5.《ネタバレ》 パラサイト-寄生。なんかこの言葉から連想する厭らしい「したたかさ」や「ジメっとした感覚」そんなちょっとした「怖いもの見たさ」を満足させてくれる映画を期待していった訳ですよ。「庇を貸して母屋を取られる」的なジワジワした怖さをね… でもごめんなさい、全然違っていましたね。 前半の金持ち一家への侵入は、多分コメディーパートなのでしょうか、正直あまり面白くなかったです。金持ち一家に入り込んで寄生する過程がもっと綿密で絶妙なものを期待していたのに、胸をすくような詐欺手口とは全く別物。あの社長一家はみんなしてチョロすぎでしょう。家庭教師はともかく、自分の命を預ける運転手や食事を任せる家政婦の選定にこの杜撰さはちょっと…。そんな有り得無さがのほうが気になってしまい、ほとんど笑えませんでした。 でも後半の計画が破綻し始めるあたりから怒涛のスプラッターな展開、こうなってようやく持ち直してきた感はありました。「匂い」の使い方なんかはとても印象的で良かった。でも前半のがっかり感を挽回できるような、うならせる展開には残念ながら至らなかったようです。
全体をとおして思い返してみれば、格差社会批判としても詐欺モノとしてもコメディーとしても微妙な感じの仕上がりだと思うのですが、なぜこんなに話題作とされているのか…2019年は映画不作の年だったってことですか? ひょっとしたら、「初のアジア発作品賞」とか「定説を覆した四冠達成」っていう話題性を作り上げないといけないほど、アカデミー賞自体が行き詰まっているってことなのかもしれませんね…… 【ぞふぃ】さん [映画館(字幕)] 4点(2020-02-12 12:10:01) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 いや、面白いよ。面白いんだけど。映画のハラハラ感やスリル、映像はきれいで完璧だとおもいました。奥様が美しすぎて、心底みとれました。ただね。胸糞悪すぎる。社長たちだって遊んでるわけじゃない、努力して仕事してるわけじゃないですか。それをあんなふうに逆恨みされてもねえ。半地下家族に魅力がなさすぎて、感情移入ができないのはもちろん、嫌悪感さえ芽生えた。 トラウマ抱えていたあの男の子はどうなんのよ。ちょっとあほな美人奥様は?ほんとうにあの運転手やってた父親には嫌悪しかありません。一丁前にモールス信号で手紙とか書くなよ。人殺しは人殺しです。しかも、雇ってもらってたくせに。この映画って、犯罪者に感情移入するべきなのか、ああいう人たちはやばい思考になってるよっていう注意喚起なのか、どちらなのかね。とりあえず怒りを感じました。半地下に住んでるのはお前のせいやん(運転手)みんな五体満足なんだからまじめに働きなさいよ。兄妹は美人だしイケメンだし頑張りなさいよ。奥さんは元オリンピック 選手ならあの人は今てきな番組にでもでてプライド捨てて稼ぎなさいよ。結局他人に寄生するばかりで自分でどうにかしようとしない。あと、ラストで息子がふつーに金持ちなって自宅買うみたいな妄想いりません。最後までパラサイトしてください。 【ギニュー隊長★】さん [映画館(字幕)] 6点(2020-01-22 23:39:40) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 たぶんスラップスティックコメディなんだと思いますが、笑えない。くすぐりどころはわかるんだけど、笑っていいのかわからない感じ。庭での誕生日のシーンも、あそこにとんでもないものをぶつけたくなる気持ちは分かるが、予定調和でもある。ただ、終幕近く。通常届くとは思えないメッセージを息子に託す父と、息子の決意。こんなとんでもない家族はきっと仲間割れするか、実は擬似家族なんだろうと思いながら見てましたが、最後まで揺るぎなく崩れない家族の信頼関係。そこが物語の核だとは思いませんが、ああ、いいなと思いました。 【なたね】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-20 16:20:45) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 "臭いの視覚化"。 これが上流と下流の分断を象徴する。
いくら賢くて努力をして、金持ち一家に取り入ったとしても、永遠に彼らとの距離が縮まることがない。 身なりを整えても洗い落せない臭いが、存在しない"地下の住人"が加わって浮上し、寄生一家の計画は破綻していく。 地上と半地下、そして中盤からの地下を含め、3つの家族が3つの階層で構成されるが、 高台の家族からしたら、下の存在には無関心も同然。 悪意はないにしろ、レトルトのジャージャー麺でさえ作らせるくせに 高台から下へ流れていくスラムの大雨被害なんてどうでも良いのだ。
災害も被災者もいなかったことにされるパーティーで貶められた者たちによるサイコホラーさながらの惨劇。 計画を成功させるには役に徹し切るしかないが、生きていくことで手一杯な寄生一家の父親には、 理想だったはずの世界における妬みに思考が耐えられなかったのだろう。
自ら地下に堕ちた彼を、息子は救い出す計画を立てる。 希望であり、明るい未来として挑む正攻法ではどう足掻いても打ち砕かれる余裕のなさと諦観が雪と共に埋もれていく。 こうならないためにさらに高い壁を築いてAIでも雇って排除するのか。 もはや自分達が良ければそれでいい、見返りのない面倒臭いことをする意味の無さが、 無意識に蔓延していく恐怖をポン・ジュノは警告する。
【6/12追記】モノクロ版鑑賞。 白黒の鮮明なコントラストで、持つ者と持たざる者の格差を際立たせ、醒めない悪夢をより強調させていた。 色彩による情報が排され物語への没入感が深くなり、カラー版に比べてスッキリ見易くなった印象。 なのに色が見えてくるのだから不思議。 同じ映画なのに、別の映画を見ているような貴重な体験だった。 【Cinecdocke】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-01-13 21:17:05) (良:1票) |
1.(観終わってしばし、放心状態)
これは…ポン・ジュノによるポン・ジュノ好きの為のポン・ジュノ度満点の映画だ!(意味不明)
底辺の人々を描きながら、現代社会に対する風刺を交えたシニカルな笑い。その辺はいつものポン・ジュノ作品に通じるテーマ性と言える。
ただ、今作品が突き抜けているのは、とにかく全てにおいて洗練されている事。 道以外の殆どをセット組んで撮影したと言うが、舞台設定からしてとても細部まで作り込まれていると感じた。 脚本も無駄がなく伏線の張り方も巧くて全く飽きさせない。
とにかく、ひたすら笑えて、怖くて、先が読めなくて、楽しい。 これぞまさに映画。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-01-10 20:14:18) (良:1票) |