《改行表示》 4.《ネタバレ》 ミュージカルがちの人と苦手の人、両方が厳しい見方をする作品。確かにミュージカル映画とは言ってますが、ジーンケリーと比べちゃかわいそう。あちらは筋金入りですから。こちらのミュージカルパートはあくまでも、二人にとって「夢を追う」姿の象徴的存在で、脳内妄想の範ちゅうを超えてないレベルです。現実はもっと厳しいもので、ぶつかり合い、すれ違い、傷つけ合い、ハッピーなミュージカルのようにはいかない。カラフルな色使いのロマンチックなラブストーリーは非現実。夢を見ることは非現実的だけど、夢のためにやりたくない仕事をして、妥協して、挫折するのは現実。この矛盾の狭間に生きるのが夢追い人。ミュージカルという不条理にはぴったりな題材だと思う。 二人はそれぞれ夢を叶えることが出来たけど、何て切ないラストでしょう。あの走馬灯はどちらの脳内を走ったものなんだろう。あるいは二人の脳裏に同時に現れたものだとしても、二人は別々の道に戻っていくのです。あー、切ない。 良くも悪くもこちらのレビューのようにみんなが自分の人生観や恋愛観、映画愛、ミュージカル愛を自由に語り合ってもまだまだ語ることがありそうな作品であることは確か。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-05-13 15:01:27) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 懐古的なオープニングタイトルで始まり、ワンカットでカラフルに描かれる歌とダンスの競演。カメラワークが素晴らしい。ツカミはOK!という感じですね。 が、そこからは定番・鉄板・お約束感満載のラブストーリー。意外性はほぼなしといった感じでした。それでも惹きつけられ一気に観てしまったのは何故だろう?ひとつには主演ふたりの魅力ですが、それを上回る優れた演出によるところだと思います。 オープニングでも度肝を抜かれたカメラワーク、繊細かつ巧妙な色使い、そして素晴らしい音楽。敢えてカテゴライズするならば本作は本格的ミュージカルとは言えないように思えます。けれども、間違いなく音楽が支えている作品。これもミュージカルの一形態なのですね。 ラストのif走馬灯は感動的でした。ふたりの歩んだ、或いは歩んだかも知れない各パートが見事に編集されていて、このカットが定番・鉄板のラブストーリーを珠玉のラブストーリーへと昇華させているように思います。 ミュージカルと言うには何か物足りない。ラブストーリーと言うには目新しさは感じない。でも惹き付けられて止まない。不思議な魅力の作品でした。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-02-26 19:27:32) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 ド定番なストーリーで、主な登場人物は2人だけ。しかもその2人も、どこにでもいそうな平々凡々な人物。ところが、最後まですっかり惹き込まれてしまいました。ミュージカル的なシーンにありがちな違和感もまったく感じないほど。 おそらくそれは、スタバ風に言えば「手の届く贅沢」を描いているからかなと。もともと才能のある人物ががむしゃらに頑張って成功を掴み取るというのではなく、凡人が「こうなったらいいなぁ」と夢想しつつちょっとだけ頑張ったら、幸運に恵まれましたという感じ。そこに悲壮感はないし、貧困とか格差とかややこしい問題も描かれません。凡人代表の私としては、登場人物を応援するというより、「こういうこともあるよね」と共感するばかり。 そして話は突然5年後に飛び、2人とも「手の届く贅沢」を手に入れますが、「手に届いていたはずの贅沢」は手放してしまいます。その描き方がまたせつなくて、心を揺さぶられます。やはり、「こういうこともあるよね」と共感するばかりです。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-22 02:30:55) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 何と云っても「Dancing in the Dark」のアステアとチャリシーを想起せずにはいられない「A Lovely Night」のシーンが秀逸だ。 二人がベンチに腰掛けてからの脚の演出。ベンチの上に立ちあがった二人の頭を超えて、LAの夜景へ寄っていくカメラ。そしてカメラが引くと、二人のフルショットでのダンスを絶妙の構図で捕捉し続ける。これらを全くカットを割らずにシーケンスショットとして見せ切るのだ。何という見る快感。 あとは「City of Stars」という楽曲が2回(エンドクレジットのハミングを加えると3回)使われるが、桟橋のゴスリングと黒人の老夫婦のシーンもいいし、ゴズリングとエマ・ストーンが部屋でデュエットする場面の幸福感が素晴らしい。「A Lovely Night」といい、これといい、ツーショットの演出が秀逸だ。 それに比べてツアーからサプライズで帰ってきたゴズリングとストーンが口喧嘩になるシーンでアップカットのリバースショットを延々と見せられるのはちょっとシンドイ演出だ。 あと、映画館で『理由なき反抗』を見るシーンがあり、『エデンの東』等でない、ということで、おゝ分かってるやん、と思う。クレジットタイトルのジェームズ・ディーンのカットをバックにストーンがスクリーンの前に立つ。少々奇異な演出なのだが、これも現実離れしたとても映画らしい演出、と思っていると、グリフィス天文台のシーンでフィルムが焼けて上映中止になってしまう。この扱いには少し腹が立つが、この後、二人はグリフィス天文台へ行き、何ともファンタジックで美しいミュージカルシーンとなり、こゝも大いに感激する。 実は、冒頭のハイウェイでの「Another Day of Sun」のシーンは逆光が多く、人物の顔がアンダーで見づらいと思っていると、さらにルームメイト(ソノヤ・ミズノが出ている!)との「Someone in the Crowd」もローキーぎみだ。こゝで既に、私は本作が「影」のあるミュージカルなのだという予感がした。 エピローグは、矢張りともて切ない演出で、21世紀のミュージカルらしい帰結と云えるだろう。上で、中盤のリバースショットが難点であるかのように書いたが、ラストの二人の視線の交錯は、切なさが倍増しされる、たまらない切り返しだ。 【ゑぎ】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-03-28 05:43:28) (良:1票) |