11. 1968年時点でモノクロってのは多分に低予算ゆえのコトかと思われるが、それが制作スタッフの想像を遙かに凌駕して秀逸な効果を生んでいる。1978年版「ゾンビ」との最大の違いは正にココにあると思う。カニバリズムの不快さに絶妙なフィルタ-がかけられ、何とも言えない不気味なムードを醸成する結果となっている。ゾンビたちの特殊メイクの稚拙さをボカす意味合いからも「正解」と言わざるをえまい。何がどうなってゾンビが蔓延るようになったのかは相変わらずサッパリ分からないが、兎に角、各地で一斉にゾンビが活動を始めたのだ!!と主人公たちと同様に無理矢理ナットクするしかないのも彼らに感情移入させる動機付けとなっており、78年版などより余程優れていると思う。無名の俳優ばかりなのも、この手の映画の場合には大正解。ココで見慣れたスターなんか出てきた日には「ああ、コイツが主役で生き残るんだな。」と後の展開がバレバレになり、激しく興醒めするコト間違いナシ!!どいつもこいつも全然馴染みが無い顔ばっかりなんで先の読めない緊張感・テンションが維持され続けていた。加えて立て籠もるのがごく普通の館というのも良かった。78年版のスーパーマーケットは長期の立て籠もりを考慮すれば「正解」なのかもしれんが、”ホラー”の雰囲気ブチ壊しだった。ラストの後味悪さもこういうジャンル映画では全くオッケー!!ていうか、アレ位やらんと作品のインパクトが弱くなったかもしれない。78年版は酷評してしまったが、イヤ本作は歴史的意義だけでは無い面白さがあって、以後幾多の類似品(ロメロ自身の作品も含む)を生み出すオリジナルとしての風格すら漂っている。恐らくロメロ監督のベストワークだろう。素直に敬意を表して…8点。 【へちょちょ】さん 8点(2003-03-06 00:48:23) (良:4票) |
10.この映画を観て、ロメロのゾンビ映画で気がついた共通点が2つ。①黒人を勇猛果敢に描いている。②女性は守ってあげるべき存在。①について、この映画ができた1968年はちょうど、公民権と非暴力主義を訴え続けてきたキング牧師が夢半ば暗殺された年です。襲ってくるゾンビもほとんどが白人。裏切る男も白人。ラストで○○する人間も白人。この映画に関して、本当の恐怖は”人間”なんですが、僕には白人と黒人の差別問題も提起しているような気がしました。白人も黒人もみな同じ命、死にたくないのだと考えれば、映像をわざわざモノクロにした理由もなんとなく納得します。②について、バーバラがまったくの役立たずですが、兄思いの妹です。他にも冷静な判断の出来ない夫をみかねて娘を守る母、ゾンビを省みず恋人を追いかける女の子もいます。か弱いけど男にとっては女性は精神的にも必要な存在であるということを伝えようとしている。以降のゾンビ映画でも男が女を守ってやらねばならないという描写が、目立たないけど結構ある。そういう意味ではこの映画にはテーマがいっぱい詰まってる。当のロメロ自身は怖い映画を撮りたかっただけなのかもしれないんでしょうけど。映画で大事な事、”観た人間がどう思うか”ってことですね。ところでゾンビの中に一人、しましまパンツ1丁のオヤジがいました。彼はゾンビになる直前、一体ナニをしてたんでしょうか? 非常に気になる…。 【どんぶり侍・剣道5級】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-16 22:10:09) (良:2票) |
9.言わずと知れた傑作。ゾンビの基本、そして誕生がここにあります。他の仕事をしながら、週末だけでこれだけの傑作を作ったロメロは凄いです。お金じゃなく、熱意があれば面白い映画、名作が出来るという良い見本です。 【カズゥー柔術】さん 9点(2003-09-04 18:33:05) (良:2票) |
8.超低予算ということもあって編集面に粗が目立つものの、それを利点と取るか欠点と取るかは観る人の感性次第。話は本当によくできてる。画かれているのはたった一夜の出来事。オープニングからエンディングまでの時間経過を換算しても恐らく24時間にも満たない(あるいは、その半分以下かも)。なのにここまで深い。そんな短い時間経過でよくここまで人間ドラマを組み立てたもんだ。アッパレ!!また自分が特に関心したのは、バーバラが最初のゾンビに追われてから、ベンに始めて話し掛けるまでの間、彼女は一言も喋らない。下手な監督だと観客に登場人物の心境を伝えようと何か独り言でも喋らせるんだけど、ロメロはそんな無駄な事はしなかった。これは無言の訴え。あの時の彼女にはせいぜい悲鳴を上げる程度の事しかできなかったんだと思う。ホラー映画史上最高の演出と言っても間違いではないはず。 【梅田山津】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-01-03 13:15:20) (良:1票) |
7.真昼間に観たのに怖い! ホラーには慣れてるはずなのに……甘く見ていました。さすがは名作。モノクロの効果って凄いんですね。家の前で蠢いているゾンビの映像だけで、他のゾンビものでは感じたことのないような恐怖を覚えました。この暗闇と、息の詰まるような閉塞感は何か根源的な恐怖に訴えるものがあります。 『ドーン・オブ・ザ・デッド』なんかはサバイバル・ゲームって感じで、怖いよりも面白い。けれど、これはとにかく怖い。生き残る希望は皆無で、蟻地獄にはまってしまった蟻の気持ちがわかったような気がします。いくらもがいても、死ぬしかないという絶望感があるんです。 【no one】さん 8点(2005-03-11 16:17:59) (良:1票) |
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6.一通り後の作品を観てしまった後で観ることになったので、どうかな?とちょっとコワかったんですけど、いえいえどうして。ほとんどこれ一本で生きて行く羽目になったジョージ・A・ロメロの熱い情熱ほとばしる傑作だったと思います。やはり予算のない中での手作り感覚を多少身贔屓的に許してしまえるのは仕方のないことだと思うのですが、様々な悪条件をクリアしてこの水準を達成できることは素晴らしいと思いますし、インディーズ作品ならではの質の高さ、作り手の思い入れの高さが素直に伺われる良い作品だと思います。後に作られる一連のゾンビ物に比べるとやはりスケール感もミニマムだし大きな仕掛けはありません。ただロメロのルーツとも言える昔のホラー映画、「フランケンシュタイン」とか「ドラキュラ」等のゴシックホラー感覚は最も強く現れていると感じます。このホラー映画に対するひたむきな愛、そして彼の生み出した「ゾンビ」という新しいモンスターへのこだわりの記念すべき第一歩として、少しもその名に恥じることのない作品だと思います。やはり市井の一映画ファンとして、作り手がどこまで映画を愛してくれているかは重要な共鳴ポイントとなると思いますので、私はこれ、観て良かったと素直に思いました。ジョージ・A・ロメロは素敵です。 【anemone】さん 8点(2004-08-29 22:56:49) (良:1票) |
5.文句つけろと言われてもどこにもつけようがないほどの傑作です。ゾンビの生態がこの一本ですでに完成されていること、それだけでもスゴイことなのに、さらにつっこんで人間の業までテーマにしていること、密室サスペンスとして完全無欠の完成度であること。ホラー映画としては今のところ最高の傑作でしょう。低予算であることもかえっておどろおどろしい雰囲気に貢献しており、傑作であることを運命付けられたような映画です。そんな傑作なんですけど、DVDで30周年版を見ると、そのあまりのヒドさに愕然としました。新撮部分がまったくの意味不明で、しかもいらん音楽までつけられてる始末。何がしたくて作ったバージョンなのかがサッパリわかりませんでした。とはいえ、このバージョンには日本語吹き替えがついており、やっぱり捨てがたいDVD。オリジナル版に吹き替えつけてくれれば完璧なんですけどね。 【ザ・チャンバラ】さん 9点(2004-08-19 01:04:14) (良:1票) |
4.リビングデッドトリロジーではやっぱりこれが一番好き。つーか面白すぎ。後追いのB級ゾンビ物やらスプラッタ物とは比較するのも失礼。外見だけでなく中身があってこそ「映画」であるのだと確信できますね。極限状態でこそ見えてくる人間の本性!ゾンビなどより人間の方がよっぽどバケモノなのだと言う事ですね。こういう作品こそ本物の名作と言うのです |
3.いつでもどこでも何度でも言わせていただきますが、私は、一軒家に閉じこもって攻防戦を繰り広げるこの手の映画が大好きなのです。しかも全編これ攻防戦。最高。で、とてもコワイ。恐怖を日常の延長に設定するのが恐怖映画の常ですが、この映画は、日常のネガポジが突然反転してしまったような、異様な怖さに裏打ちされてます。 【鱗歌】さん 9点(2003-06-08 01:44:57) (良:1票) |
2.言わずと知れたロメロのアヌビス3部作の序章にして、ホラーの古典的名作。残虐表現などは他のゾンビモノよりも控えめで、画像もモノクロだけど、それが逆に物語の視点をゾンビにではなく、錯乱状態になった人間同士のやり取りに向けられていてとても良い。予算や技術の関係もあるが、派手なCGや音響効果が使えない分、話の内容や演技で勝負したあたり、今の監督陣も見習ってもらいたいものである |
1.本編もコワかったけど、予告編の「ナイト・・・オブ・ザ・リビング・デーッド」のあの言い方が怖いッ! と、ツレの間で大流行りした。 【アンドロ氏】さん 7点(2002-12-17 21:59:27) (笑:1票) |