5. 小学生の頃、大画面の映画館で観た時は、プラネタリウム以上の感動、いや不思議な体験をしました。でも不思議という実感はないんです。全てが不思議と思わなかったんです。原作は未読でした。 しかし、最近再び観賞したときは開始30分で睡魔が襲ってきました。 大人になって失ったものに気付きました。 「カンパネルラ」と叫ぶ声優さんの声は未だに私の心に響いています。 私にも「カンパネルラ」のような友人がいました。 でも、成長していくうちに他に友達も出来て、「カンパネルラ」はうっとおしい存在になってくるんです。そして気付いたら自分の前にはいなくなって…。 今、「カンパネルラ」は何をしているのだろう。 蠍になって自分を犠牲にする勇気はありませんが、私のカンパネルラは今どうしているのか、この映画を久々に観賞して思い出しました。 【クロエ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-08-14 00:21:14) (良:2票) |
4.猫にしたのが当時は賛否両論だった。子ども向けに迎合してる、って意見があったけど、猫にしたことによって無表情が自然になってる、と私は断然「賛」だった。人間だと無表情は中間的表情というより陰気なイメージになってしまうが、猫だとほんとにニュートラルな表情となり、それが少年の純な心にピッタリする。そして賢治の世界にふさわしい。原作のイメージが素晴らしいんだけど、映画もそれを膨らませている。丘へ上る道が銀河につながっていくところ。静かに繰り返されるレールのガタンガタンのリズム。冒頭を初め、全編を通して振り子のイメージが貫いている。待合い所のメトロノーム、新世界交響楽の駅にも大振り子。ときどき流れ過ぎる輝く正四面体がちょっとつまらないのと、リンゴの皮を剥くとどんどん蒸発していく原作のイメージがなかったのは残念。ジョバンニが自分だけ違う切符を持っているあたりから忍び寄ってくる不安、「どこまでも一緒だよね」と何度も確認するあたりから、もう泣けてしまう。ジョバンニには妹を失った賢治がいるし、カムパネルラには、貧しい農民になれない地主の息子の後ろめたさを抱いている賢治がいる。そういったもろもろを静かな暗さの中で反芻していた賢治は、本当にいいなとあらためて思う。永訣の夜としての銀河鉄道。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-08-22 10:04:56) (良:1票) |
3.子どもの頃に一度観て、不思議な印象がずっと残っていた作品です。その頃は、あの独特のセリフもほとんど理解できなくて、おおまかな内容が分かった程度だったけど、不思議とつまらないとは思わなかった。最近、久しぶりに観て、静かに淡々と話が進んでいく様子や、暗くて不気味なのに、恐怖を感じさせない幻想的な世界や背景に流れる音楽など、この作品の世界にすっかり惹き込まれてしまった。特に音楽、ハレルヤコーラスや新世界交響楽など、実際に死後の向こうの世界でもあんなふうに流れているんじゃないかと思ってしまった。音楽って不思議なもので、この世の人間が作ったものだけど、あちらの世界にもあって、いつも流れているんじゃないかって思う時がある。詩を朗読しているようなセリフも聞いていて心地よく、言い回しは難しいけど、日本語の響きって綺麗だと思った。この映画、見る人の年齢層を定めているのか不明だったり、宮沢賢治の作品を見事に映像化してやろうという、作った人たちの野心なんかが感じられなくて、純粋に魂に響くような、ほんとに不思議な作品です。 |
2.大好きな童話なだけにきびしく言うと、ますむらひろしと宮沢賢治は違いすぎる。賢治を漫画で描くなら森雅之あたりがベストだと思う。映像的にも音的にも面白いのに残念。 【omut】さん 5点(2003-06-17 04:34:17) (良:1票) |
1.哲学的思索にふけり、美しい映像を堪能し、宮沢賢治の浪漫に浸る。細野晴臣の不安げな音楽と、ますむらひろしの独特な解釈が融合し現実が遠く離れていく。あとはもう最高のプラネタリウムに酔いしれるべし。もう、何もいらない。 【うべばんぼー】さん 10点(2002-01-06 23:10:19) (良:1票) |