5.物語の枠組としては、(北アイルランド紛争という特殊背景はあるとはいえ)少年の日常生活のあれこれという範疇内であって、それほどの広がりはない。しかし、とにかくモノクロの映像の陰影や濃淡が美しく、それに浸っていられるだけでも価値がある。また、お母さんの凜とした存在感も筋を通しているし(そういう作品でないのは分かっているが、微妙な色気もある)、作中の主人公同様、爺ちゃん婆ちゃんにもかなり助けられている。ケネス・ブラナーがこんなかっちりまとまった小品を作ったのには少々驚いたが、普段大作小説を書いている人が、ちょっとエッセイも書いてみました、という趣だろうか。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 6点(2025-02-17 23:44:29) |
4.《ネタバレ》 なかなか思い入れたっぷりな感じでいいのですが、どうも舞台となる地域の空気感が掴みにくいというか。 それまで平和だった住宅地で冒頭のように激しい暴動があれば、まして宗教対立のような面倒くさい問題であれば、地域は一瞬にして緊張感に包まれるはず。たしかにバリケードを築いたり、銃を構えたりするシーンもありました。しかし別のシーンでは、何事もなかったように平和に暮らし、学校に通い、父親の帰りを待っている。同じ地域の話とは思えないのですが…。 まして最終盤になって、憧れの子がカソリックだったと明かされます。どうして今まで無事だった? なぜ本人は怖がる素振りもなかった? 「隠れカソリック」だったのか? なんだかキツネにつままれたような、妙な違和感が残りました。 ただし、ジュデイ・デンチの存在感はさすが。結局、この方の印象が一番強かったような。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 6点(2023-08-25 02:42:29) |
3.《ネタバレ》 ケネス・ブラナー監督自身の少年時代に基づいた心温まる実話が、モノクロ映画として綴られる。マーにパー、じいじにばあば…大人たちの温かい眼差しを受けてすくすくと育ったオイラ。やがて故郷ベルファストを出るのだが、DVDの特典映像「もうひとつのエンディング」では映画人「ケネス・ブラナー」として大成功を収め、故郷に戻ったオイラが描かれる。まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」だぜい。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-08-20 01:24:51) |
2.《ネタバレ》 1969年、政情不安に揺れる北アイルランド、ベルファストを舞台に、貧しいながらも家族とともに逞しく生きていた少年の日常をモノクロームで描いた青春ドラマ。メガホンを取るのは、俳優や監督として長年ハリウッドの第一線で活躍してきたベテラン、ケネス・ブラナー。彼の自伝的作品ということなんですけど、最近、こーゆーベテラン勢の間には自らの過去をモノクロで描くという手法が流行ってるんですかね。アルフォンソ・キュアロンが『ローマ』でオスカーを取って以来、この手の作品はいくつか鑑賞してきましたけど、確かにこのノスタルジックな雰囲気は観ていて心地良いですね~。家族の為に必死に頑張るお父さん、時に厳しいけれどいつもは優しいお母さん、ずっと温かく見守ってくれていたおじいさんとおばあさん、そしてほのかな恋心を抱いていたクラスメイトの女の子……。純粋無垢だった子供の頃を懐かしく思い出すこの感じ、けっこう嫌いじゃないです。まあそれだけと言えばそれだけなんですけどね。そこに北アイルランド紛争をアクセントとして盛り込んでいるとはいえ、そこまで踏み込んでいないので普通に治安の悪い下町の風景といった感じです。最後まで安心して観ていられたけれど、知り合いの「昔は良かった」話を延々聞かされているような印象も拭えない。ここらへん、キュアロンの『ローマ』の方が、深みや普遍性といった点で軍配が上がります。映像や音楽は味があって良かったんですけどね。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-07-17 03:28:04) |
1.《ネタバレ》 悪い作品では全くないと思いますが、監督の自伝的青春ノスタルジックなお話は非常にリアルとゆーか逆に劇的な内容では決してないし、かつかなり淡々とテンポ好く語られてゆくので全体的に少し平坦な作品だな…という印象があります。ラスト付近はそれでもポイントとなる描写を幾つか配置して観終わった感じ自体はまた悪くないのですが、中盤はかな~り淡々としてて…という感じすね。俳優さんについては主演の男のコのあどけない感じが好かったですが、やっぱジュディ・デンチは(ネームバリュー的にも)存在感が別格でしたね。とは言え、今作ではホントにフツーのそこら辺の婆さんを演ってらっしゃるので、正直最初は気付かなかったです(気付いた瞬間めっちゃテンション上がりましたね)。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 6点(2022-03-30 23:17:55) |