを描いた映画かと思いきや、スタジオジャックした青年の損した取引は、金でストを引き起こした、意図的な株価操作だったというオチ。金融でボロ勝ちしてる連中を糾弾してくれれば、スッキリしたのに・・。エリートのジョディフォスターには、ここまでが限界だったんでしょうね。映像も画面の隅々まで色んなものがチカチカ光ってて、演技に目が行かないですね。ジュリアロバーツと気づくのに、時間がかかりました。ジョージクル二ーもセクシーさが薄く、高画質映像時代は役者のオーラが確実に薄くなりますね。映画新時代でしょうか?でもギリギリのところで個人個人の正義感が発揮され、ジョディ監督の熱い気持ちは伝わりました。せっかくだから彼女も映画に出てほしかったなぁ。 【トント】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-01-08 00:37:35) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 この映画のメッセージは、現代社会への警鐘を鳴らしてるんじゃないかな。底辺であくせく働く人間が、とりあえずお金には困らない階級の人たちに牙をむく。多くの人達が熱狂、賛同しその牙をむいた奴に熱い視線を送る。しかし・・・それも終わってしまえばもはや過去の遺物。誰も興味関心など微塵もない。要するに、どんなに底辺の人間が正義や自己を主張しても、巨大化した情報社会とそれに付随するマネーの前には、一時の打ち上げ花火でしかなく、なんの効力もないということ。無力ってこと。お金、権力が全てってこと。虚しいけどこれが現実なんでしょう。
犯人が射殺され、その中継を見ていた人たちはしばらくは沈痛な面持ちをしていたけれど、それぞれの日常に戻るまでさほど時間を要さず、とくにホッケーのゲームにすぐに熱中し始めたシーンは、まさに、ああこれが現実なのね、と言わんばかりでこの映画の主題を見て取れる。
お金儲けに失敗した底辺の人間が、気が付けばいいようにTVショーの駒にさせられてしまった。ああ、なんてやるせない映画でしょう。ジョディよ、あんたって昔のイーストウッドみたいな映画、よくぞまあ作ってくれたもんだ。サンキョー!そしてこれからもこういった、後味の悪い映画、作ってね。 |