4.《ネタバレ》 見始めは殆ど感情移入出来ず。少々社会性に難ありのお金持ちエリートが、妻の突然の死を契機に自暴自棄になり恰もおもちゃ屋の床にひっくり返って泣きじゃくる駄々っ子の如く振舞う。しかし、経済的基盤が揺るぐこともなく、周囲の優しさに甘えて落ち着いて行く。みたいに受け止めてしまいました。
でも、何が違うんじゃないか?見落としてるんじゃないか?と思い翌日二度目の鑑賞。あぁ違う。もっと深いや。短絡的に観てしまったことを恥じつつじっくり鑑賞し直しました。
観れば観る程に身につまされる物語。否、勿論自分自身の人生とは全然違いますが、周囲との関わりの中で自らが被り続けている仮面、見て見ぬふりをしてしまう他人からの思いやり、隠しがちな本音等々、少なからず当てはまってしまう。
そのものズバリではないにせよ、作品が観客に語りかける言葉の数々は相当に鋭いと思います。そのものズバリではないことが寧ろ鋭さを帯びると言うか。
優れた脚本と演出、そして主な出演者が見事に役を演じ切っていること。特にジェイクさんとナオミさんは素晴らしいの一語に尽きます。
ただ、意図が解ってもなお、否、解ったからこそ尚更に、デイヴィスの破壊行為には観ていて息が詰まるものがありました。それが自分的には減点効果。それでも高評価せざるを得ない作品でした。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(字幕)] 8点(2025-01-08 22:20:30) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 でもゆーて、ワリかし無くはない方のハナシじゃないケ?と思ってしまいましたが、あくまで私におけるこの既視感の理由は先に『永い言い訳』を観ていたからでした(でも『永い言い訳』の原作小説の刊行と本映画のトロント映画祭での発表はドンピシャで同年なので、どっちが先…というコトではなさそうですケド)。ただ、アッチに比べると今作の方がだいぶん繊細で曖昧、かつ少し「分かり難い」話ではありますかね。取り分け、アッチがごくシンプルにポジティブな過程を終始辿ってゆくのに比して、今作はそーいった側面も備えつつも(=ナオミ・ワッツと彼女の息子のお話の部分)かなり終盤深くまで本質的にはネガティブな展開をし続け、一方でオーラスでは主人公はふと吹っ切れた様にも見える…という点においてはそんな感じかとも思います。
まあ個人的には、彼を捕らまえていたのは一種の「罪悪感」とゆーか、ないしは自身に対する怒りだとは思うのですよね。ソコを、物質的・表面的に満たされた生活で見えなくなっていた種々のコトを刮目して見い出した結果、色々と(=自分も他人も)許すコトが出来た…という様な話かなと理解しました。ただ一点、どーにも共感がしにくかった…とゆーのが、ゆーて彼がこ~んな派手な自暴自棄に陥っても(ある種)OKだった…というコトの理由は、やはり物質的に満たされているから、ですよね。ある面で非常に「大人気ない」とゆーか、言っちゃあ私には「金持ちの道楽」的なコトにすら見えましたよ(偉そーなコトを言って申し訳ないですケド、皆そんな余裕なんて無い中で頑張ってんだよ!と)。やはり個人的には、ちょっと本質的には共感できなかった…という作品になってしまいますかね(ごく残念なコトですケド)。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 6点(2022-07-13 00:52:26) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 人の心ってのは難しい。いやわかりますデイヴィスの気持ちはなんとなく。おそらく彼はずーっと抱き続けてきたのでしょう違和感を。結婚生活に対して、そしてあてがわれた仕事に対して。だって彼は生来「正直が売り」(知人談)の人なのだから。 やり過ごしてきた日常が突然破壊され、どこに自分の心を置いていいのか分からなくなる。だから彼はいったん解体する。モノを。突き詰めれば自分の心を。もう一度構築するために。 なんて感覚の鋭敏な人だろう。彼は義父母のように「普通に」妻を追悼することができない。だって彼らのやってることは欺瞞だもの。義父母の娘は彼らが思いたいほど清廉ではなく、事実デイヴィスへの裏切り行為が最悪の形で発覚するし、ついでに義父の選んだ「人格品行方正な」奨学生は初対面のナオミ・ワッツに手を出す最低野郎だというシマツ。ああなにもかもが嘘っぱち。 だからデイヴィスは壊すのだね。ぺかぺかの居間を、豪勢だけど空疎な家を。 心バランスを失って「変人」すれすれの行動に及ぶ主人公はジェイク・ギレンホール。彼はこういう役をやらせると天才的に上手い。 デイヴィスと心が共鳴し合う15歳のナオミの息子を配したのは心憎い脚本でありました。映像もキレイです。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-05-30 17:35:00) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 誓って狙っている訳では無いのですが、またもや一番乗りです。 この場をお借りして登録頂いた方に御礼を申し上げます。
そっけない原題に対し、狙い過ぎとも取れる意味深な邦題。 「一体どんな映画なのか?」と興味を抱かせる点では大成功。 この邦題がなければWOWOWの番組表を見ても鑑賞する気にはならなかった筈。
内容は何不自由の無い生活をしていた主人公が、突然の交通事故で妻を亡くす所から始まる。 周囲の心配をよそに平静を保っている主人公。 でも妻の居ない日々を過ごす中で、自分を取り囲む全てにに違和感(と取り敢えず表現しておく)を感じ始め、 それが周りの全てを壊す行動に繋がり、そこからもたらされる主人公の新しい人生の日々が描かれている。
文章にすると至極つまらない(私の文才が無いせいだが)。 だが、観始めると何故か飽きずに見続けてしまう。 これも「アメリカの良心」とも言われる俳優、ジェイク・ギレンホールの演技力と佇まいの成せる業か。 捉えどころの少ない作品ながら、さりげなくも未来を明るく照らすかの様なラストシーンに胸が熱くなった。 【たくわん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-17 12:49:49) (良:1票) |