葛城事件の投票された口コミです。

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葛城事件

[カツラギジケン]
2016年上映時間:120分
平均点:6.06 / 10(Review 17人) (点数分布表示)
公開開始日(2016-06-18)
ドラマ犯罪もの戯曲(舞台劇)の映画化
新規登録(2016-06-15)【DAIMETAL】さん
タイトル情報更新(2018-03-20)【イニシャルK】さん
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監督赤堀雅秋
キャスト三浦友和(男優)葛城清
南果歩(女優)葛城伸子
新井浩文(男優)葛城保
若葉竜也(男優)葛城稔
田中麗奈(女優)星野順子
原作赤堀雅秋(原案)
脚本赤堀雅秋
撮影月永雄太
製作ファントム・フィルム(「葛城事件」製作委員会)
テレビマンユニオン(「葛城事件」製作委員会)
制作テレビマンユニオン(制作プロダクション)
配給ファントム・フィルム
録音菊池信之
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【口コミ・感想】

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1
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6.《ネタバレ》 評判に違わぬヤバイ映画でした。池田小事件や秋葉原通り魔事件などの凶悪犯達を育てた家庭とは一体どんな状態にあったのかという点を深く深く煮詰めた作品なのですが、常人では考えられないほどの凶行に及んだ人間の源流を辿っていくと、誰もが思い当たる心の闇や歪な家族関係に行き着き、「少し誤っていたら、自分も殺人犯になっていたのかも」「自分も犯罪者を育ててしまうのではないか」という不安を掻き立てられます。見ている間中「これはお前の話だ」と言われているようで、とにかく居心地が悪いのです。 家庭内でもっともソリが合わないように見える親父と次男ですが、実はこの二人はよく似ています。自意識が肥大化し、ちっぽけな自分の実像を受け入れられない男達。親父の方は継げる家業があったし、団塊の世代で若い頃には社会環境に恵まれたこともあって、それなりの社会的地位に安住することができましたが、根底には自分の可能性を一度も試してこなかったというコンプレックスがあって、その反動から「俺は強くて偉いのだ」ということを至るところでアピールしたがります。家族に対して高圧的に接するのは当然のこと、事あるごとに「男は一国一城の主で」みたいな説教を始めるので本当にめんどくさい。そして本作最大の見せ場である中華料理屋でのイチャモン場面ですよ。物凄い剣幕で店員を怒鳴りつけているので何事かと思いきや、よくよく聞いてみると「麻婆豆腐がいつもより辛い」ということを訴えているだけ。しかもカメラがパンすると、長男の奥さんとご両親が気まずそうにごはんを食べている。よりによってこの席でそんなことするかと誰もが思う一幕ですが、あの親父は、この席だからこそあのような態度をとっているのです。自分は強いということ、そして「あなた達のために不届きな店員を叱ってあげましたよ」ということを全力でアピールしているのです。この親父は万事この調子で、自己アピールや他者への愛情表現がすべて裏目に出ています。ただし悔しいのが、これを鑑賞している私自身にも恐らく同様の一面はあるということです。中華料理屋のようなことを、自分自身もやらないとは言い切れません。 次男は時代に恵まれなかったために何者にもなることができず家に引きこもり、世界で唯一自分の思い通りになる母親に対して暴言を吐いたり暴力を振るったりしながら、「自分は何事かを成し遂げられる人間だ」という自意識のみを肥大化させています。親父には「自分の城を守る」という大義名分があったものの、次男はそんな目的すら持てない中で煮詰まっていき、その後自意識と現実との間にできた絶望的なギャップを埋めるために凶悪事件を引き起こします。この凶悪犯製造プロセスもまた対岸の火事ではなく、どんな家庭でも起こりうることとして描かれています。 他方、完全に常軌を逸しているのが収監中の次男との獄中結婚をする女。面会室のガラス越しに数回接見しただけの凶悪犯との結婚を決意し、この結婚のために肉親との縁を切ってきたと言い、他の登場人物にとっても観客にとっても何を考えているのかサッパリわからないキャラクターなのですが、この女が親父と次男を容赦なく追い込みます。 まず次男。親切に差し入れをしたり、気遣いの言葉をかけてくれる女に対して彼は暴言を吐いたり、無関心を装った態度をとっているものの、これって母親に対する態度と同様のものであり、彼なりにこの女を受け入れて心地よさを感じているのです。しかし女はそんな反応を読み切れず、いつまで経っても自分が受け入れられないまま死刑の時が迫っていることに焦る中で、最後の最後に自分の身の上話を始めますが、これが次男を絶望の淵へと追い込みます。「昔、彼氏の安アパートでずっとセックスしてたのよ」という痴話ばなしなのですが、恐らくは童貞であり、かつ、世捨て人の如きこの女も当然自分と同類だと思い込んでいた次男は、この女の人生にも人並みに幸福な時期があったということを知って愕然とします。そこから彼は態度を急変させ、堰を切ったように自身の犯行について話し始めますが、これは「俺は殺人鬼だ。他人なんて虫けらにしか見えていないんだ。どうだ、凄いだろ」という最後の見栄でした。 親父は親父で、自分の元に訪ねてくる唯一の客人であるこの女に対して、自身の寂しさをぶつけようとします。クライマックスの展開は決してレイプ未遂ではなく、ただ人肌の温もりが欲しかっただけなのです。女からは「あなた、それでも人間ですか」と厳しく非難されましたが、いやいやこのみっともなさ、他者を求める行為こそが人間なんですよ。最後の一人からもそんな切実な思いを拒絶されてしまった親父は最後の糸が切れてしまい、この世との決別にまで思いが至ります。 とにかく何から何まで地獄なのですが、人間に対する深い洞察は見事なものでした。
ザ・チャンバラさん [DVD(邦画)] 9点(2017-01-15 06:18:11)(良:4票)
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5.《ネタバレ》 度重なる不在と欠落の先に導かれる逃れようのない現実。 歪んだ父権主義による、手本となるべき父親の不在。手料理の不在に象徴される母性の欠落。とりとめのない会話、談笑の欠落。食卓を囲み、家族で食事を取るという行為の不在。家族以外の他者、社会との有機的な関係の欠落。 やっとの事で父親から逃れついたアパート。始めてとりとめのない会話が成立し、家族が食卓を囲み、陽光と音楽がその光景を暖かく照らし出す瞬間。 父親が乱入する事で自然光は欠落し、人工的な照明が無理矢理家族を照らし出す。父は次男の心情吐露を遮断し、偽りの甘言を発し、人間を迎え入れる場としてではなく、縛り付ける場として機能する家へ家族を連れ戻し、希望の萌芽は摘み取られる。 その後、一人また一人と成員が欠落していく事で家族は崩壊する。 家族を失い、家という唯一頑なに守っていた中身のない容れ物を壊し、希望の象徴の木で死を迎えようとするも、それすらも成し遂げられなかった後、何事もなかったかのように「食べる=生きる」という本能にすがりつく父親。 作中度々捉えられるローアングルの同一ショットによって、小津的不在の確認なる孤独な男の姿をカメラは映し、それが唯一残った現実である事を静かに提示していた。 そしてその姿は、誰もがそうなり得る可能性を持った存在でもあった。 少なくとも自分は次男に過去の自分を、長男に今の自分を、父親に可能性としての未来の自分を重ね合わせて観てしまった。
ちゃじじさん [DVD(邦画)] 9点(2017-02-19 20:24:13)(良:2票)
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4.《ネタバレ》 はじめは状況がよく飲み込めなかった。死刑判決を受けた獄中の通り魔殺人犯と結婚する女。「何が狙いだ」ほぼほぼ感情移入できなかった父親の、このセリフだけは同感だった。この順子という女、何?  ある一家の引きこもりニートの次男が突如通り魔殺人を犯した、事後と事前の家族の模様を描いた作品。時に漢のあるべき姿を論じ、時に日本の行く末を案じ、しかし実体は父親として中身の伴わない威圧と暴力のみの男。人として彼の威厳を裏打ちするものが見事なくらい何もなく、ここまで空虚というものを描いていることは見事としか言えない。本当に空虚だった。 ただ、そんな話を俯瞰して他人として見ていながらも、ふと、自分にもそんな面は少なからずあるんじゃないかとも思いました。虚勢をはったり変な理論振りかざして悦に浸ったり。 人は誰しも他人から尊敬されたり持て囃されれば嬉しいものです。結局この家族、とりたて父親と次男の稔は人恋しかったんだなと思いました。俺を尊敬しろ、俺に期待しろ、俺のそばにいろ、そういう内面がひしひしと伝わってきました。人からどう見えてるかわかっていないのにやたらと体面を気にする姿はとても滑稽で見ていて痛々しい。だが厄介なことは、当の本人たちはそれに気づいていないということで、それはそのまま私にも当てはまるんじゃないかと怖くなった。自分決してあの中華料理店のようなことはしませんが、何かの時にふとそういう態度を取ったりしていないか、少し自戒の意を持ちました。  結局順子とは何だったのか。何が目的で近づいてきたのかわからない。本人は死刑制度への反抗のためと言っていますがそれと稔との結婚は何も結びつかない。父親とカラオケバーに行くことも結びつかない。そんなことに自分の時間と身を捧げる人が果たしているのか?全く現実味のない人物だった。  兄の保だけは何とかなったのではないかと悔やまれる。しっかりした奥さんを持ち、可愛い子供が二人もいて、どこかでそっちに立ち返られなかったのか。選んだ仕事が良くなかったり合わなかったということもあったかもしれないが、なぜ毒親と毒弟に引きずられたのか、悔やまれます。  たまたま今日読んだ本に、「リベラル化が進むと個人の自己責任化が進む」と書いてあったのを思い出しました。現代は、やりたいことを見つけてそのために邁進せよ、でなければ社会に置いていかれる、というような風潮です。この父親の時代であればまるで家督を継ぐように親の代からのものをそのまま引き継げばよかった。仮にそれで失敗しても「時代が悪かった」と言える。しかし今の時代においてはどんな仕事を選んでも自由であるが故に、うまくいかなかった場合に個人の責任とされる領域が多分に占めている。そうなってしまった場合の無力感はいかばかりか。稔もそうだったのかなと、ふと思いました。実際生きにくい世の中になったな、と感じるのは私だけでしょうか。。。
TANTOさん [インターネット(邦画)] 7点(2022-07-02 00:32:49)(良:1票)
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3.あまり主義主張のアピールがなく答えがない映画ですね。 ドラマを見せつけて、観るものがどう思うか勝手ですのような作品。 殺人も何がそうさせたのか解るようでいまいち解らない。 深い理由があるようで空っぽな気がする。 役者さんの演技が良かったから退屈することなく観れたが、もう少し主張しても良かったのではないでしょうか?
たんたかたんさん [インターネット(邦画)] 6点(2018-02-21 10:25:05)(良:1票)
2.《ネタバレ》 これは…。もっと、絶望的にも出来た赤堀監督ではないかと思います。1時間40分頃の稔の吐露は、観客をそこまで落とし込まないためのセーフガードのように思いましたね。三浦友和だったから見てられたけど、温水洋一さんだったら、見ていらんなかったかもなあ。でも、温水さんみたいなお父さんなら、こんなことにもならなかったのでは、などといらんこと考えました。ああ、見なきゃ良かったと思いつつ、9点です。
なたねさん [DVD(邦画)] 9点(2017-02-11 22:47:53)(笑:1票)
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1.見所は三浦友和のキレっぷりだけ。 ストーリー的にはよくある家庭崩壊ものの域を出ていない。 パッケージの裏に2度と見たくなくなるというキャッチコピーが書かれていたが、観終わって暗い気持ちになるという意味では確かにその通り。
ヴレアさん [DVD(邦画)] 4点(2017-01-11 11:30:22)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 17人
平均点数 6.06点
000.00%
100.00%
215.88%
3211.76%
4211.76%
515.88%
6317.65%
7317.65%
8211.76%
9317.65%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.00点 Review1人
2 ストーリー評価 6.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 4.00点 Review1人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人

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