14.2人は限られた時間の中でウィーンの街を語り歩く。限られた時間だと知っているから会話の一言一言がとても深く、意味のある言葉になり、その言葉一つ一つを大切にしようとする。限られた時間の中だからこそ、どんな場所でも美しく鮮やかになり、そして記憶の中に鮮明に残り続ける。限られた時間だからこそ相手の事をより知りたいと願い、より相手の事を思い遣る事が出来る。もし、2人がこの先も一緒に居続けてしまったら、あの会話も、あの場所も、あのワインも、全てが記憶から遠退いてしまう。限りある時間と言うのはそれだけ強く根を張り、美しく鮮明に残る。だが、愛しさは時を重ねるに連れて膨らんで行く。しかしその膨らむ感情はとても辛く、苦しい物。2人のあの一日にも満たないたった14時間の出会いを、時間だけで考えてしまえば本当に短か過ぎるかもしれない。だけど、記憶には永遠に残り続ける。それこそが本物の永遠の愛の形なのかもしれない。 【ボビー】さん 8点(2005-03-14 18:35:36) (良:1票) |
《改行表示》 13.《ネタバレ》 非常に上手いなと唸らされる映画。 出会いから別れまでを1日程度で無理なく描けている点が見事だ。 国籍も違う見知らぬ旅人同士が、二人にとって見知らぬ地ウィーンで、徐々に惹かれあう過程(視聴室での二人、観覧車の二人は見事)、本音をぶつけあう姿(ピンボールを交互にプレイする二人、親友への擬似電話を掛ける二人は見事)、そして別れをじっくりと堪能できる。彼らの約束と別れたあとの二人の表情が余韻を引きずる。花火のようにパッと燃え上がった恋が、一瞬で静まり返って、お互いが冷静に振り返るいくばくかの時間と二人が過ごした場所が静かに映し出される点がとても印象的だ。 恐らくジェシーはこのままアメリカに帰ってもこの出会いを引きずるだろうと思われる(一度スペインとの遠距離恋愛で失敗しているのに、再び失敗を繰り返すのが男の悪くもあり、良いところだ)。 一方、セリーヌも最初は渋い表情をしているが、徐々に笑顔を取り戻している。彼女の中で、別れの苦しみというよりも美しい思い出として記憶されたのではないか。やはり、女性の方が切り替えはかなり早いようだ。 また、この二人が再開するかどうかの余地が残されている点はたいへん面白い。鑑賞者の恋愛感によって、又は性別によって、二人が再開するかの考え方は異なるだろう。続編を無視して、自分の目線で判断すると、男はまた必死に旅費を貯めて、半年後ウィーンに戻ってくるだろうなと思われる。女はどうだろうか、一概に判断はつかない。恐らく直前まで悩むのではないか。戻ってくるかもしれないし、戻らないかもしれないという女性ならではの不可思議さが描かれていると思う。 さらに、男と女が対比的に描かれている点も面白い。男はやはり子どもっぽさがあるし、ヤリたがる。また、見栄を張ったり、つまらないことに腹を立てる一方で、とても現実的な点がある(ミルクセーキの「詩」は最初からできていたのではないかと夢のないことを言ったりもする)。 女は幸せな環境に育ったとしても、何かに怯え、どこか満たされない想いを抱え、その不安をなんとか埋めたい、人生を実りあるものにしたいとと願っている。やはり、現実的な考えよりも、ロマンティックな考えを優先している。 考え方や性格も異なる二人だけれども、惹かれあわずにいられない男と女の関係の不可思議さを感じられる素晴らしい作品だ。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-02-21 01:23:10) (良:1票) |
《改行表示》 12.「So. You know what」 「What?」。些細な言葉のやり取りの繰り返しで、男女の仲は、ゆっくりと深まってゆく。 【永遠】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-02-17 20:45:26) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 電車の中で初めて対面した相手と意気投合していきなり一晩デートする、なんて、一言でまとめたらものすごく陳腐だし、よほど一時的に盲目にならないと本来はできないはずなのだが、この2人は、あくまでも理知的に理性的にことを進めているのが素晴らしすぎる。しかも、この2人がそれに及ぶ経過が実に自然かつ必然的であって、キャラクターの作り込みの丁寧さを実感させる。一夜のデートの過程も、あえて風光明媚な場所を避け、トラムの中、普通のカフェ、道端、公園というような場所を選んでいるのだが、どの地点の選択も実にストーリーにぴったりはまっている。単純でありながら無限の解釈を可能にするラストも素晴らしい。そして、2人が別れた後に、それまで通ってきた場所の「朝の光景」を映し出すシークエンスは、胸に突き上げるとてつもない説得力をもって迫ってくる。恋愛初期の男女の接近という場面を舞台に、人の心理の細やかな動きを徹底的に描写しきった傑作。なお、ダブル・ミーニングを含む邦題も秀逸だと思う。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 9点(2004-12-26 04:31:05) (良:1票) |
10.かなりこっぱずかしい映画です。まるで仲良しの友達の恋愛を覗き見しているような。自分の過去を振り返るかのような……。すごいリアリズム(笑)。そりゃあコレと同じってわけではありませんが、若い頃(とくに学生時代)に旅に出るとあるんですよねぇ。あんなこんなのトキメキが。初対面だからこそ、普段友達とはまず話さないような、いろんなことを語り合える。口がまわりはじめると「あれ?こんなこと思っていたっけ?」っていうような、そんな見果てぬ夢まで語っちゃったりするもんだから、旅先ってのはオソロシイ。ちょっとだけ背伸びして、わかったよーな口きいて、そして相手の話にも心を寄り添わせて話を聞いてはフンフンと頷く。いろんな人に影響されて、急激に世界観が広がったよーな気がする。たとえ現実は、同じ世界の中をぐるぐる廻っているだけにしても新しい発見をしたよーな気分になる。多くはそのまま「一期一会」で分かれ、恋愛したって感覚もなくいい思い出になってしまっているものなのですが。いやぁーー、恥ずかしい……(笑)。 【元みかん】さん 7点(2004-12-25 15:18:12) (笑:1票) |
9.吊り橋の上などの不安定な場所で異性と出会うと、人間はその不安定感と高揚感を恋愛感情と錯覚する、という実験結果がある。揺れる車内で異性と出会い会話していると、何かしら高ぶって来るのかも知れない。そういう旅の高揚感をちょっと恋愛感情と錯覚したところも絶対あるはず。お互い国に帰った頃には随分醒めていると思う(笑)。でもそれゆえに何だかリアリティと庶民性がある。その場に居合わせたような臨場感を終始楽しめた。 【ひのと】さん 7点(2004-08-03 20:43:39) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 ずーっと話してばかりでしたけど、人って分かり合うには話すことが1番ですよね。初めて会ったばかりなのに、あそこまで深い話が出来るとは驚きました。私はレコードショップの視聴室のシーンが好きです。目が合うと、どちらからでもなく逸らしてしまう。2人ともいい大人なのに、初恋の初々しさのようなものがあって可愛らしかったです。14時間をあそこまで充実したものに出来るとはすごいですよね。ラストシーンも本当に良かったです。話の展開がはっきりした映画を好む人にはオススメできませんが、こうゆうまったり系を好む人にはぜひ観ていただきたい1本です。イーサン・ホークなかなかよかった。 【未歩】さん 7点(2004-01-04 19:54:10) (良:1票) |
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7.男がペラペラしゃべり過ぎ。そういう映画だから仕方ないけど。2人はかなり無理してるし、不自然だと思います。でも自然であるがままの意気投合なんて現実にはありえないし、双方気に入られようと思えば多少の無理はするものなのかも?そういう意味では自然な映画?なんだかわけがわからなくなってきた。 |
6.女の子から「どんな映画が好き?」と聞かれたら、他に好きな数本の映画を言ったあと「けど恋人までのディスタンスもいいなー。」と付け加える事を僕は忘れないだろう。そして、その最後の一つに見事ヒットしてくれる女の子がいれば、僕はその瞬間に惚れてしまうかもしれない。そんな、なんか恋がしたいっ!と思わせるような作品がこの映画でした。この映画は、本当に観終わってとても幸せな気分になる映画ですね。この満足感って、映画の魅力の中でもとても重要なことなんじゃないかなと思います。この映画の中には、毎日の日常から少し浮ついているかもしれないけど、とびきりの幸せがたくさん詰まっていて、なんだか本当に幸せになります。役者さんの二人の一つ一つの会話の妙が素晴らしく、また表情が活き活きとしているのが印象的でした。最後の別れも、強く胸に迫ってくるところがあります。たぶん、次に新幹線に乗る時は、僕はちょっとこの映画を思い出したりするんだろうな。もちろん席は自由席で、喧嘩している夫婦は・・・最近あんまり見かけないけど、探してしまうかも(本末顛倒です)。ウォークマンも止めておこう。これで一緒に電話の会話をやってくれる人を探す事ができるでしょうか? 【fero】さん 8点(2003-11-18 13:13:03) (笑:1票) |
5.旅先の列車の中で知り合った男女が、1日中とりとめのないおしゃべりを続け、別れて(?)いく。ただそれだけのストーリーなのに、見終わった後の至福感ときたら…! 多分に実験的なスタイルの作品なんだけど、それ以上にピュアな感情と、スマートな知性に溢れていて、ホントこれは小さな大傑作じゃないでしょうか。主演のふたり、イーサン・ホークもジュリー・デルピーもいい。イーサンは、ユマ・サーマンよりもデルピーの方が実生活でもパートナーがお似合いなんじゃないか…そう思わせるリアリティが、このカップルにはあったもの。 【やましんの巻】さん 10点(2003-10-18 14:07:40) (良:1票) |
4.☆ERⅧ☆にジュリー・デルピーが出ていて、、この作品また観ちゃいました。例えば、白いシーツに包まって・・みたいなシーンが超似合うとっても美しい二人が、包まらずに、ひたすら会話のキャッチボール。この理屈言いの、格好つけの、頭でっかちの、二人がなんだか微笑ましいんだなー。 若いっていいねー。ただし男性の方には退屈でしょう・・それもわかる。 【かーすけ】さん 6点(2003-10-09 21:46:58) (笑:1票) |
3.期待せずみたら(BSで観たので)思わぬ拾い物をしたって感じです。二十歳前後の男女が生と死、個人と世界、そして男と女について語り合うところは、若干年を取ってしまった今ではちょっと青臭い感じがしないでもないけど、公開の年を考えるとほぼ同世代でもあるわけで「親の世代の頃は敵がはっきりしてたけど、今は敵が分からない(うろ覚えの台詞ですが)」なんていう意見には、うんうんとうなずいてしまいます。ラスト二人はどうなるんだろうと思ってたら、あんなだったので、ちょっとがっかりもしたんですけど、あれはあれでいいのかな。「結局二人は二度と会いませんでした。ただの旅先という非日常の中での勘違いでした」って言うオチだと、確かにそれも人生の真実かもしれないけどあまりにも寂しすぎるし、再会できたっていうオチにしても、何だか普通のラブストーリーみたいでつまんないし、「あとはご想像にお任せしますよ」っていうのが一番良かったんでしょうね。それにしても、僕は旅ってほとんどしたことないけど、こういう映画を観るとちょっとヨーロッパを旅したくなっちゃいます。別に素敵な女の子との出会いを期待するわけじゃないけど(いや、そりゃ来る物は拒まずだけどさ)、ヨーロッパの街角で、アマチュア劇団や路上詩人、ちょっと胡散臭げな占い師と出会えたりするのは、かなり素敵ですよねえ。 【ぐるぐる】さん 7点(2003-05-29 12:50:03) (良:1票) |
2. この映画でイーサンホークに参ってしまった。だって、ものすごく考えて演技しているんだもの。例えば、相手のことを好きになったら、1秒でも長く見つめていたくなるのは、当然でしょ? その恋する人間の何気ない仕草を、演技上でこれだけ上手くやってのけたのは、今まで見た恋愛映画の中でも、彼だけではないかなあ。(列車がウィーンに着いた時に、「まだ一緒にいたい!」という瞳で彼女をじっと見つめたり。バスの中で彼女の顔が髪に隠れて見えなくなると、ちょろっと上げて覗き込んだり。etc) あれは「オレに惚れるなよ」的な役者(誰とは言わないが)には絶対できない演技だ! あの繊細さは、ハリウッドスターとしては、貴重な個性のはず。監督作品もまあまあ好評だったし......。これからも頑張れ、イーサンホーク! 【showrio】さん 9点(2002-11-12 23:45:22) (良:1票) |
1.何回もみたくなる作品です。変なごまかしの演出などは一切無く、恋愛映画にはめずらしい内容一本勝負。ふたりは、異性どうしなのに、お互いに何をいいたいのか、ピーんと分かってしまう、いわゆるソウルメイトで、"運命の出会い"の理想形かもしれない。ジェシーもセリーヌも、自分の奥底の感情を自由に語り合っているようだけど、どこか普遍的な内容であり、私達にも通じてくるところが、脚本のすごいところだと思います。前向きな事も、やわな部分も、奥深く自分でも不可解な感情を語り合って、墓場にいる時や電話ごっこをしてる時でさえ、楽しめてしまう、そんな関係をもてる人と出会えた喜び、というものが、よく伝わってくる。シンプルな服装、聞こえるのは町の音と二人の話し声、これだけで一つの映画を飾ってしまう、そんな映画は、恋愛映画だけに限らず、なかなかないと思う。私は、一生で一番好きな映画です。この映画に出会えてよかったと心から思ってマス* 【ダイヤモンド】さん 10点(2002-03-11 23:26:48) (良:1票) |