5.《ネタバレ》 情熱的な恋の果てに結ばれたはずの夫婦が迎えた離婚の危機を、ほろ苦いユーモアを交えて描いたヒューマン・ドラマ。監督は僕とはどうにも相性のよくないノア・バームバックだったのだけど、アダム・ドライバー&スカーレット・ヨハンソンという今ノリにノッてる人気俳優が豪華共演ということで今回鑑賞してみました。先に結論を述べさせてもらうと、やはり今回も僕の好みとはどうにも合わなかったですね。確かに、全編に散りばめられたユーモアはどれもセンスがあって大変良いし、ときおり見せる機智と警句に富んだセリフにもハッとさせられるし(特に、キリスト教圏の女性は常に聖母マリアと比べられるというセリフには唸らされました)、役者陣のナチュラルな演技も素晴らしいしで、完成度はむちゃくちゃ高いのは僕も認めるところなんですけども。離婚どころか一度も結婚すらしたことのない自分としては、この離婚あるあるにいまいち嵌まれなかったのも要因の一つかな。まあでも最終的には、好みの問題。僕は本作のいい観客にはなれなかったようです。 【かたゆき】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-11-24 00:30:59) (良:1票) |
4.「いやあ、ちょっと、ぐうの音も出ない。」
と、鑑賞直後に呟いてから一週間が経とうとしているが、その後も紡ぐべき言葉が中々出てこなかった。 “ブラック・ウィドウ”と“カイロ・レン”の「リアル」なバトルを目の当たりにして、只々身につまされ、ひたすらに打ちのめされた感覚のまま、数日間、思考が止まっている。
もう軽く受け流して、目を背けたい気持ちでいっぱいだけれど、なんとか“鑑みてみよう”と思う。
主人公夫婦と、僕たち夫婦の境遇はとても良く似ている。 結婚して10年、共に働き、長子は8歳。(そして、妻はダンスが上手く、腕っぷしが強い。)
どうにかこうにか今のところ「離婚」というプロセスは辿ってはいないけれど、喧嘩はしょっちゅうするし、甲斐性のない僕に対する妻の不満の蓄積は認めざるを得ない。
勿論、僕は妻を愛しているし、たぶん…、おそらく…、願わくば…、彼女もそうであることは変わりないと思うけれど、だからと言って、最初の「約束」通りに、連れ添い続けることが「絶対」ではない。 ある意味ひどく“曖昧”で、とても“脆い”関係性が「夫婦」というものだろう。
この映画の「夫婦」にしたって、最後の最後まで、互いに思い合い、愛していることは明らかだ。 それでも、ささいなすれ違いは極限まで広がり続け、「離婚」という選択を避けられなくなっている。 滑稽で、愚かしくもあるけれど、それはあまりにも普遍的な悲哀だろう。 世界中の何千、何万、何億という夫婦が、まったく同じようなプロセスを日々歩んでいる。
描き出される“ストーリー”が、現実世界でありふれているからこそ、「夫婦」というものの当事者である僕たちは、胸が痛くて痛くてたまらなくなる。
そして、「夫婦」として連れ添い続ける以上、その不安や恐れは、ずうっと無くなったりせず、この道の真ん中に常に在り続けるのだ。
そのことを考えると、まあ面倒であり、心細くもあるけれど、同時にエキサイティングでもあるし、そういった諸々の感情を含めて、豊かで芳醇な人生というものなのだろうとも思える。
兎にも角にも本作は、「アベンジャーズ」や「スター・ウォーズ」とは全く別のベクトルではあるが、同等、いやそれ以上に圧倒的な“バトル映画”であった。
スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーによる、“怒り”と“悲しみ”と“愛”に満ちた感情の応酬の様は、白眉の名シーンであり、同じように“夫婦喧嘩”で感情をむき出しにしてしまった経験が少しでもある人であれば、グッサリと大きな棘が胸に突き刺さることであろう。
果たして、どこまで続いているのか分からないけれど、僕は僕で、このストーリーが紡ぐ道をこれからも歩んでみようと思う。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 9点(2020-02-09 00:50:58) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 お互いに良い部分は知っている。尊敬し合ってもいる。でも所詮は赤の他人。自分の真に求めているもの欲しさに、男女の価値観からくる歪みの中で最善策を模索していく元夫婦。表面的に言いたいことが分かっても、元を含む夫婦でないとなかなか共感し難い内容になっている。罵詈雑言で対立しながらもどこか心の底では嫌いになれない夫婦を余所に、勝つためなら手段を選ばない傲慢弁護士による闘争がなんて滑稽なことか。親の身勝手に振り回される子供が可哀想とも言える。しかし結婚という形だけが全てではなく、矛盾しながらも前に歩んでいこうとする二人に、形に囚われない絆が、愛情が感じられる。それは、離婚も少なくないが決して道筋が一つではないアメリカの多様性、成熟ぶりが物語っている。主演二人の演技合戦に白眉。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-01-01 01:16:27) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 人間関係の中でもとりわけ男女の関係にはアンビバレントなものが生じ易く、それを法律で何とか白黒つけまっせという離婚調停という代物は、極めて構造的で深刻な矛盾を孕んでいる様に思う。名作『クレイマー、クレイマー』に大分似通った状況設定だが(男親が後手を踏んで慌て出すのもソックリ)、本作のコンセプトはその離婚調停の顛末を描くことと言うよりは、この状況が露にするアンビバレントで複雑な男女2人の関係性を描くことにあるように思う。
演出面でも、随所で明確かつ絶妙にコミカルながら、シリアス有り、ペーソス有り、更にハートフルまで有りな、混ざった味が色々と美味しい映画だったと言える。その意味で圧巻だったのは中盤の壮絶な口論のシーン。真っ赤な鬼の形相で泣きながら喚き合う様は、極めてスリリングながらもどこか実に滑稽でもあり、そして最後には心の底から哀しかった。主演二人の演技は文句無しに出色(特にアダム・ドライバー)。加えて、終始イラっとさせるローラ・ダーンも素晴らしい出来だった。オススメ。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 8点(2019-12-30 18:30:43) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 登録する際に役名に「(弁護士)」と書くべきかまだ迷ってしまいます、これってネタバレになりますか? ◆さて、この作品の主演二人がすばらしかった。圧巻の演技でした、引き込まれてしまいます。演技を語れるほどのものではないのですが、こういうのを「役者」というんでしょうね。二人とも円熟味を帯びてきていますね。そして訴訟社会のアメリカの怖さをみてしまいました。愛情と憎悪って紙一重のところで簡単に変わってしまうんだな 【HRM36】さん [インターネット(字幕)] 8点(2019-12-24 22:46:17) (良:1票) |