5.《ネタバレ》 前作の「麒麟の翼」が非常に良かったので大いに期待して観に行ったのですが、まあ、確かに大作ではあります。シリーズ最終作品ということでドローンを使っての風景描写、最後にカメオアピアランスまでおまけにつけて、スタッフの気合いの入りようは感じられました。ストーリーもカレンダーに書かれた橋の名前をきっかけとした加賀家と浅居家との因縁的結びつきと加賀の過去や現在が明らかになるなど、非常に練られた構成で楽しめるはずだったのですが、なんか違うんですよね。このシリーズの持つ独特の雰囲気が描かれていないような。場所が日本橋近辺だけではなく、彦根や仙台にまたがっていたからなのかもしれませんが、やっぱりこのシリーズの肝は恭一郎が足を使って地道な捜査をするところにあると思うのですが。 途中からは加賀は脇役に追いやられ、浅居父娘が主役となってしつこいくらいに二人のシーンが続き、そこまで二人の絡みを入念に描く必要はあったのかと正直ちょっと食傷気味でした。 最後に加賀さんが人形町をぶらついて終わりにしたのもなんか取ってつけたようで、あまり余韻は感じられませんでした。 【キムリン】さん [映画館(邦画)] 6点(2018-02-12 16:27:49) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 役者もみんな熱演だし、話もそこそこわかりやすくて引き付けられるものがある。しかし「砂の器」のまるパクリはいかんせんアウト。それに松本清張は親殺しは断じてさせていない。自分の人生を守るために恩人は殺せても実の父は殺せない。それをやったら、話が全部ウソになってしまうから。東野圭吾の作家としてのどうしても越えられない限界がはっきりわかる映画。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2020-07-13 17:10:42) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 原作未読。連ドラ視聴者です。 劇場版の前作と同じ点ですが、前作の方が良かったかも。 でもそれは主賓ゲストの差なのかな。前作の中井貴一さんは良かった。 松嶋菜々子さんも悪くはなかったのですが、自分の子役に完全に喰われてしまいましたね。 トンネルのシーンは良かった。父ちゃんが抱擁のために戻ってくるところはチャップリンのキッドを思い出してしまった。 でも松嶋菜々子さんが実母を責めるシーンの表情はなかなか良かったです。彼女のあんな顔は初めて観ました。 映画の作りとしては他にもCGが不自然だったり、舞台が日本橋じゃなかったり、ドラマ視聴者のみ楽しめるドラマスペシャル感(捜査会議のシーンとか)などなど、前作よりもテレビ用の気配が強かったのが残念なところでした。 しかしドラマから観ている側からしたら、恭一郎の過去が精算できた事の安堵感とともに、彼の日本橋物語が終わってしまったのはやや残念。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-05-18 00:15:49) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 予備知識なしで見たが、序盤で警視庁の刑事が地方に出かけて、テロップで事情を説明していたのが「砂の器」っぽいと思っていたら、その後もほとんど「砂の器」をなぞった感じの話になっていたのは呆れた。逃避行のところで感動を盛り上げる音楽が鳴り続けるのも「砂の器」に似せているようだが、この音楽も本家よりさらに薄っぺらい。 物語としては、本家の方は病気の問題が扱われていて注意がそっちに向いてしまうのと、犯人が全く共感できない男のため感動が削がれるところがあったが、この映画では父子の境遇に素直に同情でき、最後はそれでも逮捕されなければならないのか、という思いが残る結末になっている。ただ主人公の事情を同時並行的に語るストーリーのためか、2時間ではかなり込み入った話になってしまったようでもある。自分としては残念ながらそれほどの大感動もなかったが、この後に主人公は元の職場へ復帰するという話だったので、このシリーズ的にはハッピーエンドになったらしい。なお看護師との関係の進展は不明に終わった。 出演者としては、ヒロインの少女時代の悲痛な顔と、現在の凄味のある顔が印象的だったのと、老人ホームにいた母親がかなり強烈な人物だったのは笑った。また捜査本部の上司のわざとらしい口調と顔はやめてもらいたかったが、老人ホーム職員の一人漫才のようなのは嫌いでない。そういう面での娯楽性もある映画だった。
ちなみに社会的な問題提起という面で、本家「砂の器」での病気に当たるものは、この映画では原発のように見えたが残念ながら半端な感じに終わっている(原作を読むともう少し突っ込んで書いてある)。また序盤で岡の上からアパートを遠望したのはどこの風景かと思っていたら、石巻市の日和山から北上川の河口付近を見た映像だったと後でわかった場面は少し衝撃的だった。ただし2001年の時点ではすでに日和大橋ができていたはずなので、現実の石巻を想定していたのでもないらしい。 ほか映像面では、窓から海(湖)の見える居室というのが印象に残った。また原作段階からのことだが、地域行事の「橋洗い」を紹介していたのは少し見どころだった。 【かっぱ堰】さん [インターネット(邦画)] 6点(2018-10-25 20:42:03) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 非常に丁寧に作られた作品。その丁寧さのせいか、登場人物のほとんどが、決められた道筋を黙々と進む駒のように見える。ゆえに感情移入がしづらい。東野圭吾は方程式で喜怒哀楽を表現しようとするが、松本清張は本質で表現してくる。だから決して「砂の器」にはなれない。ただし、本作品には本作品の魅力があり、それは東野圭吾だからこその面白さ、驚き、感動がある。阿部ちゃんが事件の関係者の中に自分を組み込んで思考してみるあの展開。あの展開、あの発想こそが、ザ・東野圭吾ワールドですね。
ただどうしても気になったのは、先生といつどのタイミングで恋仲になったのか。そこが気になりました。
あとは首を絞めるとこ。首絞めて殺すって、そうとう握力ないとできないと思うし、相手に対してちょっとでも気の緩みがあったら力入らないんじゃないかな。いくら死にたがってる父のためとはいえ、ためらいが全くないって考えられないし、父親も娘を犯罪者にしていいのかよ!
なんか「新参者」というパズルの、空白だった部分を埋めるためにピッタリハマるピースを見せられた。そんな気もします。
大変丁寧に作られた映画。それ以上でも以下でもない。はい。 |