《改行表示》 37.《ネタバレ》 正直、一般向けの「映画」として観るか、ファン向けの「ウルトラマン映画」として観るかで評価の分かれる作品だと思う。 マニアというほどではないが、かつては確かにウルトラマン好き少年だった自分としては、現代向け、大人向けにアップデート(アップグレード)されたウルトラマン映画として、”ほぼ”文句なしに楽しめた。 かつてのテレビ用特撮ドラマ感を残しつつ、映像的に洗練された怪獣バトル。シン・ゴジラにも通じるリアル指向のストーリー。 ことに、メフィラス星人を軸にして、個々の怪獣(禍威獣)や異星人(外星人)にまつわる事件を、外星人にとっての人類の”存在意義”と絡めて一本のストーリーラインにまとめあげた脚本には、「やっぱり庵野さんってすごいな」と唸ってしまった。 特に最後の敵ゼットンの扱い方に関しては、ある程度ウルトラマンに通じている観客は「そう来たか!」と意表をつかれた(し、それ以上の特撮マニアは苦笑しつつ膝を打った)事だろう。 ただ脚本に関しては、ファンならばなんとなく脳内で補完してしまうような、そしてあまりウルトラマンを知らない観客にしてみれば 理解できないまでも物足り無さを感じるんじゃないか、と思ってしまうような不備がちょくちょくある事も否めない。 (たとえばメフィラス星人との決着などは、ウルトラマンファンがその狡猾さと紳士的振る舞いが両立する行動を「メフィラスらしいなw」と思う一方で、あまりよく知らない観客は「え、ここまでやったのにそんなあっさり退散しちゃうの?」と戸惑うんじゃないだろうか) そして映画として最も物足りなかったのは、やはりクライマックスである。 絶対敵わない相手に立ち向かうヒーロー、ヒロインとの涙の別れ、敗北からの一縷の希望、人間の叡智の結集、そして勝利。上がる要素てんこ盛りのはずである。 なのに、あがらない…! 上映時間の制約や物語の構造上、個々の人間ドラマの掘り下げが難しく登場人物に感情移入しづらい(特に主人公は半分人間じゃないし…)など、原因は色々あるだろうが、やはり個人的には「人類絶滅の危機!」という絶望感が決定的に足りなかったんじゃないか、という気がしてならない。 「もう絶対勝ち目はないから人々にはあえて知らせず、平和な日々の中で皆で死のう」という対応策はある意味”リアル”ではあるだろう。だがそのせいで、最高のクライマックスが、ウルトラマンとごく一部の狭い人たち(その姿さえ画面では描かれない!)による「人知れぬ闘い」になってしまった。 やはりウルトラマンが全人類の希望を背負って戦い、たとえ一度は敗れたとしてもその意志を継いだ者たちと共に再び立ち上がり、そして最後には勝利を収めて全人類に讃えられ報われる姿を見たかった、というのは僕の的外れな望みだろうか… ただ、もちろんクライマックスはクライマックスとしてちゃんと機能していたし、幾分かの不満はあるものの、トータルすればこの作品にはそれをはるかに凌駕するワクワク感と興奮があった。 今はそれだけでいい。本当に時間が経つのを忘れて楽しんだ二時間だった。 ありがとう庵野さん、ありがとうすべてのスタッフ。 そして、そんなに人間が好きになってくれてありがとう、ウルトラマン!! 【大鉄人28号】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-05-29 16:37:08) (良:1票) |
《改行表示》 36.《ネタバレ》 タイトルの「シン・ゴジラ」は不要だと思うんですよ、最後にサプライズでゴジラと闘うのかと思っちゃったし。 私、ウルトラマンは子供の時好きだったけど、まぁ覚えてないし、なので長澤まさみが巨大化した元ネタも分からず、女の人が巨大化する昔のアメリカ映画を思い出しました。 ウルトラマンの最大のテーマである「なぜ地球人のために同じ宇宙人と闘うのか?」が上手く表現できていたと思ったんだけど、それって自分の中のウルトラマンの知識があるからであって、よく考えると長澤まさみとのバディもイマイチ噛み合ってなかったし、禍特隊との仲間意識もあってないようなもんだったし、映画一本の時間でそれは難しかったのかな。 どうも「シン・ゴジラ」の既視感が最後まで抜けきらないまま終わってしまった感じ、そういう意味で最初のタイトルは正解なのか?難解な言葉を使い過ぎで、正直途中から物語が頭に入りにくかったし、もっといろいろな怪獣や宇宙人を見たかったな。 米津君の歌は良かった、ファンでもないけど素直に「良い歌だなぁ」と思ったよ。 【ノン】さん [映画館(邦画)] 5点(2022-05-29 16:21:06) (良:1票) |
《改行表示》 35.《ネタバレ》 本作を観たのは上映初日の夜だった。上映終了後は作品を十分に楽しめた気持ちこそあったものの、心震えるほどの昂揚はなく、どこか冷めた感覚も残った。 帰宅する道中から帰宅後しばらくの間、どのように本作を捉えればいいのかと考え、まずはこれまで庵野秀明監督がかかわった『シン~』シリーズと比較してみようと思った。その観点から把捉した本作は「『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のような感慨はなく、また、『シン・ゴジラ』のような社会性も感じられない作品」となった。 『シン・エヴァ』からは庵野監督が25年の歳月をかけて一つの作品を終了させた(終了させることができた)ことへの感慨とそこからの感動が僕の心を充たしてくれたし、作品のバックボーンから垣間見える監督の「旧劇場版」以後の人生観が作品に深味と説得力を与えていたと思う。 東日本大震災の原発事故によって人ごとでなくなった放射性物質の恐ろしさがアレゴリーとして込められた『シン・ゴジラ』からは、娯楽作品として楽しむだけにとどまらない、映画としての意義や存在感が強く感じられる。 ところが本作からは上記二作品のような、作品を貫く骨子のようなものが感じられず、作品へのキーワードがすぐに見つけられなかったのだった。 やがて日にちが経つと、ネット記事やツイッターにネタバレを含む文章が徐々にあがり始め、その中には強く実感できるものや本作の本質を鋭く突いたものも現れるようになった。そして上映開始日から二週間経つと、48時間限定ではあるものの公式HPが映画冒頭の1分17秒――本作の前史として『ウルトラQ』禍威獣を簡潔かつインパクトを持たせて登場させたパート――を公開するに至っている。これまではっきりと表せなかった自分自身の初見での印象や感想が、こういった情報によって変容してしまうことへの恐ろしさがついに閾値に達したのだった(たぶん今ではすでに若干の変容はあるだろう)。自分の中で一度本作を総括しておきたい気分が高まったのだった。 あれこれ考えた末に絞り出した、本作に対する僕のキーワードは、ちょっと変かもしれないが「リスペクトで作られたオマージュ」だ。言葉遊びっぽくなってしまっていることは承知しているが、本作にはこのような言い方が一番しっくりくると思っている(語呂は悪いけれど)。 このキーワードから賞翫した本作はほぼ完璧と言っていい。1966年の『ウルトラマン』(以下、『旧作』)の名シーンが現代の映像技術によって、時にスマートに洗練された状態で、時にさらなる迫力を持って、時には精緻に再現される。マニアにしか分からない細かいシーンもきちんと再現されている。ちなみに、僕が特に感心した再現シーンは、にせウルトラマンの頭部をチョップしたウルトラマンが、そのマスクが硬かったために思わず腕を振って痛みを紛らわそうとしたところだ。『旧作』において人が演じたことで起こったNGギリギリのシーンを、CGで作られた本作がわざわざ再現しているのだ。 舞台となっている現代の政治システムや社会情勢の下で出現する禍威獣や外星人によって生ずる災いやリスクの多くは、今の人類の力では到底解決できない。その事態を何とかしてくれるものの登場を望む気持ちが劇中においても、また鑑賞する我々観客の心にも極めて自然に醸成されていく。彼の登場シークエンスそのものは、物語面から見ればお約束に沿ってしまっているように思えるものの(それなりの立場にある主人公の神永がどうして自ら子供を助けに行ったのか、また、その後も勤務中に彼がいなくなることを禍特対のメンバーがなぜあまり気にしないのか、こういったお約束感こそが本作へのどこか冷めた感覚の大きな要素だとここまで書いてきてようやく気付いた)、そこに現れるべくして現れた彼はまさに救世主であり、どうにもならない災厄を人類の代理人として解決してくれるウルトラマンの必要性や本質、そして特性が見事に表現されていると思う。 さらに言えば、ガボラ、ザラブ、メフィラス、ゼットンと、物語が進むにつれて登場する禍威獣・外星人の脅威度はどんどん上がっていく。人類滅亡のリスクが増大していくために、劇中におけるウルトラマンの必要性もますます強くなるのだ。構成の妙だろう。 最後に印象に残る登場人物を少々挙げてみたい。メフィラスのふてぶてしさと頻出する台詞「私の好きな言葉です」「私の苦手な言葉です」(昔からシンプルなことわざを自作に好んで用いる庵野監督らしさが感じられる)。それから、ネットで否定的に語られることも少なくなかった、スタッフのフェティシズムが爆発した、タイトスカート姿で巨大化した浅見の姿や、神永が彼女の匂いを嗅ぐシーン。邪な心が刺激され、個人的にはとても好きだ。 【はあ】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-05-29 14:13:11) (良:1票) |
34.詰め込まれたネタは多くあるが、全体的にはライトな内容となっていたと思う。「シン」シリーズのエヴァやゴジラの風味をあちこちに感じられ、いろいろと既視感がったり。でも、これらの作品とは異なり、いろいろなことがあっさり味と言う感じだった。昭和な風味もして、これはどちらかと言うとおっさんホイホイ映画と言えるかも。特に印象に残ったのメフィラスだ。山本耕史がいい味を出していて良かった。映像表現も特に文句はなく上出来。続編を作る構想があるのなら、作るのは有だと思った。むしろ、続編を作って本作を補完していって欲しい。 【スワローマン】さん [映画館(邦画)] 6点(2022-05-28 20:31:33) |
《改行表示》 33.初代ウルトラマンの精神を引き継ぎつつ現代に再構築したという意味で『シン・ゴジラ』と同様のコンセプト。 前半はなかなか面白いものの後半から徐々に失速。 庵野秀明の作風がウルトラマンと合ってないのか、はたまた監督を務めた樋口の演出が庵野の個性と合ってないのか。 次々と出てくる怪獣や異星人のエピソードに一貫性がほとんどなく、TVシリーズのように小分けで見せられている印象を受けた。 つまり、一本のストーリーとしては弱い。 スケジュールの関係で監督を兼任できなかったようで、実現していれば違っていたかもしれない。 【Cinecdocke】さん [映画館(邦画)] 6点(2022-05-27 23:46:29) (良:1票) |
《改行表示》 32.ウルトラマンについては記憶の片隅にほんの少しある程度ですが、日本人なら映画館で見るべしと思い立ちました。 戦闘シーンは感涙モノでした。役者にスマホを持たせて"アングル"にこだわって撮影したとのことで、これから見に行く人はその辺も鑑賞ポイントになると思います。 【めたもん】さん [映画館(邦画)] 6点(2022-05-26 13:23:57) |
《改行表示》 31.《ネタバレ》 ゴジラ映画が低迷を極めていた時見た「ガメラ」、あの衝撃に匹敵する作品でした。恐怖映画たる「シン・ゴジラ」とは全く異なる空想特撮映画として凛とそびえたっていました。二時間をかけて一匹の怪獣を見せた前作とは違い三十分番組を五つ繋げたような構成がまずウルトラマンの本質をついていました。 作品冒頭にすでに登場した五匹の怪獣を見せたあたりにウルトラQを感じ、怪獣との戦いにウルトラマンを味わい、異星人との絡みにウルトラセブンを思い出しました。CGがリアルじゃない事なんてあの頃の特撮へのオマージュとしか思えませんでした。庵野さんのとがったセンスを樋口監督が見やすくしてくれた感があり非常にナイスです。 さて、ちょっと理屈こねますが、あの頃は「しらけ」とか言って大学紛争で大騒ぎをしたにも関わらず社会を変えることが出来ずにニヒリズム(虚無主義)が問題になってたんです。この映画にもそんなシーンがあります。私個人がニヒリズムを克服するのに有効と思うのがヒロイズムです。ところが、いろんな人のいろんなヒロイズムはぶつかり合ってしまうこともあって難しんです。そんな時はどうするのか?話し合うんです。リピアもメフィスト星人やゾーフィと話してましたよね。話し合いは大事なことです。 ここまで怪獣って書きましたが、禍威獣ですね。結局、この字を当てないと「カトクタイ」って言葉が使えないんですね。まさか今時科学特捜隊なんていくら何でも使えないでしょ。そういう事だと思います。 最後、最後の戦いに赴く神永を見送る浅見はキスしませんでした。するのかなーとドキドキしながら見てましたが、しませんでした。これは、日本映画の心意気だと思いました。日本には日本の伝統と良識がある。その表明だと。ありがとう。うれしかったよ。 【たこのす】さん [映画館(邦画)] 9点(2022-05-24 01:04:54) (良:4票) |
《改行表示》 30.《ネタバレ》 ゴジラ好きの小学低学年の息子を連れて観に行きましたが、最初の15分とラスト10分の戦闘シーン以外は、ソワソワし、つまらなそうにしていました。しかも、最悪なことに、大人である自分自身が期待していた戦闘シーン以外(大人のやり取り)もイマイチで、シンゴジラ以上を期待していくと失敗します。 新仮面ライダーも観る気満々でしたが、迷いますね・・・。 【N.Y.L.L】さん [映画館(邦画)] 4点(2022-05-23 21:45:18) (良:2票) |
《改行表示》 29.《ネタバレ》 庵野監督と同世代のやつしか共感出来ない部分はあるよこの映画。俺は庵野の世代だからわかる。 昭和40年頃にあったウルトラマンというテレビ番組は現代までおよそ50年の長きにわたり語り継がれてきた。月日の流れる間にウルトラマンというコンテンツはウルトラマンをウルトラマンたらしめる因子が抽出濃縮デフォルメされ、単なる子供向け怪獣映画とは異なる存在として現代まで生きて在り続けてきた。 このシン・ウルトラマンはそう、その現代に存在する人々のイメージ、もうセピア色に色褪せているはずなのに今も生き生きと身近に在るその姿を忠実に映像化したものと言えるだろう。 変にオリジナリティや改編を施すことなく、語り継がれ変化した現代の標準的イメージ、「おまえらこういうイメージだろ?」というポイントを突き詰めて制作したに違いない。 詳細を挙げればキリがなくなるが、 例えばゼットンは当時は普通に登場したカミキリムシの怪獣に過ぎず、しかし唐突にウルトラマンは負けてしまったのだ。ゼットンが強かったわけではなく何故か唐突にウルトラマンは敗け、井出隊員の作成した冗談みたいにチャチなペンシル爆弾であっさりやっつけたというのが正直なところであろう。しかし長い年月を経てゼットンはその本来の映像から変わっていき、ある意味神格化された存在にまで成り上がって今日がある。 この映画のゼットンはまさにその神格化された存在としての描写にこだわっていた。ゼットンと言えば今や”一兆度の火球”なのであるが、当時そんなスペックが注目されたことはなかったよ。映画では一兆度の火球という単語をきちんと投入していた。 現代のウルトラマン像はでは一体どうやって調査したのかと考えれば、それはやはり庵野だろうね。庵野氏の中にある今のウルトラマンを描いたんだろう。 彼と私で異なると感じたのは、ザラブ星人とメフィラス星人のキャラかな。そこはちょっと違うんじゃねって感じ。ザラブ、メフィラス出すならさ、あれよりもさ、そこはダダでしょ。ダダ。あとバルタン星人。 冒頭のウルトラQのゴメスあたりの導入はなかなか良かったよ、懐かしくて。 効果音も当時のものに似せてあったね。 俺はウルトラマンのリアルでテレビ見てた世代だからよーくわかってるんだけど、そういう世代じゃないとピンとはこないかもなあ。 ゴジラはもっと普遍的に全世代に親しまれていたわけだから映画評価はウルトラマンのほうが低めになるんだろうなあ。 【小鮒】さん [映画館(邦画)] 10点(2022-05-22 22:53:58) |
《改行表示》 28.《ネタバレ》 私は昭和シリーズには間に合わず平成シリーズの頃には卒業していたので、これがウルトラマン映画初鑑賞です。 夕方の再放送をかぶり付きで見ていた私には、子供時代の神格化されたアイコンを前に面白いという感想しか出てきません。 最後の肩透かし気味のラストもこれが今風なのかな、と納得しています。 できれば子供の時に大スクリーンで観てみたかったのですが、きっとお母さんを質問攻めにして困らせていたでしょう。 【4吉】さん [映画館(邦画)] 9点(2022-05-22 20:52:23) (良:1票) |
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《改行表示》 27.《ネタバレ》 幼少の頃、ワクワクして憧れて観ていたウルトラマン。 正義の味方が怪獣を倒し地球を守る。 そこに理由なんてものは考えなかったなぁ。 今作は、ハリウッド的に例えるならウルトラマン・ビギニング。 子供から大人に、或いは視聴者から製作する側になった視点から、同様に育った世代に向けて、 そして、昔の作品にオマージュを込めて庵野さんが描きたかった物語を書いたように思えます。 机上の論理でデスク業務が中心となる流れは、現代の日本政治の揶揄でしょうか。 国益重視も大事ですが、抜本的な問題を見抜き解決の糸口を見つけなければ過去の過ちを繰り返すだけ、 今のウクライナ情勢とシンクロする部分もありますね。 今時の平成、令和ウルトラマンで育った世代にはこのウルトラマンがどう写ったのか興味深い点も ありますが、まぁ無粋な話は抜きに私は純粋に楽しめました。 【シネマブルク】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-05-22 20:30:14) (良:1票) |
《改行表示》 26.《ネタバレ》 「シン・ゴジラ」は公開中3回劇場に足を運んだ。では「シン・ウルトラマン」はどうか。「ブルーレイ発売されたら特典映像コミでゆっくり観よう」というのが鑑賞後の感想だった。どちらも庵野秀明がやりたかった特撮作品で、彼が創るとこうなのね、という感想はあるけれど、禍特対の存在自体が圧倒的にフィクションなのでウルトラマンが現実の日本に出現したら日本の政治や軍事はどう対応するのかという興味には至らない。国外の反応も政府中枢要人の発言でしか知ることも出来ないし、自衛隊も禍威獣が出たら禍特対に指揮権をあっさり渡す。異形の外星人と総理大臣がいきなり対面で会談するシーンは相当シュールだが、かつてモロボシダンとメトロン星人が夕日差しこむ日本間で対峙したのを憶えていれば驚くにはあたらない。 VFXの飛躍的進歩を得たウルトラマンの登場シーン、格闘シーンは素晴らしい。それでいてうーんと思うのは何でだろう。アクション系作品に出演しようものなら即公安と揶揄される西島秀俊が本作ではつくづく公務員で、拘束軟禁されても実力突破しないこと。長澤まさみ扮する分析官の立ち居振る舞いがだんだん「ムシコナーズ」CMに出てくる姉ちゃん(但し大阪弁抜き)に見えてくること。メフィラス山本耕史が「私の好きな言葉です」を繰り返すこと。有岡大貴がとても学者に見えず、やたら頭は良いけど打たれ弱いオタクなこと。禍威獣がなぜこの日本にしか出現しないのかということがやっぱり良くわからないこと(そうそう、シン・ゴジラで鎌倉にゴジラが上陸した時「どうしてまたこっちへ来るんだ!」と怒声を上げた閣僚に、いやごもっとも、と心底思った)。一方で(ウルトラマンと融合した)斎藤工が人とのコミュニケーションを学習していく過程のやや頓珍漢な言動はユーモラスだし、早見あかりの生物学者は色々動じないタイプで肚も据わっていてこの種の映画では異色だ。予告編からして「霞が関の独立愚連隊へようこそ~」と長澤まさみへ声を掛ける距離の詰め方はさすが元ももクロ(笑)。へこたれないこの人がこの作品では一番好きだ。 【rinzou】さん [映画館(邦画)] 7点(2022-05-22 14:30:02) |
25.《ネタバレ》 序盤中盤素晴らしかった。残念だったのが最後のデカブツとのバトルだけ日曜朝のテレビクオリティに感じてがっかり。ただしそれ以外の部分では期待を超えていたし、唐突な終わり方にがっかりしたのもそれだけ楽しめた裏返しだと思う。そして数日経って未だにyoutubeで解説や感想動画を見漁っているあたり、7点(他人に薦められなくもない)という段階を超えているのは明らかですし、「率直に面白かったぁ・・」と感じたりもしたと思う 【特別付録】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-05-21 19:19:27) |
《改行表示》 24.前半は懐かしい思い(ウルトラマンの出現に心踊らせていた幼少の頃)をさせてもらえました 後半(メフィラス星人以降)は、現代劇っぽくなってきて かつCGの万能さが鼻持ちならないと感じました まぁ、面白かったんですけども、熱狂はできませんでした 次回に期待 【ぐりこ】さん [映画館(邦画)] 6点(2022-05-21 03:05:00) |
《改行表示》 23.《ネタバレ》 初代マンのリアルタイム世代なのだけどウルトラシリーズは『帰ってきた~』途中でリタイア状態で(ランドセルにガムのシールべたべたに貼りまくってたのにスノーゴンの回を見てから恐くて見れなくなっちゃった)、以降殆ど縁のない状態ね(『80』の前半部分だけは楽しんだ記憶があるのだけど)。 初代は大好きで、だから今回の映画は庵野&樋口コンビの毎度のセンスで作品を壊しちゃうんじゃないかって不安と、トラウマの再現を見せられるんじゃないかって不安とがあったのだけれど、後者は無かったものの、前者はそれなりにやらかしてくれたカンジね。 最初の3分の1くらいは楽しんだの。例のバカくさい短いカットの積み重ねと(文字読み切れないわよ、っていうか読ます気もないでしょ?)ヘンなアングルの連続ながらも『シン・ゴジラ』よりもあくまで『ウルトラマン』寄りな世界で、『ウルトラマン』見てる、って実感できて。怪獣が出てきてウルトラマンが倒す、その当たり前なウルトラマンのカタチね。 だけど中盤以降、世界情勢がどうだこうだ武力としてのウルトラマンがどうだこうだと語り始めてからはグダグダ。未熟で愚かな人類を利用しようとする者、抹殺しようとする者、それに抗うウルトラマン、それを大量のセリフで語ってドラマはエピソードの羅列、お団子状態。ウルトラマンは神ではなくて自我を持った一宇宙人ですよ、と。ウルトラマンの個が見え過ぎちゃってて神秘性ひっぺがしちゃってるわ。 今回それを描くエピソードや映像が凡庸なオタク臭いシロモノに見えて、ちょっと退化してる?とも思えたし。ごく一部の人間のセリフばかりで実態見せない大状況とか(『大怪獣のあとしまつ』みもあるわ)オタク肯定とか使徒みたいなゼットンとか。全体的になんか音痴なカンジがするのよね。 それに役者さんをローアングルと大アップで撮りまくってるのだけど、映り方に対して無頓着な気がするのね。女優さんは綺麗に撮ろうよ・・・ってもう気になっちゃって仕方ないの。 更に更に長澤まさみさんに対する数々の描写が無神経過ぎてもう。自分のお尻叩く描写の繰り返しとか巨大化時のローアングルとか執拗に体のニオイ嗅がれるとか、昭和オヤジのイヤ~な嗜好をそのまま映像化してるみたいな感じで(そこに意味があるとしてエロティックやフェティッシュに描く必要は一切無いわよね? 擁護派はアレコレ理屈こねるけれど実際ツイッターには長澤まさみさんの太ももがどうのパンツがどうの体臭がどうのってツイートが溢れてるのが現実でしょ?そういう人には何も言わないワケ?ウンザリ。違和感抱いてる特オタさんたちもいっぱいいるのが救いだけれど。っていうか、コレ、仮にも『ウルトラマン』なのよ?)、この人達ってそういうのアップデートできないままに朽ちていくのかしら?って思ったわ。 やっぱりね、ウルトラマンは子供を楽しませて、子供に夢を見せてこそだと思うのね。懐古じじいのオモチャにしちゃダメだと思うわ。『仮面ライダー』も不安だわね・・・ 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 5点(2022-05-20 14:21:12) (良:3票) |
《改行表示》 22.《ネタバレ》 「まあまあやな」が見終わった時点で出た言葉。 シン・ゴジラの時は自身の設定したハードル(観る前は全く期待していなかったのでハードルは非常に低かった)を大幅に超えてきた感動を受けて、10点を献上していた。 本作はそうした自分の中で爆上がりしてしまった庵野秀明という男の作品という、高くなってしまったハードルを超えられるかが焦点に合った。 ギリギリ何とか超えたものの、ハードルを大幅に超える感動は無かったなぁというのが正直なところです。 まあ勝手にハードルを上げておいて「なんか物足りないなぁ」というのもなんなんだという話ではありますが。 で、一緒に見に行った庵野オタクの知り合い的には「爽快感が足りなかった」という感想だった。 個人的にも同意見。物足りなさはこれが原因かなと思う。 カイジュウが大量に出てくる前半の勢いは非常に良かった。特にゴメスは、ウルトラQ知らなかったけど元々ゴジラモチーフの怪獣なんですね。シン・ゴジラのパロディをやったと思って思わずニヤリとしましたが、原作からそんな怪獣だったとは。面白いなぁ。 ただ外星人、特にメフィラス星人とのバトルが最後にスカっと終わらなかった、ゼットンとのバトルもなんかシン・ゴジラの時と同じくなんか気づいたら解決策がポっと出てきて、あっさり実行して異次元送りという、最後にスカっとするシーンが少なかった。 ウルトラマンで一番のスカっとポイントであるスペシウム光線での止めが1回きりってのもスカっとポイントが足りない要素かなぁ。 そしてカイジュウ達に不満だったのが、「昭和恐竜がモチーフの直立二足歩行(日本ゴジラの立ち方)の怪獣との対決」が無かったことかな。 ゴモラやレッドキングといったタイプね。一時的に立ち上がっている場面はあるけど。 あと、バルタン星人は出ないんだーとか思ってました。まあ尺の都合上難しいけど。 外星人が出てきてからは胡散臭い奴らが色々暗躍してて、そこの場面は楽しかった。 特にメフィラスなんか、「こいつ絶対性格悪いやろ」とめっちゃニヤニヤしながらみてた。 巨大化した長澤まさみの映像の粗さに「昭和特撮」の臭いをめっちゃ感じましたね。 で、肝心のメフィラス星人とのバトルはシンエヴァで笑ってしまった。メフィラス星人、痩せたなぁ~ さて、巷で話題に挙がっている「セクハラ表現」ですが、個人的には特に気にならなかった。 というか、劇中でもメフィラス星人が「下劣な・・・」とか「変態」と罵っていて、巨大長澤まさみの時の動画の話はこういう時に必ずやるであろう人間の本性を表現したものだし、臭いやケツ叩きの話については元ネタなのではないかといわれている「働きマン」のおっさんくさい女性主人公行動や「風呂入っていない」ネタをパロディとして取り入れた物であり、こちらもメフィラス星人がツッコミを入れているので、こちらも「わかってて」やってるネタである。 本作は序盤からパロディ要素が非常に強いので、生真面目一辺倒だったシン・ゴジラに比べると、真面目な顔してギャグやってる演出が狙って入れられており、これらの表現もその手の一環だと思われる。 みんながみんな「ポリコレ」のために原作設定の破壊を行ったエターナルズ(俺は好きだよ?)に右に倣えというのもどうかと思う。 そういう感覚はもちつつもあえてやってるネタであることはメフィラス星人が入れているツッコミを入れればわかるし、「100%間違った表現である」と一方的に決めつけるのはどうかなとは思うね。 フィクション作品に現実の感性が全てで評価するのはどうかとは思う。 合わないものは合わない、それはしょうがない。それでいいんでないかね? これはこれ、それはそれ、で楽しめる感性を僕は持って生きたいと思います。 ただ、本作は海外ではウケないだろうなぁと思いながら見てました(稀にいる日本特撮オタクを除く)。上記の表現の件もありますが、ドケチな東宝からたいして予算がもらえなかったのでそれを逆手に取った「昭和特撮」感満載な特撮が、今の大予算で作られる映画に慣れてしまった海外勢にはチープに映ってしまうのでは・・・と思う。ソフビ人形の形のウルトラマンがグルグル回る昭和ウルトラマンの演出をそのまんま使ったシーンなどは、海外勢にその面白さがわかるかなぁ? あと、ウルトラマンが好きだった人がニヤっとするシーンがめちゃくちゃ多いので、海外勢がどれだけ初代ウルトラマンに精通してるかどうか・・・ まあそこはどうなるか、楽しみにしてましょう とまあ色々話題性に富んだ本作でしたが、まあまあ楽しめたし、もう一度見ても良いかなと思わされるぐらいには楽しかったです。 2回目みると印象変わるかな~? 【みーちゃん】さん [映画館(邦画)] 7点(2022-05-20 09:48:09) (良:3票) |
21.《ネタバレ》 平成ウルトラマンと呼ばれるモノや最近の作品は見ていないのでさっぱりわかりません。が、セブン辺りまではさんざん再放送もされていてそれらを見て育ったので記憶に残っていたようで、長い年月見てなくても音楽を聴いただけで「おっ!」、長澤まさみを巨大化させたりオリジナルを彷彿とさせるようなシーンがあると「おっ!」と反応してしまいました。まあ、洗礼を受けてきている中高年の日本男児はそんなもんですよねえ。なので冒頭のウルトラQネタから半分くらいまでは結構面白いなと思いつつ観てました。「怪獣」を「禍威獣」にしていたり「科特隊(科学特捜隊)」を「禍特対(禍威獣特設対策室専従班)」にしていたりネーミングも悪くなかったです。 ただ、ザラブ星人を八つ裂き光輪で倒したのは「おおっ!」と声を出してしましましたが、ウルトラマンの動きは力感もなく足音もなく迫力がなくて微妙でしたね。禍特対がらみの人間パートもキャラに魅力がないし政治絡みはありきたりだし、ところどころ端折り気味でワープしまくるし単調で退屈だった。ここら辺が東日本大震災をモチーフにニッポン対ゴジラで熱量がスゴかった『シン・ゴジラ』には遠く及ばなかったな。 あと、宇宙人ゾーフィネタを拾ったのか知りませんがゼットンの設定含めてどうなんだろと思いましたね。星を破壊し人類を滅亡させるためにあんな兵器を作っている光の国(星)って幻滅レベルですわ。しかも、デザインがダサくて萎えました。山本耕史演じる人間形態時の喋りは大物感があって良かったメフィラスもカッコ悪かったし、イジらないであのまま出せよと思いましたね。 監督は樋口で庵野は企画と脚本。どこからどこまで誰がどうしたのかわかりませんが、庵野が全てを仕切ってたらどうなったんだろうな、とは思いました。 【ロカホリ】さん [映画館(邦画)] 5点(2022-05-18 23:31:44) (良:1票) |
《改行表示》 20.ウルトラマンに対してあまり思入れはなく(再放送で少し観た記憶があるだけ)、懐かしさもない中で観ました。 暴れるだけの怪獣と心理戦や戦力を考えている外星人の差が激しすぎないか? 子供が見て楽しむ特撮TVの延長ではなく、大人が見て楽しむ映画なんだなぁと思った。まぁ、『シン・ゴジラ』を面白いと思った人にはお勧めするが、それ以外の人にはあまりお勧めできない。 【あきぴー@武蔵国】さん [映画館(邦画)] 6点(2022-05-18 16:07:14) |
《改行表示》 19.《ネタバレ》 私は新マンどストライク世代であり(そして彼をジャックと呼ぶのに少し抵抗がある。この感覚、わかってもらえるかなあ?)、初代とセブンには少し間に合っていないのだが、もちろんこれらも小学生低学年のうちには再放送で楽しんだ。 ということで、今回の企画が大変楽しみであったのだが、皆さん結構採点が厳しめなのに少し引っ掛かりつつ、観てきました。 うーむ。なるほど、厳しくなるわけだわ。どういうわけか、観ている間、私はほとんどワクワクできませんでした。 シンゴジラの時には成功していた、リアリティを持たせるための様々なセリフや演出が、今作に関しては全く雑音にしかなっていなかった気がします。なんせ、異星人が名刺を出して人類と交渉するようなシュールな世界観に、リアリティを持たせようったって無理がありすぎますね。 とはいえ、評価すべきところはたくさんありますよ。よくこれだけいろいろなネタを詰め込んで、しかもよく知られた名場面を独自の解釈で再構成したりできたもんです。すごく考えて脚本を書かれたのは十分伝わってきます。 でも、やっぱりウルトラマンは子供のものであるべきですよね。 円谷プロが生んだ珠玉の特撮シリーズを、観るべき年齢の時に観ることができたという幸せを、いまさらながら噛みしめています。 今作で一番ワクワクしたのが、スタジオカラーのロゴが出るときの効果音だったりして。 【Northwood】さん [映画館(邦画)] 5点(2022-05-18 00:48:59) (良:2票) |
《改行表示》 18.「シン・ゴジラ」が面白かったので、今回も期待して観に行きましたが、私には合いませんでした。 原作のエピソードをいくつかまとめた形で映画化しているのですが、詰め込み過ぎで消化不良を起こしています。矢継ぎ早に話が展開するので、一つ一つの話があっさりしすぎています。 期待していたのは、原作知らなくても楽しめる新しいヒーロー映画だったのですが、ノスタルジーまみれの別物でしたね。 世間の評価は上々で、劇場に来ていた親子連れも楽しめてた様子だったので、私が少数派なのかもしれません。 【おとばん】さん [映画館(邦画)] 5点(2022-05-17 17:03:48) |