《改行表示》 5.面白いアイデアだと思う。 普通のコメディ映画かと思ったが、そうではなく、半ドキュメンタリー的な作りになっている。 ヒトラーのそっくりさんが、ヒトラーになりきって一般人と接していく。 中にはよく思わない人もいる。 ヒトラーの考え方と、歴史を楽しく学ぶこともできる。 こういうことは、おそらく日本では無理だろう。 【シネマファン55号】さん [インターネット(吹替)] 7点(2021-07-19 22:06:12) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 移民問題がナショナリズムを煽り、極右政党が躍進している現在ヨーロッパにおいてタイムリーに作られた本作。初めのうちは笑って、最後には冷やっとするという、まさに制作の狙い通りの反応をしてしまった。 いや、総統さすがというか、どんな突っ込みにも質問にも堂々と揺るぎない政治信条で相手を論破しちゃうんだもんな。ほんとのとこ、実在の政治屋など小物にすら見えてしまう。おおすごく頼れるリーダーだ、とうっかり感想を抱きそうになって慌てた。 歴史学者の先生によると今の時代って30年代に似ているんだそうな。ヒトラー総統(比喩であっても)が戻ってきたとして、さてまた歴史は繰り返すのだろうか。映画はその答をこちらに投げて終わります。21世紀の我々は30年代の人々と違って、第二次大戦を知っている。またあの惨禍を繰り返すほどに学習能力の低い種であるとは思いたくないのだが。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-20 17:08:52) (良:1票) |
3.ドイツの俳優はえらく自然な演技をするんだな~→半分はドキュメンタリーでした。今どきドイツ人のヒトラーに対する感情が垣間見えて面白かった。腫れ物という感じはそれほどなく、意外と笑顔が多かったな(良い悪いではなく)。近年、経済においては好調なドイツだが、移民の多さには不満が渦巻いている。でも過去のことがあるから強く言えないっていうのは、同じ敗戦国の民としては同情する部分もある。ドイツに限らない世界の今を「好機到来」とヒトラーに言わせて映画は終わるわけだが、どうも直接過ぎておしゃれじゃない。コメディを忘れない締めくくりであってほしかった。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-26 18:41:43) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 ヒトラーというと目がギョロついた小柄な人物を連想するが、この役者さんはカッコいいねぇ大柄で。可愛らしいし。そこでまず笑っちゃったよ。今までの映画に無いヒトラー像だよね。 最期の12日間のパロが始まって大爆笑。まさかヒトラーでなく、ヒトラーを追い出した側でそれが展開されるとは。こういうお遊びを終盤まで忘れないのが偉い。 ヒトラーが金稼ぎに似顔絵屋を始め、飾ってある絵はすごく上手いのに、いざ模写を始めるや前衛的過ぎる絵が次々と完成しては客が喜ぶ。芸に対してではなく、笑わされた事によって少ない金を恵んでいるのだ。ほとんど物乞いだよね。茶化されてるよなぁ。茶化してるけど。いや、いくら総統だからって洗濯屋でパンツは脱がないでしょう。この映画がヒトラー賛辞でない事は分かるんじゃないかな。ネオナチに殴られて重傷を負ったりね。色々と間抜けなんですよ。愛犬家だったヒトラーが犬を殺しちゃって、それが原因で人気急落とかね。 ヒトラーを見出したザヴァツキは彼が「本物」である事に気付き、ヒトラー暗殺を企てる。結局失敗し頭のおかしな人扱いされて隔離される訳ですが、これがどんな意味を持っているか。これも見た人によってそれぞれだと思いますが、少なくとも殺人を肯定する映画でなかった事は確かです。ちなみにヒトラー暗殺未遂事件は実際に何度も起きていますが全て失敗し、犯人はことごとく処刑されてしまいました。 ラストは通行人達に手を振るヒトラーと、ヒトラーを否定する歌でエンド。手を振り返す人もいれば、中指を立てる人もいる。ヒトラーがどんなに口が上手くとも、昔の悲劇をこれからの人々が学び続ける以上、アウシュビッツが復活する事は無い。 本当に危険なのは、「ドイツ人はドイツから出て行け」という台詞を聞いて何も感じない事だと思う。 【にしきの】さん [インターネット(吹替)] 7点(2017-02-16 17:26:34) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 2014年の現代ドイツにヒトラーが唐突に忽然と出現する。当初、彼に接した人々はコスプレ仕様のおふざけと見做し、半ば面白がりからかう。野心家の敏腕TVディレクターは、彼をテレビの政治ネタを扱う、コメディ番組に出演させ、冒険と思いつつも好きに喋らせてみる。ヒトラーは初めて観るテレビが自分の思想を広める媒体として、非常に優れて有効である事を直ぐに見抜く。 かつてそうだった様に、作為に満ちた長い沈黙を破り、彼は穏やかな声で料理番組の氾濫を嘆き批判する、そういうものに慣れきっていた視聴者も改めて指摘され尤もだと思う。続けてジェンダー不明な人々、宗教の異なる異民族の流入と増大に批判の矛先を向け、やがて激しい絶叫調で、混迷するドイツの現状を訴えかける。差別主義者として批判されるのを怖れ、これまで誰も公に口にしなかったセンシティブな問題を次々に槍玉に挙げ批判する。派生物の彼に関連するYouTube動画の閲覧数も飛躍的に伸びる、そして忽ち人気を博する。 コメディ映画ではあるが、キューブリック映画に倣い「どろぼうかささぎ」の曲を使うなど、手の込んだ風刺の映画手法もどこかキューブリックに似ていて、可笑しみの中に、鋭い批評視点からくる、現状への危機意識とフラストレーションを感じているのが判る。人気者となったヒトラーが、噛み付いた犬を射殺する過去の動画が世に知られると、忽ち人気急落という、移ろいやすい大衆心理の本質をも浮かび上がらせ、そつがない。 EUを是として、メルケル首相が推し進めた、移民や難民の受け入れとセットの、多文化主義の施行の結果である、テロの頻発や政情不安など却って分断に至った、EU・ドイツの現状に不満を抱き、潜在的フラストレーションを溜め込んでいるドイツ人の大衆心理からすると、70年前の、決して蘇ってはならない危険思想とされた、ヒトラーの主張に迎合する空気が新たに醸成され兼ねないとする懸念が、この映画の制作意図としてある様な…。 【DADA】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-01-04 17:34:04) (良:1票) |