4.《ネタバレ》 はみ出し者のベテランと真面目な若手という構図はかなり類型的ながらも、主演二人の華できちんと持ち堪えています。 問題はお話が面白くないことで、テンポ良く小ネタが繰り出される前半パートは楽しめなくもないのですが、連続殺人鬼の表情を捉えようと奮闘する中盤と、リリー・フランキー演じるチャラ源が暴走する終盤がまるで面白くないため、映画全体の印象は良くありません。 特に終盤の悲劇の取って付けた感には凄まじいものがあり、「俺一人で行くわ」と思いっきり死亡フラグがぶっ刺さった状態で現場にむかい、式次第通りに死亡する都城の姿を見て衝撃を受けた観客が一体どれほどいたのだろうかと、実に心配になってしまいました。 どうやらチャラ源と都城との間には深い深い因縁があり、周囲に止められても都城はチャラ源との付き合いを止めないという辺りに男の友情臭があったのですが、その二人の関係の根源とは何なのかがバッサリと割愛されており、「その辺はお察しください」という雑な描かれ方となっているためさほどの感情移入ができず、終盤は劇中のキャラクター達だけが勝手に盛り上がっている状態となります。都城が死んだ後のエピローグは異常なまでに長く、こちら大して感動も衝撃も受けていないのに余韻に浸らせまくられたため、大変しんどかったです。 また、後半パートでは「ジャーナリズムとは何か」という真面目な切り口を持ち出してくるのですが、彼らの奮闘が社会正義に繋がっているようには見えず、見ている側としては覗き見趣味を出ていない状態で真面目な話をされても困ってしまいます。同種の題材を扱った作品としてジェイク・ギレンホール主演の『ナイトクローラー』がありますが、そちらは「パパラッチは人間の屑である」ということを大前提としたピカレスクロマンとして作られており、ゲス野郎の活躍を冷めた視点で鑑賞するという実に安定した作風となっていました。対して本作は、前半と後半でまるで正反対の主張がなされるために、特に後半が綺麗事にしか見えませんでした。 あと、福山雅治と二階堂ふみの中途半端なベッドシーンは本当に不要でした。人間の下劣な覗き見趣味をテーマのひとつとしている作品なのに、ベッドシーンをやたら美しく撮ってどうすんの。この題材で下着を決して外さないってどういうことよ。俳優のパブリックイメージへの配慮や芸能事務所からのダメ出しが激しく垣間見えてしまい、ここで一気に冷めてしまいました。 【ザ・チャンバラ】さん [インターネット(邦画)] 4点(2017-11-15 23:57:51) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ”写真を撮る”という事について何も語っていない。 スクープ現場という危険な状況に対する中毒性も、撮る側の倫理観の問題、撮る事が権威化していく危うさも、掘り下げる事はない。 ましてや映画という動画と、写真という静止画の関係性や映画における写真の表現の可能性を探っているはずも無い。(是非は別として、バクマン。では映画における漫画の表現の可能性を探っていたと個人的には思う) 最終的には、驚きも新鮮さもない恋愛要素を含んだ、師匠と弟子の物語に収束させてしまっている。 芸能界の裏側を描くにしても、福山雅治の装飾過多な人物設定、過剰な演技と端正な見た目のせいで、裏側が表側まで出張っているような錯覚を覚える。福山雅治が撮るのではなく、彼を撮る映画になっている感覚。 その点彼の存在感を消したり、彼に潜在する危ういイメージと魅力を顕在化出来る是枝監督の凄さを改めて感じた。 含みのある台詞と行動の直後に、律儀に伏線回収をしているので、作品として小さくまとまってしまっている印象も受ける。 冒頭のカット(長回しでもある)とラストのカットを空撮で撮るあたりの映像的目配せも意図がなければ、ただ小賢しい。 【ちゃじじ】さん [DVD(邦画)] 5点(2017-09-24 01:06:40) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 題材もよく、福山のキャラもあっていたし、ハマっていてよかったのだが、いかんせん、脚本がイマイチ。 この大根監督は、恋愛もので売れた監督だからしかたないのか、正直二階堂ふみとの恋愛は中途半端で、 これを無くしてもっと、パパラッチに特化した方が絶対に面白くなったと思う。 なんなら、相棒を若手男優にして、師弟関係にした方が、面白くもない微妙な恋愛を描くよりよっぽどマシ。
おなじパパラッチもので、ナイトクローラーという洋画があるが、そっちはパパラッチに特化していて 比べ物にならないくらい面白い。 ドラマラブソングの失敗でもわかるように、福山=恋愛ものという概念はもうやめてほしい。 福山ももう50に近づき、半分の歳の人間に恋する姿は、逆にカッコ悪いからだ。 せっかくの、ハマりキャラが台無しだ。 【シネマファン55号】さん [DVD(邦画)] 5点(2017-09-13 14:32:16) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 実はこの映画、めっちゃ重たいテーマを投げかけています。監督が意図したかは分かりませんが、いわゆる、戦場写真についての論争です。主人公は中学生の時にたまたま目にした1枚の写真に心を奪われ、カメラマンを志します。その写真がロバート・キャパが撮った戦場写真。やがて主人公は念願かなってカメラマンとなります。しかし戦場へ行くことはなく、芸能人のケツを追いかけるパパラッチへと成り果てる。中学生の時に自分の運命を変えたような写真を撮るこなく、日々下世話な写真を撮り続ける。ところが皮肉にも、親友の手によって彼自身がまるで戦場写真の中の兵士、死にゆく兵士のごとく被写体となってしまう。
問題はここから。倫理観・道徳観・モラルや秩序、とにかく人としての采配が試されます。人の、それも同じ仲間、恋人、友人の死の瞬間をとらえた1枚の写真。その写真を報道するのかしないのか。プロの仕事人なら当然報道して当たり前。この映画も結局はそこに落ち着きます。 でもそれで良かったんでしょうか。なんか越えてはいけない壁を越えてしまったような気がするんです。きっとあの編集部はもう何も怖いものなしでしょう。怖いものがないことほど怖いものはない。歯止めがきかなくなっていきます。
この衝撃的な1枚の写真に対しての扱い方がゆるい。もっと鋭くえぐってくれれば良かったのに。でもそうすると作風が変わっちゃうんですよね。勿体ないです。
二階堂ふみのキャスティングは良い。マッチしていた。ただ演技力は、別の話です(笑) |