《改行表示》 5.宮崎駿級の大ヒットアニメ(ジブリではない。興収100億以上)という怪しい噂に釣られ、見に行ってきた。 噂はウソではなく、いつもガラガラの某シネコンの大箱が満員御礼。凄い景色だった。 さて、若い男女が入れ替わってしまう話というと、どうしても大林宣彦の「転校生」を思い出してしまう。 「転校生」は、後に「尾道三部作」とか言われて有名になったけど、公開当時はかなりマイナーな作品だったはず。 自分、公開している映画館探して見に行って「こんなとこに映画館あんの?」と思った記憶が甦った。 それで自分でオッパイ揉むシーンでは「転校生」を思い出し、「お願い、オッパイ出さないで」と思ってしまった。 自分、オッパイは大好きだけど、映画でオッパイは見たくないから。 好きなだけに、アニメと言えど、オッパイが出ると、そのシーンだけ強烈な記憶として残ってしまうから。 今考えると、宮崎駿級の大ヒットアニメでオッパイ出るわけないよね。失礼しました。 それから、大林宣彦の「転校生」と比べると、湿っぽいところが少なく爽やか。 でも、自分は後半のストーリーの矛盾が気になって乗り切れなかった。 それと、ラストも好きになれないなあ。 大林宣彦の「転校生」は湿っぽくてそんなに好きじゃないけど、ラストだけは鳥肌立つくらいカッコ良かったから、余計。 でもまあ、今の若い人は「転校生」なんか知らないだろうし、こういう爽やかなアニメに客が入るってのはいいことだと思う。 「日本のアニメって、自分の子供には薦められない映画多すぎ」って思ってたから。 <2016/9/11追記> 大ヒットの熱い声に誘われて、つい、また見に行ってしまった。 今度はこの作品の持つ、後半の話の矛盾を跳ね飛ばす物凄いパワーを感じ取れて、1回目よりずっと楽しめた。 観客が殺到するのもよくわかる。 ちなみに日曜のレイトという最も空いている時間帯に行ったのに、ほとんど満員。 公開3週目でこんな現象は「千と千尋の神隠し」以来じゃないかと思う。 「興収100億以上になるという怪しい噂」って8日前に書いたけど、ほとんど確実だと思う。 <2016/9/19追記> この映画の熱病に侵されたらしく、またまた見に行ってしまった。 それにしても、この映画の脚本は、穴も多いくせに本当にうまい。 前半から中盤のリズム感、クライマックスに向けてのスピード感、エピローグのもったいぶらせ感。 これらが実に気持ちいい。 興収の方は、100億どころか200億を超えそうな勢い。宮崎駿作品ですら、「千と千尋の神隠し」以外は全部抜きそう。 欠点を挙げようと思えば、いくつも挙げられる作品だけど、3回も見に行った時点で自分の負け。10点献上。 <2016/12/13追記> 本当に興収200億いってしまった記念+新パンフレット入手のために、またまた見に行ってしまった。 それにしても、「中国を中心にアジアでも大ヒット」までは予想できたけど、欧米でも軒並み高評価、特にロス批評家賞を獲って、アカデミー賞本命に名乗りを上げるとは、想像もつかなかった。 とにかく、バカ高い制作費で3D映画にしなくても、テレビ局と広告代理店が組んで大宣伝を仕掛けなくても、世界中で大ヒットする映画は作れる。 こんな奇跡を起こし、世界中のクリエイターに勇気を与えたという点においても、日本の誇る金字塔となった。 本当におめでとう。 【まかだ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-09-03 22:18:18) (良:2票)(笑:3票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 いつも一人で映画を観に行く私に対して16歳の娘が「映画観に行くの?『君の名は。』観に行こうよ」と誘ってくれた。 本来ならアクションシーリーズ第3弾の洋画を観に行くハズだったが、世間じゃ騒がれてるし「まいいか」と軽い気持ちで誘いに乗った。 アニメ映画を観ないわけじゃないが、スクリーンで観るにはもったいない感覚があり、千と千尋以来になる。 映画は正直こんなオジさんも楽しめた。 恋愛要素が多いと思っていたがそんなこともなく、年甲斐もなくワクワク観れた。 この映画での矛盾や疑問、その後の展開の想像や「転校生」という映画の話題になったり、性別も年齢も大きく違う人同士が共通の話題で盛り上がれるのがこの映画のすごいところなのだろうか、「シン・ゴジラ」で一緒に観に行ったカミさんの「実際にあんな怪獣いないし」というひと蹴りで会話が終わった映画とは大違いだ。 普段一緒に観ない人、価値観が違うと思う人同士が一緒の時間を共有してくれる「パラレル」がこの映画にはあった ぜひそんな人と観に行ってください。 【かのっさ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-10-31 12:32:35) (良:2票)(笑:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 傑作だと思う。封切られた2016年に社会現象となるほどのメガヒットを記録したので、当初は話題先行の映画かと思っていたが、実際に見てみたら決してそんなことはなかった。新海作品は映像美がよく称えられるが、それだけではなく、ストーリーが巧みに練られ、テーマ設定も確か。また無駄なシークエンスもなく、完成度のきわめて高い作品だった。 新海作品は本作まで『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』と見てきていた。それぞれ面白くはあったが限界も感じていた。『雲のむこう、約束の場所』と『星を追う子ども』はジブリ作品やエヴァンゲリオンの影響が強く出過ぎていたし、『秒速5センチメートル』はオリジナリティが発揮されていたがストーリーに難があった(第3話。私的にはということだが)。そのため、いい線を行っているのに、いま一つ突き抜けられないもどかしさが残っていた。しかし、この『君の名は。』でついに殻をぶち破って、新海作品の決定版に到達した感がある。 ストーリーの初めは単なる入れ替わりものかと思われたが、じつはそうではなく、3年という時間の隔てが存在し、糸守はすでに消滅していたことが明らかになる。そこに至って、いったい、物語をどう収斂させるのかと見る者をハラハラさせるのだが、見事にエンディングまで力技で持って行った。ラストも『秒速5センチメートル』の第3話みたいなやりきれないものではなく、見る者に希望を持たせる心地よいものがあった。 本作のよくできたところは、見る人によって多様なテーマの受け止め方が許容されるところだ。誰にも大切なものはあるがそれは黄昏時のように移ろいやすいものでもあるという哲理、テクノロジーがどれだけ発達してもそれがすべてではないのではという問いかけ、いまのメディアの力弱さへのチクリとした批判、母なる自然は大いなる恵みを与えてくれると同時に情け容赦のない存在でもあるという現実(いうまでもなく、3・11が踏まえられているだろう)……作品にちりばめられたいくつものテーマは、まるでミラーボールのように見る人ごとに違った色彩の光芒を放つ。にもかかわらず、どのような受け止め方をしようとも、しっかりした手応えあるものが受けとめられる。加えて、テーマの提示加減が絶妙である。これ以上語れば教条的臭くなるし、寡黙すぎれば伝わらなくなるという、ちょうどほどよい線を見事に見出し実現している。これは至難の業であろう。 先鋭的な作品だが、他方、映画づくりとしては基本に忠実である。さまざまな伏線が配され、それらがしっかり回収されていく。映画序盤、糸守にはカフェがないことを登場人物たちは嘆く。ところが、三葉と入れ替わった瀧は丸太をノコギリで切り、木のテーブルとイスをつくり即席のカフェを仕立てている。さりげないシーンだが、彗星落下のカタストロフィーから人々を救おうとする瀧の行動力の一端がすでに示されている。糸守では黄昏時をなぜ「かたわれ時」というのか? 「かたわれ」は「片割れ」だったことがあとでわかる。三葉になった瀧が休日なのに制服に着替えてしまったのも寝ぼけていたからではなかった。違う年だったので曜日がずれていたのだ。ストーリーの練り上げ方も念が入っている。彗星落下から8年後、瀧と三葉の再会へ至るプロセスは簡単には進まない。雪の降る新宿の歩道橋では互いに何かを感じ取りながらもすれ違いで終わる。ようやく、春になってついにはっきりと互いを認識し、こんどこそしっかり再び出会う。冬という厳しい季節を経たあとの春なればこそ、望みが叶うということを暗に私たちに伝えている。 登場人物たちのキャクター設定もうまい。妙に媚びたようなキャラといったこともなく、瀧にも三葉にも自然に感情移入することができる。脇を固めるサヤチンやテッシー、四葉らもよく効いていた。さらに、天空をオーロラのような極彩色で彩る彗星のスケールとビジュアル、小気味よい音楽、幽玄な巫女の舞い、組紐を一本一本編んでいく伝承の手業などなど、壮大さときめ細かさが同居しており、隙のない、ごくていねいな作品づくりに心を動かされた。 きっと、何度見ても新しい発見がある作品だろうと思う。また、海外の映画賞をいくつも受賞しているのも、日本アニメの底力を世界に改めて知らしめたという点で胸のすく想いがする。歴史に残る、残すべき日本アニメの金字塔として最大の評価を贈りたい。なお、本作の誕生によって、今後もっとも苦しむことになるのは新海誠自身となるかもしれない。これだけの作品をつくってしまったことで、これをどう乗り越えていけばいいのかということが大きな課題となる可能性がある。クリエイターの宿命とはいえ終わりなき道である。そこからこそさらなる「進歩」や「成長」が生まれるのだとしても。 【delft-Q】さん [映画館(邦画)] 10点(2017-11-07 12:12:41) (良:2票) |
2.《ネタバレ》 公開当時めちゃくちゃ話題になっていましたが、流行になんか乗ってやるものかと見に行かず、情報も一切仕入れずに今日まで過ごしてきました。見終わってみて社会現象になった理由がよくわかったし、ネタバレを一切喰らわずに見れたことを感謝したいと思いました。圧倒されてしまってまともな感想が出てこないんですけど、一つだけ、あんな体験をして相手に持つ感情が恋愛感情っていうところがなんか納得いかなかったです。もう一人の自分、みたいな感覚に陥ってしまうのでは?と思いました。 【あなたのはレビオSir.】さん [インターネット(邦画)] 10点(2025-01-30 22:02:57) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 2018/01.03更新:自分の気持ちに素直になって10点に変更します。なんとなくこういうあざとい映画に10点あげちゃいけない気がしてスカしてたんですが、素直に点をつければこの映画は間違いなく自分にとって10点です。 以下初見のときのレビュー 今年の邦画ナンバーワンはシンゴジラで決まりだという流れの中、突然やってきたダークホース。 あれだけ話題のシンゴジラはいつのまにか置き去りで今や話題になる映画は「君の名は。」ばかり。 (モーニング娘。と同じで「。」がポイント) 新海誠というと「雰囲気の良さが売りで煮え切らない恋愛物の小品を取る監督」というイメージしかなく、この映画にしても予告を見る限り定番の男女入れ替わり物で全然目新しさを感じられなかったので観るつもりはなっかたのですが、しかしこれだけ話題になる(しかも口コミで観客が増え続けている)となるとこれはもう観るしかないという事で劇場に足を運んだわけです。 いやーよかった。 これほんと素直にいい映画でした。 予備知識を全く入れずに観たのもプラスで、予想外の展開に驚きながら映画を観る事ができたのでストレートに映画のよさを味わう事ができました。 新海誠、ダイナミックなエンターテイメント映画撮れるんじゃん! 確かに劇中に細かい突っ込みポイントが多すぎるんですが(あの年齢で3歳違えば高校→中学の年齢なわけで実際に電車で瀧を見た時に外見でおかしいって気づくだろ、とか)、映画的ご都合主義って事で個人的には許せます。 また内容的に確かにいまさら感のあるセカイ系SF(FはファンタジーのF)ですし甘ったるい恋愛物。ダメな人はダメなんだろうな、と思います。(まぁ恋愛物なのは明らかなんで苦手な人はそもそも観に行かないでしょうが、厨二セカイ系だとは予想しませんよね…) でも50年以上生きてて思いますが、何十年たとうが恋愛っていうのは甘酸っぱいものだし切ないものだしそこが素敵なものなんです。 さて、この映画の内容について詳しく書いていくと軽くブログ一本分くらいの内容になるので、あえて今回一つとりあげるなら、声の演者さんのすばらしさ。 10年以上前から、なぜか日本の劇場アニメでは、ジブリにしろ細田守ものなどでも、それがおしゃれだと勘違いでもしてるのか実写映画へのコンプレックスなのか、謎の下手くそが声を当てるケースが多く見受けられ、正直言ってそれだけで観る価値がなくなっているアニメ映画がいくつも製作されてきました。 実写映画で棒演技の素人が主役を張るなどドキュメント映画や企画物でもない限りありえないわけですが、なぜか一部の大作劇場アニメではそういう事が普通に行われているのです。 海外のアニメ、例えばピクサーなどの日本語吹き替えは厳しいオーディションで選ばれているためどの映画も実に素晴らしいのに、なぜ海外物ですらちゃんとやってる事を日本の大作劇場アニメで出来ないのか?と幻滅する事が多かったのですが、この映画ではそんな事は全くなく声のキャストは自然で本当に素晴らしかったと思います。 主演の神木隆之介にしろ上白石萌音にしろ、共に本職の声優ではないわけですが、難しい男女入れ替わりの演技を上手くこなしていて観客を映画に引き込むだけの力がありましたし、長澤まさみや谷花音、それにテッシー役の成田凌など、声優を本職としない人が自然で素晴らしい芝居をしていたのは本当に観ていて心地よかったです。 この映画のヒットを機に「不自然なくらいへたくそな人にわざと声を演じさせる」日本の一部劇場アニメに見受けられる悪癖がなくなる事を切に願います。 それからごく個人的な事ですが、私は新宿の東宝で観たのですが、新宿でこの映画を観ると鑑賞後に道を普通に歩いているだけで話題の聖地巡礼ができるのです。 シンゴジラもそうですが、映画に「よく見知った街並」が出てくるとやっぱり観ているときの気分が違うんですよね。 この映画のヒロインのように「田舎はいやだ東京に行くんだ」と高校卒業後すぐに東京に出てきた自分的には、こういうとき東京に出てきてよかったと何十年たった今でも心の底からそう思います。 何より大事な人と出会えたのも東京での事ですしお寿司。 ビバ東京! 【あばれて万歳】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-09-26 20:15:34) (良:1票) |