6.「もはやナニがナンだかわからん!」のは、今に始まったことではなく、シリーズ3作目あたりから大体同じ印象をすべての鑑賞者が持っているはずだ。 このブロックバスターシリーズのファン、非ファンに関わらず、その“ワケの分からなさ”もしくは映像的膨大な物量の中で展開されるストーリーの“どうでもよさ”自体を受け入れられないような人は、そもそもこの映画を観るべきではない。その場合、非難されるべきは作品ではなく、鑑賞者の方だろう。 というわけで、前作(完全蛇足の中国観光映画)に対して、映画産業全体における危機感も含めて「0点」を献上した僕も、あらゆることを「覚悟」した上で、この150分に渡る超大作の鑑賞に至った。
先ず序盤から大いに戸惑う。「あれ?(録画リストから)間違えてキング・アーサーを再生してしまったのかな」と。 恐らくは、同年製作の「キング・アーサー」より多大なバジェットをかけていそうな暗黒時代の合戦シーンにあんぐりとした。 ただし、結果的にはこの大仰な大風呂敷の広げ方が、一辺倒だった当シリーズのエンターテイメント性に多様性を生んだとも言えると思う。
まったくもって「強引」極まりないが、謎の金属宇宙生命体であるトランスフォーマーと地球の因縁を、人類史を遡ってこじつけたことで、「ダ・ヴィンチ・コード」的なミステリーとアドベンチャー要素が加わっている。 その他にも、スパイ映画、宇宙人侵略映画、カーアクション映画、潜水艦映画etc様々な要素を増し増しに盛り込んで、胸焼け必至のボリュームでまとめ上げている。 サービス過剰の執事ロボットや、侵略者に慣れ過ぎちゃって平然とタイマンで交渉に臨んじゃうレノックス大尉など、惰性だろうとなんだろうと5作目まで続けてきたからこそ辿り着いた娯楽性も確実に存在する。
この映画世界はまさに「カオス」そのものであり、何を見せられているのかも分からなくなってくる。 が、マイケル・ベイ監督をはじめ製作陣は、そんな作風に対してとうの昔に開き直っているので、内容がどうであれその“映画づくり”においてはもはや迷いなどはなく、ワケのわからないものをワケのわからないままに堂々と作り込んでいるように感じる。 結果として、観ている側も「コレはこういうものだ」と納得せざるを得ない気持ちになってきた。
どうやら大風呂敷は更に広がり、トランスフォーマーたちとの因縁は地球という惑星そのものの誕生まで遡って、「エイリアン:コヴェナント」的な展開を目論んでいるようだ。 もう、どこまでも好きなだけ突き進めば良いと、諦観半分で応援したくなる。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-14 17:54:20) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 映画を観ながら気が狂いそうになったのはこれが初めてかもしれません。もちろん“あの”トランスフォーマーシリーズなのでマイケルベイに身を任せて思いっきり楽しむつもりで劇場に足を運んだのですが、あまりの出来に気が遠くなりました。小さな女の子のくだりと執事ロボットがキレると怖いみたいなくだりと地球に向かってくる何かに気づく科学者のくだりはまぁわかりやすくいらないです。これは明らか。もっと根っこの部分でいらない点だと騎士王のくだりとジョンタトゥーロのくだりと米軍の皆さんとレクターとヒロイン。もう少し根っこまでいくと悪い女王みたいなのも必要無いしいつもの敵役?もいらねーや。あ、『オプティマスが操られてヤバい!』ってなってバンブルビーがちょっとど突いたら簡単に正気に戻って『私はオプティマスプライム』っていう僕が映画館の階段を転げ落ちそうになった真剣に観てるとゲロ吐きそうになるくだりもいらねー。って考えてたら全部いらない気がしてきましたのでもうここまで来たら愛を込めて初の0点投稿させて頂きます。続編も観に行きます。 【HIRABAYASHI】さん [映画館(字幕)] 0点(2017-11-06 07:18:24) (笑:1票) |
4.《ネタバレ》 IMAX3Dで鑑賞しました。映像の迫力は相変わらずズバ抜けてすごいと思います。ストーリーがつまらないとか、演出が訳分からないとか、そういうのも相変わらずなベイ・ムービーであり、今更私はそこにツッコむ気はありません。しかし、これまでのシリーズはとても好きだったのですが、今作は残念でした。ダメな点はただ1つ。トランスフォームシーンが少なすぎです。冒頭に出てくるキャノピーは瓦礫背負ってるだけ。スクィークスは修理するしないのくだりがあったのに変形しない。執事のコグマンはかなり良いキャラなのに変形しない人型ロボ。「この潜水艦はトランスフォーマーだ!」→一切トランスフォームしない。古代の戦士たちはゴチャゴチャっと集まってなんとなくドラゴンになってるのが変形ではなくイワシの群れ状態。バンブルビーの一部分変形とかバラバラ機能なんて不要。オプティマスに至ってはもはやトランスフォームシーンがなく、ラストに申し訳程度に煙の中からトレーラー形態で出てくる始末。せっかくこれだけ長い上映時間で旧作のキャラから新しいキャラまで色んなトランスフォーマーが出てくるのに、トランスフォームする金属生命体という基本かつ最大の主設定がほとんど無視されていて、がっかり以外の何物でもありません。ビークルモードとロボットモードがトランスフォームする実写映像を圧倒的なクオリティで見せてくれることこそ、他のSF映画にないこのトランスフォーマーシリーズの価値のある部分なのに、それを放棄してしまったら本当にただのB級映画です。最後続きがあり得そうなことを匂わせて終わりましたが、もういっそスパイダーマンのように新シリーズとして新しいプロデューサーと監督でリブートしてほしいです。 【Nerruc】さん [映画館(字幕)] 4点(2017-08-17 16:31:23) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 しばし「なんじゃこりゃ!」と見てましたが、ああ、そうだった、マイケル・ベイの映画は無駄なキャラが多くて、意味の無いセリフが多くて、余計なカットが多くて、不要なシーンが多くて、なのに必要なカットが足らなくて、結局支離滅裂ってのがお決まりだった、って思い出しましたよ。 あの少女とちっこいロボットは結局要らなかったんじゃね?って状態ですし、いや、それを言えばアシスタントみたいなのも、科学第一主義のヤツも、ヒロインの家族も、つーか敵みたいだけどクライマックスでは共闘する連中は誰が誰なのやら、ってグチャグチャ。
で、今回はアーサー王伝説から連なる杖の行方を追う物語、ってのがメインになるのだけれども、これがまあつまんない。大した話でもないのに、それが余計な脇道と余計な会話で更にモタモタと進行するばかり(カット割り細かくて、超展開でどんどんと進んでいるように見えるけれど、本筋はちっとも進まないっていう)。目標はあっても杖が具体的にどう機能するのか、世界がどうなっちゃうのか不明。進行上、ロボットはほぼ脇に存在してるだけで、ロボットの見せ場はちょぼちょぼ。 一方、オプティマス・プライムが地球を滅亡させる側に回る、闇堕ち状態になる訳ですが、それがどんな具体的な行動になるのか、どれだけ地球を脅かす存在になるのかと思ったら、これがまあ全然。クライマックス前までほぼ行動無しで、バンブルビーとちょっとバトルして目覚めちゃう。闇堕ちする必要無くね?みたいな。
IMAX版はアスペクト比がころころ変わるのですが、これが変化する必然性が全く無いという。どういうシーンで広がりますよ、って統一されたモノは一切無くて、会話シーンの単純な切り返しでアスペクト比が1カットずつ変わるとかいう未完成品みたいな馬鹿馬鹿しさを見せます。それでもクライマックスの飛行シーンでの3Dの立体感だけは良かったのでIMAXの必要性皆無という訳ではありませんでしたが。
今回、マイケル・ベイは大人になろうとしたのかもしれません。物語に拘ったのと、おっぱいとかお尻とか控えめにしたのと(おっぱいはあったけれどアップにしたりしませんでしたし)。でも永遠の中学生が背伸びしたって無理があるとしか。同じマイケル・ベイらしさならロボットがガチャガチャ動いてておっぱいとお尻が乱舞する世界に徹してた方がまだ良かったのかも。いや、どっちにしたって高い点付けたりしませんけど。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 3点(2017-08-06 21:03:21) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 IMAX-3Dにて鑑賞。 日本公開前から前評判の異常な悪さが聞こえてきていたこの最新作ですが、確かにつまらんかったです。ギャグのつまらなさや設定の意味不明さは『1』以来の本シリーズの伝統なのですが、本作についてはそうしたシリーズの問題点が余計に悪化しており、もう本当にえらいことになっています。 しかも本作が重傷なのは、その意味不明な設定を観客にちゃんと理解させようと時間をたっぷり使ってしまっていること。前作までは正義のロボットと悪のロボットが戦っているという構図さえ理解できれば後のことはどうでもよかったわけですが、本作では「人類史にトランスフォーマーが深く関わっていた」という、本当にどうでもいいことがしつこいくらいに説明されるし、そうしてしつこく説明される割りには、タリスマンや杖といったアイテムに一体どんな力があるのか分からなかったり、途中まで杖の争奪戦をやっていたにも関わらず、ラスボスを倒す時にはその杖が大して重要な役割を果たさなかったりと、この監督と脚本家は一体何がやりたかったんだろうかと、本当に不思議で仕方ありませんでした。 もう一点、本作の関係者が罪深いと感じたのは、冒頭の合戦(おそらくベイドン山の戦い)にて円卓の騎士の中に一人黒人がいるということ。北欧神話をモチーフにした『マイティ・ソー』の世界にもなぜかイドリス・エルバや浅野忠信が居て「ハリウッドの人種平等主義はやりすぎではないか」と感じていましたが、本作はその比ではありません。円卓の騎士の名前と個性は広く知られているにも関わらず、そこに人種が違う人間を無理にねじ込んでいるのですから。特に本作では設定を観客に楽しませようとしていたのだから、その前提としては広く知られた歴史を尊重するという姿勢が必要だったはず。前作では中国の地理を無視して中国人を怒らせていましたが、本作ではイギリス人を怒らせるのではないでしょうか。外国に対するアメリカ人の無神経さには、毎度恐れ入ります。 また、肝心のロボットバトルにも前作から特に進化している点はなく、毎回毎回同じようなことばっかやってますなぁと、こちらでも熱くはなりませんでした。予告の時点でさんざん押されてきたオプティマスの寝返りについても、オートボッツと一回ド突き合いをしただけで我に返るというアッサリ加減で終わってしまうし、本作独自の色を出そうとしながらも、結局いつもの形に戻ってしまうという点がもどかしかったです。一時的にでもオプティマスとメガトロンが肩を並べて人類を攻撃するという画でもあれば、盛り上がったのですが。そういえば、あのメガトロンは『ロストエイジ』のガルバトロンと同一人物なのか、それともまったく別ルートで生き返ったものなのか、はたまた『ダークサイドムーン』で殺されたはずのやつがひっそりと生きていたものなのか、その説明すら端折られてましたよね。どんだけ適当な映画なんでしょうか。 【ザ・チャンバラ】さん [3D(字幕)] 4点(2017-08-05 01:20:45) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 想像以上。想像以上に想像通り。いつものベイ映画である。 「トランスフォーマー」が劇場公開されてから今作で5作目、そして10周年。 ビーのディスアッセンブル変形や、見せ場のシチュエーションの増加などに、新たな試みや映像の進化が見て取れる。しかし映画的には進歩もクソもない、ベイ映画への予想の範疇を絶対に超えない仕上がりとなっている。
今作のモチーフは聖剣伝説。ガイ・リッチーがどれほど斬新な解釈でアーサー王を描こうとも、ベイの超絶解釈にはとても適うまい。前作で反TF企業の経営者を演じたスタンリー・トゥッチが、なぜか魔法使いマーリンを演じるという謎の転生キャスティングからヤル気満々。(そもそもレノックスやシモンズ、さらにはモーシャワーまでもがカムバック出演しているのに、なぜS・トゥッチはマーリンとして出演したのか…)
しかし、細かい事はどうでも良いんだよと言わんばかりに、最初から最後まで「ベイヘム=ベイ+メイヘム(騒乱)」の大量投下だ。 やたらと爆発、無駄に多いキャラ、スベり続けるギャグ、世界遺産はとりあえず破壊、急にミュージックビデオと化す戦闘シーン…などなど、全編に渡りクソ映画のDNAをこれでもかとぶち込んでくる。 その結果として、ストーリー上の山場すら満足に盛り上げられないという体たらくである。
本作の見どころとなる(はずだった)のはやはりオプティマスの裏切りだろう。 ネメシスプライムといえば、TFトイに親しみのあるファンにはおなじみのキャラであり、こういう登場のさせ方は面白いと思う。しかしそこからの展開がまずい。 ネメシスプライムに妨害された直後に戦って仲直りするなど、投げ槍もいいとこだ。 ダークサイド堕ちという新たな試みを、なぜ中盤の小さなイベントとしてまとめてしまったのか。 裏切ったオプティマスに敗北、誰もがオプティマスを敵と認識する、それでもオプティマスを信じるビーという鉄板展開を、なぜしっかり描けないのか。ビーの声を最大限に響かせるための工夫がもっともっと必要だろう。
そういう部分はおざなりにして、人間側のコメディパート(蛇足パート)に執拗に時間を割いてくるあたりは、さすがは低い水準で安心安定のベイ映画である。人間側には「家族」、TF側には「ホーム」というキーワードが出てくるが、どちらも中途半端に終わってしまった。 ともかくオプティマスの裏切りについては肩透かしもいいところだ。むしろ普通のオプティマスの方が凶悪だろう。今回も6連続クビチョンパまで披露し、顔面破壊大帝の面目躍如である。(オプティマスは過去作での残忍な言動と執拗な頭部破壊が、一部のファンの間で話題になっていた。例:「メタルのクズめ!!」「その顔を剥いでやる!!」など…)
今作は人間側の比重が多いのもまた一つの特徴か。いや、まぁ単に無駄キャラがわらわらと多いだけなのだが。 その影響かトランスフォーマー側の描写が少ないのが辛い。
前作から引き続き登場するオートボッツの面々もほとんど見せ場はない。クロスヘアーズが指を捻られたくらいしか記憶に残らないようでは駄目だろう。メガトロンが直々に編成した新生デイセプティコンの空気っぷりに至っては、もはやギャグの領域である。バーサーカーとは結局なんだったのか。(ちなみにバーサーカーは映画に先んじて、おもちゃが発売されていた)
変形シーンも少なめであり、オプティマスは変形こそあれど、その過程を見せることはない。トランスフォームとはこのシリーズの最大かつ基本のギミックであるため、この程度では物足りない印象を受ける。 個人的にはトランスフォーマーの変形やバトルをもっと観たかったというのが本音だ。続編に登場するユニクロンに期待したい(エンドクレジットのアレはユニクロンの角だろう)
しかしながら映像の迫力や質量はただただ凄まじい。 トランスフォーマー以外にも、やたら本格的なアーサー王の合戦シーンから、実際に作ったというストーンヘンジなどこだわり抜いた映像が盛りだくさんだ。
爆発に次ぐ爆発、これほどの大作を指揮できる者などベイの他にいないのもまた事実。200億円超えの製作費で紡ぎだされるベイヘム演出こそ、まさにベイの真骨頂にしてスタンダード。ストーリーはブレブレでも、映像への熱さに一片の迷いもない。 想像通りのベイ映画、それはベイ映画に対する期待を決して裏切らないということ、そして夏休みに相応しい超大作に仕上がっているということだ。
そんな、いつものポンコツ映画である。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-07-11 12:47:18) (良:1票) |