4.《ネタバレ》 潔くない創作者は好きではないので、完成した映画のラストシーンを土壇場でストップしたハダシ監督については、確かにとんでもないヤツって、実は今も思っているんですけど、本当に彼女は切実なんですよ。好きな感じのコメディ映画が、むき出しに変調する。諸々過剰で、バランスを崩している。最後の殺陣に至っては、赤裸々にもほどがあるって、うっとうしいと思ってしまうクズなオレなんだけど、目の玉が熱くなってくる。こんな楽しい高校生活がワタシにもあれば良かったのにとも、でもやっぱりしんどかったよね、この頃って思い直したり。とにかく、胸掻きむしられる映画です。この監督は、しばらく追ってみたい。【追記】監督が、伊藤万理華を見つけたから撮り始めた映画じゃないか。逸材。【追記2】ワタシ、最後のはうっとおしいとも書きましたが、殺陣シーンのクオリティの高さがこの映画の背骨です。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 8点(2022-06-19 15:11:08) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 どこから見ても『時をかける少女』+『映像研には手を出すな』です。かの作品に対するオマージュを隠す気も無さそうです。また、映像研が商業アニメ製作のリアルを体現したシリアスな格闘技だとすれば、本作は真っ当な高校部活動の範疇であり「ものづくり」に対するガチさを物差しとするなら、さしずめ学生プロレスと言ったところでしょうか。だいぶヌルい。しかしプロレスにはプロレスの良さがあります。いいトコ取り、何でもあり。時かけの切なさ、映像研の産みの苦しみをブレンドした物語は注文どおりの面白さでしたし、クライマックスの破天荒ぶりには度肝を抜かれました。映像研の浅草氏なら(プロの映画監督なら)絶対にあんな展開は選びません。「ものづくり」のルールに反するから。しかしプロレスなら出来るのです。「何時だってやり直せる」が綺麗事ではなく現実に起きる奇跡を目の当たりにして涙が溢れました。未来人がタイムマシンでやってくるなら、ホウキくらい日本刀に変わるでしょう。どさくさに紛れて散々ディスってきたラブコメまで肯定してしまう力技もまさにプロレス的であります。消えて無くなるものに全力を尽くし、思いを繋げることで夢を託す。私たちが生きる意味は青春の中に詰まっています。 主演のハダシこと伊藤万理華さんが実に魅力的でした。少年っぽいというか、無垢なラランドサーヤというか、バカリズム的というか。まあめんこいこと。オタク魂が宿った一挙手一投足に釘付けで、ずっとニヤニヤしながら眺めてしまいました(特に曲がった口元がチャーミングで『キック・アス』のヒットガールや『女子―ズ』の桐谷さんのように美人が口を歪める様に個人的に弱いみたいです)。実写の浅草氏も彼女が適任なんじゃないかと。2代目水川あさみ?こと祷キララさんも『ファンファーレが鳴り響く』から更生したようで何より。もう一人の女監督(花鈴さん)も可愛かったなあ。そして忘れてならないのは影の主役・ダディボーイ役の板橋駿谷氏。熱演でした。実年齢30代半ばの老け顔高校生お見事でした。それにしてもブルーハワイとかビート板とか、ニックネームがもはやスパイ映画のコードネームのようです。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 10点(2022-04-30 11:04:14) (良:1票) |
《改行表示》 2.映画作りに青春をかける物語という時点で映画ファンとしては面白くない訳が無いし、とにかく撮りたい映画を撮るために全力で突き進む感じは「映像研には手を出すな」を思わせるし、とにかく熱い内容だったし、思い切り青春だった。 とにかくこういう青春映画が観たかったという私の要望に合致していた。 キャラクターも皆個性的だし、変なあだ名が付いているのに説明が無いのも気になるし(パンフを読んで判明したが)、とにかくどのキャラクターも愛おしくて好き。 中でもやはり主人公のハダシのド直球で突っ走る感じが最高だ。 自分の撮りたかった映画の主役にぴったりな人物と映画館で運命的に出会いそのまま追いかけるくだりが最高だった。 走って走って川に飛び込んでまで追いかける。絶対に逃さないと決めたからだ。 「私の映画に出て!」 「あなたじゃないと撮らない」 なんて全力かつ真っ直ぐな台詞だろうか。 時代劇って斬る事が愛情表現だったんだなぁ。 好きだからあなたを斬る! 嗚呼これこそ正に青春映画だよなぁ。 とにかくこの映画が好きだ。 もう好きってしか言えない。 【ヴレア】さん [映画館(邦画)] 9点(2021-09-17 22:21:55) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 これ見よがしに「その辺にフツーに居そうな子」を集めたな、とゆーか、登場人物には総じて非常に身近なリアリティを第一には感じました(でも主演のコは元アイドルなのですね…)。ただ、本作は青春映画とは言っても全体的にはだいぶんコメディ寄りで、ソコを何とかするためとゆーかキャラクターの中身自体はかなり漫画チックとでも言うか、ごくコミカルに振ったキャラが大半を占めています(その意味では、中身はそんなにリアルでもないカモ、とも)。当然、少し重くなるシーンや色恋沙汰も含まれてはゆきますが、まずはどこまでも明るく楽しく(笑い通しで)観てゆけるという作品ではありますですね。 しかし、主演の伊藤万理華ちゃん演じる映画好き女子に関しては、ここには更に一段高度なリアリティというか、実に普遍的で切実な青春の物語を見て取れました。その意味では、彼女が志すのが映画監督という、それこそ確固たる「自我」の無ければ務まらない(ハズの)仕事だった、とゆーのは重要なポイント・アイデアだと思われます。この物語はシンプルな、人間が自分が何者であるかを見出す、という青春のお話だと思います。その観点からすると前述どおり、主人公に(少し人とは違っていながらも)実に明確な方向性・目的意識といった確かなアイデンティティがあるという点でのキャラ設定、そしてそれを具現化する彼女の演技も含めてかなり優れた表現だったと思いますし、テーマ性と物語(主人公のお話と主人公の「撮っている」お話、という二重構造の)を見事に整合させたラストの展開も中々好く出来ていたと思いました(ほんの少しだけは暑っ苦しい気もしますケドも)。うーん、これも爽やかで心地好いですね!良作です。 【Yuki2Invy】さん [映画館(邦画)] 7点(2021-08-30 22:34:39) (良:1票) |