5.《ネタバレ》 テッド・チャンの「あなたの人生の物語」は既読。あれを映画に!?ってどうなるのやらと思ったけど、予想以上にそのエッセンスは活かされていたように思います。元々は「言語」が世界を作り出すという20世紀後半の現代思想の流れ(言語論的転回)があって、それをSFとして見事に表現した作品だったと思うのですが、「言語を学ぶことは新しい世界の見方を獲得すること」を主人公のパーソナルな体験として映像として見せることには、それなりに成功していたのではないでしょうか。とはいえ、このテーマをブロックバスター映画でやる、というのには、やはり無理があった部分も否めません。たとえば、ヘプタポッドの言語解析の革新性が伝わりにくい。この映画だと漢字のような「表意文字」として解析しておしまい、な感じもあったのですが、その言語自体が、時空間の解釈を変えてしまう「コミュニケーション手段」だということがちょっとわからない。だから、ラストの怒濤の展開の唐突感が増してしまう。そして、もう一つの蛇足が、あまりに単純化された国際政治的要素。原作にはない話ですが、物語のサスペンスを盛り上げるためにも、この国際政治の要素も加えたこと自体はよい判断だと思います。ただ、米国の言語学者だけが「正しい理解」をしていて、「誤解」した各国が暴走しちゃう・・という流れはちょっといただけない。この点では、もっと他国の側にも、ヘプタポッドの言語の本質に迫る発見をさせるような流れがあったほうが、最終的に「アガる」展開にもできたんじゃないかなと思ってしまいます。まあ、『ブレードランナー』同様、どうやっても失敗する未来しか見えないプロジェクトだったとは思うので、そこにチャレンジしたヴィルヌーヴ監督にはリスペクト!ですし、『ブレラン』と同じく、ちゃんと一つの魅力的な作品として仕上げてくる力量には素直に感心しています。 【ころりさん】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-02-20 10:14:36) (良:1票) |
《改行表示》 4.原作であるテッドチャンの「あなたの人生の物語」は読んだ事があって、しかし、短編小説らしいワンアイディアを小難しくみせるギミックと情緒的な雰囲気で包んだ、個人的にはイマイチに感じる小説だと思っていました。 で、それを映画化したのが本映画なわけですが、基本的な要素と雰囲気はそのままに大作映画として見事に成立させていたと思います。 というか現代版「未知との遭遇」 それにつきます。 重々しくて面白そうに見せるけど「ひたすら地味」 そういうところがほんと「未知との遭遇」です。 あとあれやっぱバカウケですよね。 【あばれて万歳】さん [地上波(字幕)] 7点(2021-02-10 12:54:09) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 基本的に盛り上がりもなく、淡々と進んでいく中でも適度な緊張感があり、飽きずに鑑賞できました。 ラストでこの映画の趣旨を理解した時のピースのはまり具合は素晴らしいです。 それまで腑に落ちなかったこと、これからルイーズ(エイミー・アダムス)が辿る未来のこと 全てが納得でき、また辛い未来を知った上で辿ろうとするルイーズの意志が見事で感動します。 気になる点はいくつか・・・ ・ルイーズの経歴的な描写がないため、こんな大事件に呼ばれることに違和感 ・相手との力量も考えず、攻撃を仕掛けようとするアホウの存在(ストーリー的にしょうがないのだが・・・) ・未来が見える!超高度な技術で飛来!でも爆弾で死んじゃう宇宙人 ・宇宙人言語の教鞭取ってたけど、みんな未来見えるようになっちゃっていいの? 細かいものを探せばいっぱい出てきそうですが、趣旨を理解した時の感動はなかなかのものでした! 【メメント66】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-10-22 00:38:27) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 大きな起伏もなく印象的なシーンも特にない。多分、サントラを聞いてもどの場面で使われたのか全くわからない。こんなに静かで淡々としたSF映画の鑑賞は初めてかも?でも、飽きることなく最後まで観れました。 おそらく私を含め、ほとんどの人は自分もしくは自分の身内(家族·勤め先·地域·国·種族…)が発展することを目標に生きていると思います。対して彼らヘプタポッドは、あるべき未来にすることが目標なんでしょうね。だからこそアボットは死ぬことを知っていて現代の地球に現れるし、コステロもそこまで動揺しない。 思考の構成の違いで、生き方も変わるのかもしれないなぁ…。なんて考えつつも、どちらが幸せかは知らないけど、事あるごとに『たら、れば』を想像しながら明日に期待する自分は、やっぱり地球人なんだな~。 【SIN】さん [DVD(吹替)] 7点(2018-05-21 23:45:54) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 後になってみればちゃんと理由があってのことだけど“殻”出現前は省いて話を始めるテンポの良さに惹きつけられた。が、これ以降はエイリアンに英語を教え、相手が出す文字を解析。これを繰り返して意思疎通を図る…という地味なもの。緊張感はそれなりに保たれているが、人によっては眠くなるのも致し方ないなぁと思いながら観ていた。また、中国の肩を持つ訳ではないが、どんな反撃をしてくるか分からない相手に先制攻撃を仕掛けるような真似はさすがにしないだろう。こういう点もやはり違和感はある。とはいえ原作未読の自分は綺麗に騙されたので終盤に満足感はあった。そして未来を変えることもできるのに、そうしなかった彼女の決断。悲しい物語ではあるけど「生まれてこない方が良かったのか?」と問うならば、力強く「そうじゃない」と答えてくれる。これはもう「母」の映画。愛に溢れた母の。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-02-18 23:41:29) (良:1票) |