《改行表示》 8.《ネタバレ》 IMAX 3Dにて鑑賞。世界観を説明する導入部や前半の見せ場であるカーレースでは3D効果の高い見せ場があるものの、後半にいくにつれてだんだんと3Dは雑になり、2Dでもいいっちゃいい状態になっていきます。 かつては娯楽作の帝王だったスピルバーグも今や70代。そういや21世紀に入って作った娯楽作で本当に凄かったのは『マイノリティ・リポート』と『宇宙戦争』くらいで、あとは社会派作品ばかりになったスピは過去の監督だと思っていたのですが、ごめんなさい、見くびってました。演出の緩急の付け方や見せ場に入るタイミングなどでは熟練した技が炸裂し、スピはいまだ現役バリバリの娯楽監督であることを見せつけられました。レースでのゴール場面や、ピンチにおける味方の救援など、来ることは分かってるのにそれでも興奮させられるという、この演出のキレは凄いと思います。 物語は紋切り型です。オタク青年の成長物語と夢追い人だったクリエイターの人生をたどる物語が平行して描かれるのですが、これが70年代から繰り返し見せられているスピルバーグの自己投影映画であり、特に新鮮味なし。また主人公の育ての親であるおばさんが殺されるという展開は、あくまで観客に対して敵はそれくらいやってくる奴ですよという説明をするためだけに存在しており、主人公の物語にはまるで影響を与えないというアッサリ仕様。要はビジュアルを見せることに映画のすべてを集中させており、そのためにドラマパートは極力簡素にとどめているというわけです。この豪快な刈り込み方とか、見ようによってはツッコミどころ満載の内容なのに、見せ場の勢いで乗り切ってみせたスピの力って、やっぱりすごいと思います。 もうひとつスピが見せた実力と言えば、膨大なキャラの権利関係の調整だったと思います。本作に登場する古今東西のキャラクターはとんでもない量であり、画面の片隅にチラっとえらいものが写ったりするのですが、これだけのキャラの使用権を獲得できたのは、世界中のクリエイターからの敬意を受けているスピルバーグが本作の看板になっているからだと思います。他の監督ではこうはいかなかったでしょう。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-04-21 03:15:32) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 スピルバーグ監督、凄いなぁお年を召してもやっぱり天才は健在、と素直に思ってしまう。リアルの世界は決してハッピーではなくむしろ後退している感の2045年という時代、ヴァーチャルに依存する傾向だけは進んでいて、人々は現実逃避に忙しい。登場人物のハリデーが作ったオアシスという劇中ゲームを使って、スピルバーグはやりたい放題。様々なカルチャーに傾倒するオタクどものオタク心をくすぐるアイテムを次から次へと登場させるからターゲットが広い。ハリデーとスピルバーグは間違いなく同一人物にして確信犯。こういうのみんな好きでしょ~って。ゲームや特にネトゲ―には全く興味のない者でも、シャイニングのホテルやタイプライターには鳥肌が立ったし、アイアンジャイアント、ガンダム、メカゴジラが出てきたらウホ~ってなるし、デロリアンやエイリアン他にも嬉しくなる瞬間がたくさん散りばめられていて、アミューズメントパークのよう。リアルの世界が大切というのが本題ではあるが、悪者が逮捕され、オアシスは週休二日になって、それだけでこの世界がどう変わるのかはさて置き、少年の成長物語に複雑なリアリティーは必要ないのである。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-06-28 14:27:47) (良:1票) |
《改行表示》 6.《ネタバレ》 「僕はガンダムで行く!!」 スピルバーグは良く判ってる! 心鷲掴みです。 バン・へーレンの「ジャンプ」で始まった時点でノックアウトですね。 その後に続く、ストーリーも思わず引き込まれます。 さらに、ウンチクが言いたくなるような場面も盛り沢山!! スピルバーグは、最近この手の映画を作らせたら、本当に外さないですね。 それは、ジェラシックパークシリーズにも言えますが、CGなどを駆使しないと、絶対に描けない世界観の中に、興奮と感動をキッチリ埋め込んできます。 スピルバーグの原点ともいえる「ET」から脈々と流れているように感じます。 私は、そんなにゲームはやりません。 しかし、そのゲームの世界観や、面白さがちゃんと伝わって来ました。 この映画ってRPGの進化版って捉えてもいいのでしょうか?違ったらごめんなさい。 RPGをやったことがないのですが、やって見たくなりました。 登場してくるキャラクターも、懐かしのヒーローがたくさん出てきますね。 特に、スピルバーグは日本贔屓だからなのか、日本のキャラクターがたくさん出るところも好感が持てます。 単純に楽しめた1本です。 そして、今後もたまに見たくなる映画の一つになりました。 【レスポーラ】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-01-07 13:51:27) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 疾走感がスゴイ。 もう、力技で引っ張られてく。 あの企業の悪いおっさんが、自分のパスワードを書いたメモを貼っておくのはありえないけど許そう笑 企業の存亡をかけた仕事をするあの装置のある部屋に、誰もが簡単に入ることができて、防犯カメラもないのもありえないけど許そう笑 それに主人公の男の子と、その子とくっつく女、そして友達の3人… 全世界で利用者がいるこのバーチャルゲームで、アバターとして知り合ってるこの5人が、世界中の遠く離れた国々に散らばっていてもおかしくないのに、なぜかすぐに会える超至近距離に住んでることも許そう笑 とにかく全部許そう笑 それにしても、過去の映画作品やカルチャー全般のオマージュの量は半端ない。 内容はどうでもいいんじゃない? SNS映えするお菓子みたいなもの。 中身のスポンジはよくある味でいいから、外側にレインボーカラーのクリームを分厚く塗りたくって、チョコスプレーをぶっかけて、 フルーツを盛り付けて、イチゴソースをだらだらと垂らしたお菓子。それがこの映画。 それにしてもスピルバーグは、ほんとスゴイ。 「シンドラーのリスト」を作った同一人物とは思えない。 かたや白黒の重くて深い映画。 かたやカラフルで軽くて楽しい映画。 どういう脳みそしてるんだろう…。 【フィンセント】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-18 09:27:43) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 ストーリーはともかく、本当に「おもちゃ箱をひっくり返したような映画」という言葉がぴったりはまる映画で、とにかく見ていて純粋に楽しめた。冒頭部分からの金田バイクの登場は2か月前に「AKIRA」を再見したばかりというのもあって出てきただけで興奮したし、ガンダムとメカゴジラの戦いももちろん見ていて燃えたし、子供の頃にソフビで遊んでいた感覚を思い出してなにか懐かしくなってしまった。あえて野暮な欲をいえばメカゴジラの登場シーンでゴジラのテーマではなくメカゴジラのテーマ(74年Or93年)を使ってほしかったところ。でも、いちばんの見どころはやっぱり「シャイニング」の再現の完成度の高さで、かなり気合いを入れて作り込んであって、ここが見ていていちばん興奮してしまったし、久しぶりに「シャイニング」見て見ようかとも思った。こういう映画は元ネタを知らないと楽しめないかもというのがあるのだが、この「シャイニング」のシーンで、中に入るメンバーの中に「シャイニング」を見ていない人物を一人入れているのは、実際に見ていない観客と同じ立場の人物を置いておくことでその観客が置いてけぼりを食らうのを最小限にとどめるためだと思うが、これは良かったと思う。映画の世界を疑似体験できるVRというのはそのうち実現するだろうなと思わずにはいられない。それにしても70を過ぎたスピルバーグがまだこういう直球勝負なエンタメ映画が作れるということに驚くとともに嬉しくなる。映画に興味を持ったのは中学の頃で、きっかけとなった中には「BTTF」や「ジュラシック・パーク」があるわけだが、この映画が今のこれから映画に興味を持とうという人のそういったきっかけの一つになれば嬉しい。 【イニシャルK】さん [DVD(吹替)] 8点(2020-09-22 13:03:38) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 たぶん自分が生涯でもっとも聴いたロック・スコアである“Jump”がいきなり響き渡るのだから、そりゃ高まらないはずはないでしょう。次から次へと登場してくるポップやサブカルチャーのアイコンたちには息を飲むばかりでしたが、そのうち半分近くが日本ネタというところに、改めて日本のポップカルチャーの影響力を実感させられました。噂では「ゴジラも出てくるらしいよ」と聞きましたが、実際にはゴジラはゴジラでもメカゴジラの方だったのはちょっと残念。ローランド・エメリッヒが例のイグアナ・ゴジラを製作してるときに「君がゴジラをリメイクするのは冒涜以外の何物でもないから、止めた方が良いよ」と非難したぐらいのスピルバーグですから、自作でもゴジラそのものを登場させることは矜持が許さなかったのかもしれません。エッグを獲得するための最後の試練がアタリの原始的なゲームだったというのはアメリカらしいけど、ここはぜひともドラクエとかゼルダの伝説なんかをフューチャーして欲しかったところです。 オアシスを開発したジェームズ・ハリデーとは、観れば判る通りスピルバーグその人なんです。とくに若いころのハリデーは50年前のスピルバーグと瓜二つでしょう。映画の道に進まなかったらただのオタク少年だったスピルバーグが、もし違う人生を選択出来たらなりたかった自分の姿こそジェームズ・ハリデーなんだろうと感じます。そしてラストで見せられるハリデーの部屋は、スピルバーグ少年の部屋を再現したんだろうなと想像してしまいました。「孫もいる歳になっても、まだピーターパン症候群が治らないのかよ」と突っ込みたくなりますが、「リアルがいちばん大事、週二日は脱Net日を」なんて分別くさいメッセージを織り込めるぐらいの大人にはなれたみたいですね(笑)。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-11-25 20:32:31) (良:1票) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 JUMP(ヴァンヘイレン)が流れる冒頭部分、3人並んで仲良く歩く「キティちゃん」と「ケロケロケロッピ」と「バットバツ丸」を画面の隅に見つけて 「え、この映画の隠れキャラってこのレベルのものを見つけてかなきゃいけないの??無理ゲーじゃん!」と思ったわけですが… 実際のところ巷で言われているほど隠れキャラを意識する必要もサブカルの知識もない映画で、たとえば「フェリスはある朝突然に」と「初体験リッジモントハイ」の監督が違うかどうかなんて知ってても知らなくても映画の面白さには全く影響ないわけです。 (ちなみにリッジモントハイの方が断然重要な映画です。フィービーケイツのおっぱいが出るからな!!) そりゃ「シャイニング」くらいは観たことがないと(キングがこの映画の存在自体を大嫌いだという事も知らないと)ちょっとアレなわけですが、しかしこれも劇中のエイチ(女子は怖いホラーは観ないっていう伏線)と同じ状態になるだけの話でそこまで致命的ではありません。 (つかシャイニングの一連のシーケンスは本当に面白かったです。まんまなんだもん) まぁさすがに昨今のネトゲというかMMO等の雰囲気は知らないとまずいんですが、これも今どきこの種のネットゲームに触れた事がない人も少ないでしょうし、日本にはソードアートオンラインといううよく似た設定の小説(累計2000万部以上売れているベストセラー)もあるしで、この映画の設定に今更違和感を感じるような人もいないでしょう。 そう考ると、この映画についてよく言われているほど実はサブカルの知識は必要ない映画で、純粋に映画としての面白さで評価できる映画なのではないかと思います。 で、その映画自体の面白さが、うれしいほどに「スピルバーグ健在なり!」 特に後半でのドキドキワクワクの展開は80年代90年代の同監督の有名映画にも全く見劣りしません。 25セント硬貨などのわかりやすい伏線をきっちり回収しながらの二転三転するハラハラの展開は見事なものだし、きっちりアゲアゲベタベタなハッピーエンドで終わらせてくれるのも素晴らしいところです。 とはいえ、サブカル系がわかった方が面白い(というかテンションが上がる)のは間違いなく、実際に劇場でも「俺はガンダムで行く」のとこが一番ザワザワしてました。(そりゃするよね、あそこは。日本人だもん) 個人的にはザブングルのWM(ダッカーぽいやつ)が出てたように見えたんですが、あのごちゃごちゃの中じゃ判別はほとんど不可能ですね… それにしても、主に80年代のサブカルを描いたこの映画を見るとかつて日本のコンテンツが本当に力があった事がよくわかります。 クライマックスで「メカゴジラ対ガンダム」だし、そもそもアメリカのキャラより日本のキャラの方が多いんじゃね?と思っちゃうくらいですからね。 てかそれ以外の国のキャラ、ほとんどいないですしおすし。 あ、一点だけ現実ではありえなさそうな点を。 映画中ではエイチがネナベだっただけでそれ以外のキャラとリアルの性別は一致してたわけですが、実際のネトゲではそんな事はありえません。 劇中でエイチが語っているように女性キャラの大半はネカマだし、男性キャラの結構多くはネナベです。 ゲーム中くらいリアルの自分とは異なるキャラに…と思う人も多いわけで、そうなるのはしょうがないんですけどね。 【あばれて万歳】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-04-23 23:32:36) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 3D吹替で鑑賞。原作ファン納得の見事な映画化。 映画オリジナルの演出も実にうまい。映画というメディアに合わせ、ゲームネタ→映画ネタへ最適化されている。もともと原作がエンタメ知識検定みたいなもので、知識量が満足度に比例するというちょっと特殊な映画でもある。 「俺はガンダムで行く!」は「ダイトウ、ガンダムで出る!」なら泣いたかも。そんなツッコミが、また楽しい。 皆さんご指摘の通り、この映画は’70〜’80ポップカルチャーへの賛歌です。それ以上でも、それ以下でもありません。 ネットばかりやってちゃダメ的な御託(ごたく)も、ラブ要素も、追跡アクションも、予算規模に見合う観客満足度を担保するスピルバーグの戦術と見ます。それ程までに、この原作は版権規模が大き過ぎて、時間的・予算的な高い壁があり、必然的にターゲットをオタク以外にも拡大する必要があったんでしょう。 映画の何十倍ものオタク知識をモザイクのように組み上げた原作の本質的魅力を損なわず、マニア以外にも対応したエンターテイメント映像に翻訳したスピルバーグはやはり、ジョーズ、ジュラシックパークの原作を大ヒット映画に仕上げた《映画の申し子》だと再認識しました。 もし、当初の予定通り、クリストファー・ノーランが監督していたら(他の誰でも同じですが、)それは映画としての体裁は良くても、もはや レディ・プレイヤー1とは似て非なる映画になったか、プロジェクト自体が破綻していたに違いありません。 ギレルモ・デル・トロのモンスター偏愛の結晶が『レディ・イン・ザ・ウォーター』なら、原作者E.クラインとスピルバーグの “ 70-80’s ポップカルチャーへの感謝を込めた擬似RPGアクションアドベンチャー偏愛映画” が『レディ・プレイヤー1』です。 これは、ゲームを描いたゲームのような映画。あまり深く考えず、只々楽しむためコインを投入しましょう・・・READY? PLAYER ONE!! 【墨石亜乱】さん [映画館(吹替)] 8点(2018-04-21 13:34:44) (良:1票) |