5.《ネタバレ》 ~Sorcerer~『魔術師』。ドラクエとかでお馴染みの魔法使い(Wizard)は、教本とかで魔法を勉強する。対して自然に魔法が使えるのが魔術師…だそうで、作中魔術の描写は出てこないけど、南米の大自然の恐ろしさと、登場人物の因果が、俯瞰視点からだと魔術のように見える。 パレスチナ過激派の爆弾犯、金融犯罪者、強盗犯、そして問題は殺されたナチ残党と、殺し屋・・・この辺どう解釈すれば良いだろう?ニーロはたぶんマフィアのリッチーに雇われた殺し屋だろう。機会を伺ってスキャンロンを殺そうと企んでいるから、爆弾運搬に参加するため、一つ空席を作るためマルケスを殺したのか?ちょっとリスクが高い。実際マルティネスにシオニストだと疑われてるし。じゃあ、たまたま他のナチハンターが殺したのか?それも考えにくいから、やはりニーロがマルケスを殺したんだろうな。 先進国の法律が届かない街に潜む犯罪者たち。多くは大金を手にして故郷に帰るため、この危険な任務に応募する。 自分の命を預けるトラックを選び、みんなで黙々と直す描写に引き込まれる。今のコンピュータ制御の車と違い、自分で直せる機械は楽しい。でもそのトラックが怖い。特にセレーノ達のトラックの顔。鉄で出来た怪物みたいで、原住民が作ったらしき石碑とオーバーラップする。 語られない人物も興味深い。殴られた痕がある花嫁。何があった?ドミンゲスの行く手を阻むインディオ、何が目的なんだ?老人の「ポサ・リカは死んだ」どういう意味?犬のような動物の死骸(上半身)を背負って運ぶ男。食べるの?血垂れてますけど? ハイライトのグラグラの吊橋、怪物のようなトラック、汚れきった街。人が作ったものなのに、これら全てのものも恐ろしい自然の産物のように見える。この映画を見て南米旅行に行きたいと思う人は少ないだろう。 最後はマフィアの仲間が直接スキャンロンを殺しにくる。魔術に引き寄せられるように自ら逃げ込んだこの街。ここから出ようとした者は、結局誰一人抜け出すことは出来なかった。
上映時間が短い公開版は未見。このオリジナル完全版は出だしからイスラエル、フランス、アメリカとあちこちに飛ぶため、初見時は戸惑ってしまう。もしかしたら公開版のほうがスッキリ観られる仕様で、こちらは二回目以降の鑑賞に適しているかもしれない。 1953年版とともに公開版も見てみたい。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-01-09 23:08:22) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 この映画を一言で表現するなら、「生」です。南米のギラギラというかヌラヌラした町のムード、不快指数MAXのジャングル、そして問答無用の緊張感が漂う吊り橋のシーン。全てが非加熱処理で迫ってきます。 CGが多用された現代の映画とは全てが真逆の質感で、とにかく何か凄いモノを見たという気分に浸れます。 個人的に好きなシーンはトラックのカスタマイズのシーンと、カスタマイズ完了後に逆光で暗闇にトラックのシルエットが浮かぶところ。今やベタな演出ですが、この映画あたりがルーツじゃないですかね? 人間関係についても、元々悪党ばかりのパーティというのもありますけど、どこまでも薄情なところとか、リアルだと実際こんな感じじゃないですかね?そういう意味でも「生」っぽいと思います。 【J.J.フォーラム】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-17 00:41:15) (良:1票) |
3.最高に面白かったです。フリードキン監督と言えば「エクソシスト」だと思っていましたが、この作品も「エクソシスト」と甲乙付け難い傑作だと思います。見ないで死んだらもったいない! 【wayfarer】さん [DVD(字幕)] 10点(2019-11-25 21:09:57) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 全編からにじみ出る迫力に圧倒された。死と常に隣り合わせながら、生に固執してひたすらジャングルを進む男たちの執念。不気味なまでの恐怖と凄みが伝わってくる。つり橋を渡るシーンは頭から離れず、CGのない生の映像に作り手の執念を感じる。 【カワウソの聞耳】さん [映画館(字幕)] 9点(2018-12-27 09:57:20) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 本編が勝手にぶった切られた方の分は未見。序盤は今からニトログリセリンを運ぶ映画とは思えない普通のアクションだったりドラマが展開されるのでこれほんとに「恐怖の報酬」なんだろうかと少し不安になったが役者がそろっていざこれからという展開になるとこの後どうなるのかというワクワク感と面白さがものすごかった。CGを使わずリアルを追求したウィリアム・フリードキンの徹底っぷりは見事なもんでオリジナルのクルーゾー版の方ではちょっとしたユルユル感があったけどこっちは一切なく怒涛の攻めでこんな映画が70年代に作られていたのかと思うとほんとに驚きで仕方がない。吊り橋にしろ巨木爆破にしろジャングルの中に密林にしろよく撮影できましたよね、これ。映画を作る執念が随所に見られますがこれを4Kデジタルリマスター化するために東奔西走したフリードキンの本気の執念はお見事。文句なしの今年最高の映画でした。 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 10点(2018-12-19 02:48:10) (良:1票) |