6.《ネタバレ》 政界を扱った三谷幸喜作品と言えば、視聴率が振るわなかったTVドラマ『総理と呼ばないで』が思い出されます。三谷氏にとって鬼門とも言える題材への再挑戦は立派じゃないですか。とはいえ評価は是々非々ですけれども。さて、タイトルの元ネタと言えば、ご存じ『ロッキード事件』。以後、政治家の常套句として定着した言い逃れフレーズであります。また、首相のモデルはおしゃれ帽子がトレードマークのあの人でしょう。一応『架空の国』との注釈付きですが、現実からの引用が多々見られ、本来は風刺映画の体裁です。ところが皮肉批判は鳴りを潜め、総じて毒気は薄く、寓話としての色合いが濃い仕立てでありました。クライマックスは、首相と奥様の復縁話。もう政治と関係ありません。あくまで娯楽作品。過度な刺激は必要ないという事でしょう。ここからネタバレ。首相の記憶はいつ戻っていたのか問題。「あっ、ここで記憶が戻ったな」という演出は施されず、『実は記憶が戻っていた』という首相の告白のみで、漠然と処理されます。いつ記憶が戻ったのか、気になりますよね。でも、ここにメッセージが込められていると考えます。『人生をやり直すのは、何時だって構わない』ということ。偽りの記憶喪失を演じられるクソ度胸があれば、そりゃ何だって出来るでしょうよ。でも普通の人には無理な話。この一点からも、主人公は単なる傀儡ではなく、傑物である事が分ります。でもそれなら、それまでの愚者ぶりの説明が付かないワケで、頭に石が当たった事で『我に返った』と見立てるのが正しい気がします。悪いことをしたら謝る。間違ったらやり直す。子どもの頃教えられてきた常識が、大人の世界では非常識に変わるように、主人公も政界に毒されて本来の自分を失っていたものと考えます。あな恐ろしや。でもこれが一般的に『大人になること』だったりします。キャラクター造形の面白さや会話劇を楽しむ三谷監督お得意の王道喜劇。気楽に観られる大衆娯楽映画として、価値は充分と考えます。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-05 19:28:12) (良:4票) |
5.《ネタバレ》 三谷幸喜監督の前作「ギャラクシー街道」がアレだったので、どうかなと思いながら期待せずに見たのだが、確かに「ギャラクシー街道」に比べればじゅうぶんに面白かったものの、三谷監督の作品としてはキレや捻りがなく、普通に楽しめるといったところで、安心して見られる分、そこが逆に物足りなかったところでもある。また、ところどころ唐突に感じる展開もあり、もっと前振りや伏線をしっかりしてほしかった部分もあったのは事実で、もう少しなんとかすれば面白くなったのではと思うし、官房長官(草刈正雄)を失脚させるエピソードが終わってこちらの気持ちが切れてしまったのか、その後の不倫の後始末的なエピソードが長く感じてしまい、はっきり言ってどうでもよくなってしまい、この部分は無くてもよかったような気がした。出演している俳優陣は脇役陣ではやっぱり「真田丸」に出ていた面々が多い気がするが、「真田丸」でナレーションを担当していた有働由美子が演じるニュースキャスターの毒舌ぶりが印象に残る。木村佳乃の大統領は少しわざとらしすぎるが、その通訳を演じるのが宮澤エマというところは、実際の総理大臣の孫である彼女を総理の家族などではない役で使っているのがあざとさが感じられなくて〇。でも、やっぱり、出演者の中でいちばんハマっていたのは既に書かれている方もおられるように事務秘書官を演じている小池栄子だろう。ところで、「総理と呼ばないで」はまだ見ていないのだが、ちょっと見てみようかな。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2022-01-24 19:15:04) (良:1票) |
4.まず上映時間が長いもう少し短い時間でしゃれた映画に出来たのじゃないか 佐藤浩市は首相ではなくこういう役がやりたかったのでしょうね 小池栄子はこういう役はうまいですな 【草のつるぎ】さん [地上波(邦画)] 5点(2021-01-27 21:04:20) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 実は記憶が物語途中で回復していた、っていう重要事項をネタバレした状態での視聴であったにも関わらず、こんなにいい気分にしてもらってありがたかったですよ。道具立て(職業が総理大臣)が派手だから、なんかこう、ダイナミックな展開を期待しそうなんですけど、単にひとりの男の再生の物語としてみれば、こんなにさわやかな話はないですよ。キレイゴトすぎるんでしょうけど、もはやそのキレイゴトが本当に好ましいです。あの仲良し首相夫婦も観ればいいのになあ。【追記】三谷幸喜氏は見せ方がうまい。理解力が落ちてきたワタシにも、ホントにストレスなく、するすると視聴できたのも高ポイント。玄人にはカミゴタエがないのかもしれませんが。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-05-06 21:18:03) (良:1票) |
2.はっきり言って、このレビュー数の少なさがコケ具合を表している。前回の「ギャラクシー街道」が「完全意味不明金返せ映画」である意味振り切れていたので、逆に伝説(デビルマンくらいの)になっている感じはあるが、そこにきてこれである。 もうそろそろ本物の三谷映画が観れる!とウズウズと痺れを切らしていた私のような往年の三谷ファンのハードルは完全に上がっていた。そこを超えるにはもう、笑いではなく、圧倒的な複雑に絡み合う人間群像、そして完全回収からの読めないオチ。これが高次元で映画として完成された「ラヂオの時間」くらいのクオリティのものでなければ満足できないだろう。 まあ、そこまで言わなくても、近年でいうと「ステキな金縛り」くらいのものを期待していたに違いない。 そして、、、蓋を開けてみればこれである。 全然、笑えないのである。 私が変わったのか?「この笑い」を笑えない私が悪いのだろうか? なんども自問しながら映画を見ていた。。。 あぁ。。。これはもう三谷は終わったのだ。。。最終的にはそう結論するしかなかった。非常に残念だ。 もちろん会場には小笑いは起きてたし、一緒に行った連れは面白かったと言っていた。 しかし、違うんだ。これは三谷映画の真髄なんかにはほど遠いんだよ。もっと面白いんだよ。もっと映画的で、もっとドラマティックで、もっと知的で、ウィットに富んで、、、そんな三谷が観たかったんだよ。彼の作品がホントに好きだからこそ。。。 |
1.《ネタバレ》 荒唐無稽な設定は舞台演劇ならまだ許されるが、映画においては流れる映像にはリアリティとか必然性とか辻褄とかが要ると思う。 この映画はそういったっものに関する配慮が全くなく、それならそれなりに面白いならばいいのだが、はっきりいってイマイチ。 このような脚本が面白い、うけると考えたのだろうが、私が老いたせいなのか、もはや私にはそれに対する感受性はない。 三谷幸喜だからと見たが、今後は期待できない。 【小鮒】さん [映画館(邦画)] 4点(2019-09-29 00:05:37) (良:1票) |