3.《ネタバレ》 先に述べておく。極・私的高畑勲監督の劇場映画最高傑作は「火垂るの墓」でもなく「平成狸合戦ぽんぽこ」でもなく、(「パンダコパンダ」には傾きそうになるが)この作品である。...思い起こせば映画好きの友達と激論を交わした。友曰く、漫画+TVアニメと雰囲気が違う/ヒラメちゃんが出てこない/いきなり「ゴジラの息子」映像の挿入はそぐわない/吉本芸能の大御所を使った声優陣がうっとおしいなど。...いやいやその観点が可笑しいのだ、わからずやめ。この劇場版での高畑監督の意図は「(原作とは異なる)1960年代後半の大阪を舞台としたじゃりン子チエ」物語・ファンタジーの創出であり、はるき悦巳原作の完璧な再現であったTV版とは違うのだよ。吉本芸人に求められてるのは関西社会の雰囲気であり演技ではない。そしてチエちゃん一家の生きる活力=明るさにフォーカスをおいた原作よりも、人生の浮沈盛衰=現実感ある市井の生活に視点をおけば悲哀感が出てくるのは当然。そこがいいんじゃないか。(家族旅行が原作では金閣寺→遊園地に変更されたのも印象的。映画表現においては「遊園地=不安の隠喩(メタファー)」でもある) こんな議論も最後は「世界名作劇場の高畑作品最高」→「『ハイジ』は別格として『母をたずねて~』と『アン』、どっちが好きか」になってゆくのでした...。高畑監督ご冥福をお祈りします、そして有難うございました。 【Nbu2】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2018-04-06 10:31:13) (良:3票) |