4.ネタバレ アルジェント魔女三部作での三人の母の設定も変わってるし原案を拝借しただけの別物なのでリメイクというより再構築版というところかな。宣伝の赤い紐の衣装を装着しワケのわからないポーズをとっていたお姉ちゃん達の写真を見たときはヤバい気配しか感じませんでしたがなかなか面白かったです。お姉ちゃん達は暗黒舞踏集団にしか見えなかったらまんまサバトのような儀式を行っていて、それを指導している先生達は古から活動していた魔女だった、と。その儀式に使う若い女性を生け贄に自らの延命をしていた老害ボス魔女マザー・マルコスと新たな道を模索している(見た目)中年魔女マダム・ブランとそれ与する連中が蔓延っている巣窟。そこにダンスのオーディションを受ける体でやってきていたのが実は強力な魔女であり三人の母の一人嘆きの母サスピリオルムの器になっていたスージー。彼女が悪さをしていた魔女たちを粛正するために単身乗り込んできて文字通り血祭りに上げるお話。 精神科に逃げ込む生け贄にされそうな生徒と学校の不審ぶりに気がつく精神科医からはじまり順序立ててしっかりと構成してあるし、終盤の見せ場ではスージーを生け贄とし器にするつもりだった老害魔女たちの慌てぶりや、その血祭りの後を掃除している絵面が面白かったけど、いかんせん152分は長すぎるかな。毎日豪快に笑い飲み食いしタバコを吹かし男を弄ぶなどパワフルに生きている魔女オババたちは悪く無いけど、情緒的なシーンやダンスがクドいのでそこらへんカットすればスピード感も出て見やすくなる気がする。 1977年のベルリンが舞台で日常的にテロが起こり目の前にはベルリンの壁とまだナチスやホロコーストの残り香を感じさせる作り。それに妻を追い求める心理学者のおじいちゃんや迫害された人々と消えていった魔女と重ね合わせていて興味深かったです。罪悪感にさいなまれたお爺ちゃんの記憶を消し慰め励ましたサスピリオルムは女神様のようだったな。彼女や粛正を免れた魔女たちはあの後どうなったんだろう。 しかし、一番驚いたのが精神科医のおじいちゃんを演じたルッツ・エバースドルフ。観るまでネタバレや宣伝記事なんかは見ないようにしていたので鑑賞後にニュースを読んでいてビックリしましたわ。上手いなと思っていたら特殊メイクを施したティルダ・スウィントンだったとね。まさに魔女。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 7点(2019-01-26 19:17:55) (良:2票) |
3.ネタバレ 東西冷戦中の分断されたベルリンを舞台に、閉鎖的な演劇学校内で繰り広げられる少女や女性教師たちの怪しげな交流を独自の映像で描いたサスペンス・ホラー。「決して一人では見ないでください」で有名なオリジナルは未見。うーん、なんかよー分からん映画でしたわ~。一つ言えるのは、ちょっと引っ張り過ぎちゃいますか、これ。お話としてはしごく単純なのに、それをこれでもかというくどい演出でトータル150分オーバーにしたのはさすがにやり過ぎですわ。まあそれでもクライマックスのおっぱい・内臓・鮮血のドバドバ出血大放出は、さすがに引っ張り倒しただけあってなかなか見応えありましたけれど。あのシーンと、紐みたいな露出度多めの衣装で女の子たちが踊るとこはいかにも淫靡でそこは良かったかな。あと、クロエちゃんも出てたんですね、これ。え、何処に?って感じでもう一度見返してみたら、冒頭のあのカウンセリングを受けてた女の子がそうなんですね。ほとんどアップにもならないし、おまけに髪の毛もぼさぼさで半分顔隠れてるし、こんなの分かるわけないですって(笑)。結論。もう少し短かったら、この独特の耽美的な世界観をもっと楽しめたかもしれないのにね。オリジナルは……、まあ機会があれば観てみます。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 5点(2019-07-19 18:31:34) (良:1票) |
2.ネタバレ 前作が大好きな人間の感想ですが、サスペリアというものを、美しくもおぞましいものをとことん突き詰めて描く(他は知らない)作品という認識で観ており、前作でそれは大体成し遂げられてしまってもうこれは覆しようがないな、というところにリメイク……再構成の作品を作っても生半可なものでは劣化コピーにしかならないであろうところで、
主人公を赤毛にする
というアイデアですべてを持っていく力技で、わりと面白く見られました。 少なくともインパクトだけで言えばこれ以上のものは今年はもう観られないかも、という感覚です。
最初の惨殺のエグい場面が、前作の痛いけど美しいものと比べると、グロくて吐きそうなのは、インパクトは素晴らしく、あまり目に慣れてないモダンバレエとおどろおどろしい現代音楽風音楽で描くのもアイデアとして悪くはないと思い、最後のクライマックスでどこまで見るもおぞましい耐え難いものが現れるのかとワクワクした。
しかし終わってみると一番インパクトがあって恐ろしかったのは最初のあの場面だったというので、ちょっと肩透かしを食らわせられてしまいました。最後はあの何倍ものすごいものを見せていただきたかった。
ただ、現代芸術的なものをおぞましい恐ろしいものの象徴として使うセンスが100年前くらいのすごい古めかしいカビの生えたようなセンスで安直ではないか、というのがあってそこは何とかならんものか、というのと、あと魔女集団が成立する説得力として、第2次大戦~1970年代くらいの時代背景を持ってくるのは、悪くないと思うんですけど、見せ方のバランスに問題があってそれが上映時間の長さに直結してしまっており、前作と同じく90分程度にまとめられなかったものかと。デビット・リンチのおどろおどろしい系でも同じような時代背景っぽいものを匂わせることがあって好きなんですけど、そういうのはチラッと見せて、マニアが調べてみたら実はしっかりとした考証があった……とかいう程度のバランスが良いかと思いますが、本作では見せすぎかなあという印象でした。
エンドが前作と反転してることについては、主人公が赤毛になった時点でもう納得なので個人的に全然OKで、そっちを行くならスージーとマダム・ブランの絡みをもっとやってよ! という物足りなさはありました。
そんな感じです。 【sim】さん [映画館(字幕)] 7点(2019-02-09 14:45:35) (良:1票) |
1.私が「サスペリア」のオリジナルを見たのは子供の頃TVで。母親が「何これ?全然おもろない」と毒づいたのだけは覚えている。当時まだホラーファンでもなかった私は何の反論もしなかった。その私が覚えていたのも天井からウジが落ちて来たぐらい。と言う事で、本作を見るに当たって事前の印象は最悪に近かったが、結果は全く違う物だった。そこだけは良かった。 が、2時間半も前衛芸術を見せられてはたまらない。ホラーの基本は90分。1時間削ればだいぶ印象も変わっただろう。クロエもさっぱり出てきてない。とにかく長かったが感想でした。 【ぴのづか】さん [映画館(字幕)] 4点(2019-01-27 21:34:54) (良:1票) |