7.このヒトラー役のオリヴァー・マスッチという俳優は、わかる人にはわかるんだけど生前のヒトラーの所作をよく研究していると感心しました。『最期の12日間』のブルーノ・ガンツよりもはるかにリアルだと思います。でもこれほど可笑しいけどだんだん笑えなくなってくる風刺映画には久しぶりに出会った気がします。『博士の異常な愛情』を初めて観たとき以来の衝撃かもしれません。あの女性局長は、ゲッベルスとレニ・リーフェンシュタールを合体させたようなキャラですね。こういうわき役たちもけっこう面白いけど、実はこの映画で最もキャラが立っているのは、ドキュメンタリー風に画面に登場してくる現代ドイツの大衆たちなんですよ。ヒトラーの「私を選んだのはお前たちだ」というセリフがこの映画の究極のテーマを判りやすく説明しているんじゃないでしょうか。この史実こそがドイツ人には耳が痛く、そして都合よく忘れようとしてきたことなんです。そういう視点で観ると、ヒトラー後のドイツ人の偽善をこれほど赤裸々に揶揄した映画はなかったんじゃないでしょうか。そう考えると、冷戦があったとはいえ戦後のドイツは狡猾に国際社会で立ち回ってきたものだと思います。組織の末端だったとは言っても東独の共産党政府の一員だった女性が、今や宰相として君臨して欧州の女帝とまで言われているんですからねえ。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-07-13 23:15:44) (良:2票) |
《改行表示》 6.面白いアイデアだと思う。 普通のコメディ映画かと思ったが、そうではなく、半ドキュメンタリー的な作りになっている。 ヒトラーのそっくりさんが、ヒトラーになりきって一般人と接していく。 中にはよく思わない人もいる。 ヒトラーの考え方と、歴史を楽しく学ぶこともできる。 こういうことは、おそらく日本では無理だろう。 【シネマファン55号】さん [インターネット(吹替)] 7点(2021-07-19 22:06:12) (良:1票) |
《改行表示》 5.こういう題材だから、ウィットに富んだ風刺がいっぱいあるのかと思ったがほとんどない。ヒットラー最期の12日間の有名シーンを、まさか自社でもパロディしてきたあたりくらいはクスリとしたけど、それ以外何一つ笑いどころはない。 政治的なメッセージもいまいち感じ取れない。 ストーリーはあってないようなもの。 いやほんと、何がしたいのか、どの部分を面白いと思わせたいのかってのが全然分からないまま終わってしまった。 【椎名みかん】さん [インターネット(吹替)] 2点(2020-11-16 00:18:33) (良:1票) |
《改行表示》 4.原作を読んだ後に見たせいなのかもしれないが、終盤までストーリーにメリハリがなく淡々と進んでしまい、盛り上がりに欠けた。 また原作だと登場人物に不幸になる人もいなく、”過去に間違った不幸な事があったけど良い事もあった”と結び、ヒトラー賛歌ではないが前向きなラストに対し、映画だと不安を煽るラストなのが気になった。 やっぱり今だヒトラーの描き方に対しては、原作があっても自由に描くという訳にはいかないし、それだけの事をしでかした人物なんだなと改めて思った。 映画はいまいちでも、原作は面白かった。 【miso】さん [地上波(字幕)] 4点(2019-07-02 22:55:19) (良:1票) |
3.途中やや中だるみ。いろいろ突っ込まれても、本物は少しも揺らがない感じはとても良かった。いち芸人という認識から、感化されてもう少し政治的な動きが出てくるとよかったかな。その方が、このまま暴走させてはまずいというラストに現実味を与えます。 【noji】さん [インターネット(字幕)] 6点(2018-12-23 20:20:28) (良:1票) |
2.ドイツの俳優はえらく自然な演技をするんだな~→半分はドキュメンタリーでした。今どきドイツ人のヒトラーに対する感情が垣間見えて面白かった。腫れ物という感じはそれほどなく、意外と笑顔が多かったな(良い悪いではなく)。近年、経済においては好調なドイツだが、移民の多さには不満が渦巻いている。でも過去のことがあるから強く言えないっていうのは、同じ敗戦国の民としては同情する部分もある。ドイツに限らない世界の今を「好機到来」とヒトラーに言わせて映画は終わるわけだが、どうも直接過ぎておしゃれじゃない。コメディを忘れない締めくくりであってほしかった。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-26 18:41:43) (良:1票) |
《改行表示》 1.ヒットラーや取り巻きの数人だけが突出して悪人であったとすることで非難の矛先をかわそうとすることなく、ドイツ人が民主的に選挙で選んだ代表(=ヒトラー)がドイツ人の望みを叶えただけだとする怖い話を突きつける映画。 難民問題に揺れる現在のドイツ社会をも風刺する深いメッセージの込められた作品でもある。 よくぞドイツ人が自らこんな映画を作ったものだ。 これと見比べると、アカデミー賞受賞作の中身の無さがよく分かる。 なお、冒頭のBGMを聞いた瞬間に、「時計仕掛けのオレンジ」の最期のセリフ「これで全ては元通り」が蘇ってきた… 【杜の都の映画好き】さん [映画館(字幕)] 9点(2016-08-16 23:05:08) (良:1票) |