《改行表示》 5.2時間弱、休む間もなく延々と続く緊張感に、映画が終わって大きなため息をつく。長く水中にいて、ようやく水面に顔を出したときのような開放感。まさにダンケルクにいた兵士たちが味わったであろう緊張と安堵を、(もちろん比較にならないだろうが)少なからず感じさせてくれる見事な映像表現と展開力はさすがはクリストファーノーランと言うべきだろう。刻々と時を刻む不気味な音楽は最初から最後まで止まることはなく、終わりのない地獄を垣間見るようなそんな気分にさせてくれる。素晴らしい映画であることに疑いの余地はない。 しかし前回のインターステラーで見せてくれた圧倒的な創造性の前に、物足りなさを感じてしまうのも事実だ。クリストファーノーランならもっとすごいものが撮れるという勝手な期待を含めて、今回は8点としたい。 【ばかぽん】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-01-27 07:02:11) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 ひたすら撤退、脱出シーンのみが延々と続く映画だった。 せっかく逃げられたかと思っても、敵の攻撃どかーん、振り出しに戻る。 でもなぜか飽きないし面白いんだよなぁ。 【おとばん】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-10-09 17:51:16) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 ■「プライベート・ライアン」以来、戦争映画といえばあのスタイルが王道みたいな感じだけど、その流れでこの作品を理解しようとしても意味がない。これはあくまで「時空の魔法使い」クリストファー・ノーランの映画である。 ■冒頭、主人公が独軍の銃撃から逃げていると、いきなり視界が開けてダンケルクの海岸についてしまった。もうこの時点で時空がねじ曲がった感が凄い。それを皮切りに、いつの間にか数日たってたり、エピソードごとの時間経過が全くバラバラだったり、と、とにかく時空を解体しまくる。 ■それはつまり、「ダンケルクというブラックホール」を描く試みではないか。この地に吸い寄せられるようにさまよい出たり、なんやかんやで中々脱出できなかったり、やっと脱出できると思ったら結局また戻ってきてしまったり。ダンケルクというのはそういう(ホラー映画にでもありそうな)ヤバい場所なんだということを、時空をもてあそぶことで強調しようとしているのだと感じた。 ■しかし、それらはやっぱり戦争の恐怖を伝えるための手段に過ぎない。マーク・ライランスが、「我々の世代が若者を戦場に追いやってしまった」というようなセリフを言うけど、このご時世に生きる人の親として、大変身につまされる。また、兵士たちが本土に戻って歓迎を受けるシーンでは、「よく戻ってきたなぁ」と私も一声掛けたくなった。大変技巧的な映画ではあるが、それにも拘らず、か、それが故に、か、分からないけど、ダンケルクという戦場の閉塞感が生々しく伝わってくる、骨太な戦争映画である。エンドロールでは涙が止まらなかった。 【麦酒男爵】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-10-01 16:25:27) (良:1票) |
2.「インターステラー」の時もそうだったけど、やたら荘厳で重厚な音楽が終始流れ続けている為、何気ない描写、奥から味方と思しき兵士が近づいてくるだけという何気ないカットでも、もしかしてこいつ裏切って銃乱射したりしないよな?っていう不安が常に付き纏い、終始一貫して気の休まる暇がなかった。しかも、うるさすぎて逆に戦闘描写の邪魔だと感じるところなんかもややあったりして、たまには無音でもいいのにと思ったりなんかしました。映像面ではやっぱり迫力があったので、かなりの没入感でした。体験型の戦争映画ですね。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-09-12 23:34:55) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 IMAXで観た。ちらほら評価を見ていると期待外れなのかなという印象で観に行ったが楽しめてしまった自分がいる。 不思議な映画である。敵兵の姿も見えないし陰惨なシーンがあるわけでもない。それどころか人を直接的に殺すシーンってあったっけ?もちろん人が死ぬシーンはあるのだが。カメラは役者に近くIMAXで観れば腹に響くような重低音が続き、冒頭の銃撃からこれは観客に体感させる映画であることに気づく。ノーランらしからぬ上映時間の短さには途中で納得がいく。これが二時間半以上あったらさすがにしんどいだろうと。 大規模な作戦だが焦点は絞ってある。三つの視点から描く。だが同時並行ではない。時間軸をいじってある。そこら辺が「メメント」の時から小賢しいなあと思うところだがこの作品を普通に描いたら恐らく退屈になるのは想像できる。ずらして描き観客の理解を遅らせる。理解した瞬間に刺激が生まれる。この監督はどうしたら映画的な刺激を産み出せるかをいつも頭で考えている監督なのだろう。だからこの監督から純粋な面白さというものを味わったことはあまり多くない。だが凄いとは何度も思わせられるからいつも新作を観てしまう。三つの時間軸を終盤に集約させ畳みかける作りは器用そうに見えてかなりの力技に思えた。成熟や老熟とはまだまだ無縁な感じで未だ若々しい演出の監督だがだからこそ新作の度に注目され話題になるのだろう。 陰惨なシーンの積み重ねではなく生かそうとする行動の積み重ねで出来上がっているので戦争映画を観終わったとは思えない印象が残る。「生き残ってきただけだ」「それで充分だ」本当にそう思う。新感覚の戦争映画と言っていいのではないだろうか。 【⑨】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-09-11 01:40:21) (良:1票) |