《改行表示》 8.《ネタバレ》 ジョナサン・デミによる傑作サイコ・サスペンス。 劇中のアンソニー・ホプキンスの狂気は「サイコ」のアンソニー・パーキンスを彷彿とさせる狂い振り。涼しい顔して何人も血まみれにしていく様子には戦慄する。「ハンニバル」は脳味噌ハンバーグというイカれポンチ振り(褒め言葉)。 その狂気の連続に襲われるこの作品は、最初女性が走ってくるシーンから始まる。整備された森林、女が人気の無い道を走ってくるという場面だけでもワクワクさせられる。汗ばみ息も荒ぎはじめる彼女にこれから何が起こるのか、あるいわ何も起こらないのか。そんな緊張が冒頭から生まれているのだ。 彼女が何者なにか判明するのは、クロフォード主任からの“任務”をスターリング実習生が知らされるシーンだ。 髪を結んでいる時は可愛い、下ろしている時はカッコ良い。見た目はキマッているが内心はまだ訓練を積む新人。 部屋に張られた夥しい“被害者”には慣れっこだが、厳重に管理された独房には身がすくみそう。一人だけ鉄格子でなくガラスの壁という時点で、ハンニバルがどれだけ危ない野郎なのか物語る。 ハンニバルとの会話は妙な緊張が持続し飽きない。スターリングは気丈に振舞うが、本当は囚人からの汚い“送りもの”に叫び声をあげてしまうほど。ハンニバルは彼女を冷静に分析する。内に秘めた狂気を時折覗かせて。 客人に対し“無礼”を働いた囚人仲間を言葉責めだけで追い詰めてしまうのはまさにそんな場面。 ハンニバルとスターリングの取引、乳首にピアスをする人間の気持ちは中々理解できないいやしたくない、スターリングを絵に描くほど“お気に召した”ハンニバルの殺戮ショー、現代アートのように処刑される“標本”。この映画はアチコチに“蝶”のイメージが出てくる。 ハンニバルが何処まで彼女を気に入ったかは知らないが、少なくとも鉄面皮のようで一番彼女を心配していたクロフォード主任は一番の勝ち組。 たった一人で果敢に乗り込むスターリングの覚悟。それを察知した犯人が自ら出向いて来るか待ち伏せるのか解らない緊張、閉鎖的空間のいつ何処から現れてもおかしくない恐怖。それを煽りたてる不協和音。一瞬の銃撃による決着! 教訓:撃鉄は得物を射程に捉える前に落とすべし。 ハンニバルは蝶のように飛び去り、蜂の様に今日も殺人を続けるのだろう。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-08-18 07:42:25) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 もう映画の神様が現場に舞い降りてきたんじゃないかってくらい、奇跡の完成度を誇るサイコ・サスペンスの古典的名作。それまでシュワちゃんやスタローンやインディジョーンズとかのアクションエンタメ、あるいはゾンビ系のホラー映画しか観てこなかった当時の僕に、ガツンと強烈な衝撃を与えてくれたことを今でも鮮烈に覚えています。主人公は、まだ幼さが残りながらもその心に抱えたトラウマから強い正義感を持ったFBI訓練生、クラリス。そんな彼女に、女性を次々とさらってきてはその皮を剥ぎ、死体を河に捨てるという残虐な猟奇殺人犯バッファロウビルの捜査の過程でとある指令が廻ってきます。それは、かつて自分の患者7人を無残にも殺しその肉を喰らったとして獄中にあるかつての天才精神科医レクター博士の意識調査をしてほしいというもの。軽い気持ちで引き受けたクラリスでしたが、暗鬱な地下牢の奥深くに待ち受けていたのは、社会のちっぽけなモラルや常識など一切通用しない恐るべきモンスターだった…。画面の端々にまで横溢する不穏な空気感がとにかく素晴らしく、おどろおどろしいそんなストーリーを見事に盛り上げてくれています。そして、何より特筆すべきは、やはり“クラリス=ジョディ・フォスター”“レクター博士=アンソニー・ホプキンス”という奇跡とも呼べる見事なキャスティングでしょう。特に、レクター博士という強烈な〝悪〟を体現してみせた、希代の殺人鬼を見事に演じきったホプキンスは映画史上屈指の名演!これ以降、似たようなサイコ・サスペンスが量産されるのですが、いまだレクター博士を超えるようなキャラクターは一向に出てきていません。この世の中には、世間では常識と信じられているモラルなど一切通用しない暗い世界が隠されていて、そこには必ずといっていいほど男の歪んだ性欲が絡んでくる。もしかしたらこの社会を形作る源泉なのかも知れないそんな男たちの性欲に決然と立ち向かうクラリス、彼女を父のように見守りながら勝利へと導く社会から超越した存在であるレクター博士…。正義と悪の定義を根底から覆してみせるその深いストーリーは、混迷する現代社会にあっても一向に色褪せることはありません。映画史に残る唯一無二の名作として語り継がれるのも納得の素晴らしい出来だとあらためて思います。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-03-29 14:39:31) (良:1票) |
6.本作は「羊たちの沈黙」。どうりでスチーブンセガールが出てこないはずだ。「沈黙の羊たち」ではない。 【くまさん】さん [ビデオ(吹替)] 9点(2010-07-07 03:00:26) (笑:1票) |
《改行表示》 5.初めてビデオを買うほどはまった作品。 クラリスとレクター博士の危うい関係がもの凄くエロチック。 一瞬指が触れ合うシーンやクラリスを見詰める目線が愛なのか 食欲(w)なのか判別出来ないところがエロコワい。 よく「可愛くて食べちゃいたい」なんて言いますが、 レクター博士の場合はシャレになりません。(映画館) 【なみこ】さん 9点(2004-08-15 20:18:41) (良:1票) |
4.こりゃ見事に映画化してくれました。ベストセラーを映画化するとなると、注目は集まるものの、逆に「原作のイメージに合わない」とか「脚色によって原作の良さが損なわれた」とか、原作のファンに袋叩きにされる事もしばしば。イバラの道です。その点、本作は、原作と映画が実に幸せな関係にあると言えるんじゃないでしょうか。映画が原作のイメージに合ってるのやら原作が映画のイメージに合ってるのやら、よう判らんほど。映画の説得力と言っていいのか衝撃力と言っていいのか。無類の不気味な雰囲気とサスペンス性が横溢しております。その中で、奮闘するクラリス、「あ~ジョディ・フォスターって意外と小さいんだなあ」などと思った途端、妙に彼女にも好感が持ててしまったりするのでした。 【鱗歌】さん 9点(2004-01-24 01:14:23) (良:1票) |
3.もはや言う必要もないほどであるが、この映画を超えるサイコサスペンス映画はいまだ誕生していない。衝撃的で秀逸なサスペンス映画は毎年公開されるが、それでも今作の域を超えないのは、それらの映画が今作を手本に作られているからであろう。今やこの映画は、サイコサスペンス映画のバイブルとなっていると言って過言ではないだろうと思う。今尚、変わらぬ迫力でハンニバル・<人食い>・レクターを演じるアンソニー・ホプキンスの偉大さもさることながら、彼さえも食ってしまうほどのジョディ・フォスターの大女優への瑞々しさが、この映画の最大の功労かもしれない。 【鉄腕麗人】さん [地上波(字幕)] 9点(2003-10-22 15:12:48) (良:1票) |
2.サイコホラーの走りですよね。この映画でアンソニー・ホプキンスファンになりました。続編の「ハンニバル」楽しみです。 【ひよこ】さん 9点(2000-08-07 16:03:13) (良:1票) |
1.超衝撃的!今までで一番怖いと思った映画。最初から最後まで体を硬直して見てました。あのレクターの顔を思い出すだけでもゾッとします。「ハンニバル(続編)」が楽しみ! 【DEL】さん 9点(2000-07-22 10:40:57) (良:1票) |