6.《ネタバレ》 映画としてはすごくデキがよいと思います、しかし登場人物の誰にも共感も感情移入もしないという映画でした。 思えば「悪人」も「怒り」も誰にも共感はしないんですよね、それでも惹き込まれるんです。
本作は更紗にイライラしっぱなしでした、15年後の偶然の再会から吸い寄せられるように文に会いに行くけど、どう考えても拗れるでしょ。 俗にいう「こじらせ女子」というのが浮かびました。文以外の人には自己肯定感が低めでいつも愛想笑いしてる子っていう感じですけど 文の前ではがらりと変わるのよね。 でもお互いもう関わってはいけないという理屈はわかっていても一緒にいたいという情はどうにもならないっていうのはわかる。
文はロリコンじゃないですよね?でも更紗はロリコンだと思ってますよね?少女時代の更紗がそんなようなことを文に言ってたし。 あの雨の中で声をかけたのは自分と同じものを感じたのかもしれないし、同年代の女の子の期待とか要望も無い年齢の女の子ですし。 更紗にだけは自分がロリコンだとは思われたくなかったんだろうな、だから本当のことを告白したんだと思います。 医学も進歩してますし、どうにかならないんですかね。どうにかなりそうに思えるんですが。
お互いこの世で唯一無二と思える人とやっと一緒にいられるということに素直によかったじゃんと思えました。 「いつまでもお幸せに」と共感はないけどラストシーンを観ながらそういうお祝いの言葉が浮かんだのでした。 ただ、二人を取り巻く人物が警察も含めて二人がよりお互いを求めてしまうような人たちばっかりなのがちょっと気になります。 亮君とあゆみちゃんは都合が良いタイプの人物になってる。私としてはここがマイナスになります。 ファミレスの店長とアンティークショップの経営者はいたけどあれでは関わりが弱いですよね。
ロケ地は長野県の松本市が多かったんですね、ロケーションが抜群でした。橋だったかな?そこの街灯が美しかったです。 【envy】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-05-04 00:21:30) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 終わってみれば、大きな愛の物語。 純愛ものです、これは!
なにかに書いてあったのですが、 「少女は子どもの顔した大人」 なるほど、至極名言! 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2023-01-04 18:40:32) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 俳優さんて、本当にすごいねぇ。
物語の終盤、文(松坂桃李)が彼女(多部未華子)に、 「私を抱かなかったのは、ロリコンだったからなのか」という意味の事を聞かれた。
答えるまでの文の葛藤がすごいね。
どうしてもどうしても本当の事(障害)を言う勇気が出なくて、 最後までやっぱり知られたくなくて、 「ロリコン」という事にしておいた方が、「ロリコン野郎」と思われた方が まだマシだったんだね。
自分の障害を打ち明けるくらいだったら、軽蔑された方がマシ。
答えるまでのあの時間。 私にはすごく長く感じたけど、すごい葛藤が伝わって来た。
俳優さんて、本当にすごいねぇ。
※蛇足ですが、私はこの映画を観るまで、 松坂桃李さんがこんなに綺麗な顔をしている事に気付きませんでした。 すみませんでした!(笑) 【ジャスミン】さん [映画館(邦画)] 9点(2022-07-15 13:43:25) (良:1票) |
3.登場する人間たちの運命に対して同情はすれど、共感はできない。安直に共感できるほど、彼らがはらむ心情と境遇はシンプルではないし、他人が理解できるものではないと思う。 だからこそ彼らは、この世界の奥底でもがき苦しみ、孤独を孤独で埋めざるを得なかった。 その様は、劇中に登場する壊れやすく美しいアンティークのグラスのようで、彼らは、自分があるべき場所を求めて、ひたすらに廻り廻ってゆく。
「怒り」以来、6年ぶりの李相日監督の最新作は、この監督らしい悍ましさと、儚さ、一抹の輝きを孕んだ人間の生々しさが描き出されていた。 綺麗事では済まされないその人間模様は、愚かしく、痛々しく、とても悲しい。 それ故に、この映画の空気感は常に不穏さと居心地の悪さを放ち続け、観ていると思わず逃げ出したくなる。 きっと、登場人物たちの言動や生き様を受け入れられず、心の底から嫌悪する人も多いだろう。 僕自身、主人公の二人を含めて、行動や発言に理解と理性が追いつかずに、拒否感を覚えてしまった描写が多々あった。
あの日あの時、あのような行動をしなければ、あのような発言をしなければ、彼らはもっと楽に、幸せに生きられたのではないか。 悲しく辛い運命の螺旋に、ただただ無抵抗に呑み込まれ、そこから抜け出すことを放棄しているようにすら見えてくる。 そういった思いは終始尽きず、それが彼らに対する無共感に繋がっているようにも感じる。
ただ、だからといって、本人ではない他者が、手前勝手な主観で彼らを否定することなんてできない。 「更紗は更紗だけのものだ」 という台詞にも表れているように、不幸も幸福も、それを決めるのは本人たちだけだ。 そう誰が何と思おうとも、「私はかわいそうな子じゃない」のだ。
その主人公たちの思いを、狂おしいまでの愚直さで描きつけたこの映画世界は、決して一側面からは否定も肯定もできない人間の心情を浮かび上がせていた。
演者においては、松坂桃李、広瀬すずの両主演がやはり素晴らしい。 この数年で主人公から脇役まで、各作品で印象的な役どころを演じ続ける松坂桃李は、作品ごとに全く異なる人間性とそれに伴う表情、体躯を表現しており、俳優としての飛躍が著しい。本作でも、秘められた性愛と身体的苦悩との間で苦しみ抜く主人公を体現しきっていた。
一方、広瀬すず。彼女の女優としての天賦は、きらきらと光り輝く瞳と類稀な美貌の奥に広がる吸い込まれるような「闇」だ。李相日監督の前作「怒り」でもその「光」と「闇」を存分に引き出されていた彼女は、年数を重ねてさらなる深淵を見せつけていたと思う。(相変わらずこの監督は広瀬すずに容赦ない)
主人公二人の恋人役をそれぞれ演じる横浜流星、多部未華子も、キャリアにおける新境地と言える“汚れ役”を印象的に演じきっており、彼らの人生模様が重なることで、映画全体の重層感が増していた。
鑑賞後には一言では言い表せない「靄」が薄っすらと漂い続けるような感覚を覚える。一度観ただけでは、本作が表現する繊細な語り口のすべての汲み取りきれていないようにも思う。 そういう部分も含めて、“濃い”映画だったと思える。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-05-16 15:17:43) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 毎度痛感するのだが、とことん世俗的な人間なので、純文学系とは、とても相性が悪い。 だから、主人公たちの気持ちに寄り添うよりは、次から次へと浮かぶ、ツッコミに忙しくて。 突っ込んだところ、いくつか
1 小さかったとは言え。自分のために冤罪を受けて人生壊しかけた人に、本当に申し訳ないと思うのなら、ホイホイ近づくのはやめましょうよ。で、あげくが、ネットにもう情報が回ってる段階で、隣に転居。正気とは思えない。
2 同棲相手に、怪我するくらい暴行されたら、病院行って診断書取って警察でしょ。なぜ、そういう当たり前のことができない。
3 もう、正体が完全にネットや、週刊誌に出回ってる段階で、ロリコン疑惑がかけられている相手に、幼女を預ける、で、預けられた方は、預けられた方で公然と連れまわす。もう、叩いてください、疑ってくださいと言ってるようなもので、ジョーもビックリなノーガート戦法です。
ということで、下の方と同様、非常に感情移入が難しい映画ではあるんですが、たった一人、ものすごく気持ちが入る人物がいました。 横浜流星さん、演じる亮君。 冒頭から、もう、すずの身体触りまくりなんで、ジェラシーマックス、あげくがあの暴行、あのシーンでは殺意すら感じましたw ただ、会社も行かずにボロボロで、あげくが自殺する流れには、そりゃあ、広瀬すずの顔の恋人に、ああも理不尽な行動をとられたら、まあ、そうなるわなと、なんかかなり気の毒になってしまって。
ここ数十年 愛=性 みたいな感覚がごく当たり前に定着してることへのアンチテーゼとして、性を離れた愛を見直そうとする流れもあるのかなと感じさせる映画ではありましたが。 (ちなみに、私見ですが、女の方からその気になって迫られると、思いっきり逃げる寅さんはその先駆者かとw)
最後に一言。男性の機能を、外見のみで、即断できるような表現は、マジで謹んで欲しい。 外見は子供並みでも、世の中には膨張係数という言葉もあるし、短〇なら短〇 包〇なら包〇でも頑張ってる人間は、いくらでもいるわけで、ちょっとそういう人たちにあまりに失礼じゃないですか?あの表現。
まあ、広瀬すすがとても可愛かったし、冒頭のシーンではジェラシーに焦がれながらもドキドキさせてもらったのでこの点数ですが。 【rhforever】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-05-14 19:17:17) (笑:1票) |
1.《ネタバレ》 結論的には、極めてシンプルな(文字通りの)「純愛もの」なのですよね。もう、メロドラマと言っても好いヤツかと。偶然の邂逅ではあったものの相性とゆーのが何から何までドンピシャで、だからお互い相手が自分の唯一無二だとも、そして(翻って)自分が相手にとっての唯一無二だとゆーのも総て(何となく)悟っては居て、時を経てまたそれが確信に変わってゆく…と。だからコレも結論、どっからどー見ても(理性の箍など弾け飛ばしても)「そーなるしか無い」お話なのであって、ソレがそのままそーなったこの結末自体は(別に)本質的にバッド・エンドというワケでもないのでしょうし、個人的にもある程度腹には落ちたトコロでありますし、また見ように依っては美しい…と言っても好いモノなのかも知れません。加えて、単純に映画としても(好いか悪いかで言ったら)諸々と出来自体は好い方だ、ともまた確実にそー思うのです。
ただね……如何せん、前述どおり理性なんざクソ喰らえ!なお話だとは言え、それにしてもと実に感情的で非・理性的な人物しか出て来ないお話でもあり、だから個人的には中々感情移入の取っ掛かりってのが全般的に見い出せませんでしたです(終始ウンウン唸って観てましたですよ)。中でもとにかく主役の二人は、そもそもじゃあ誰が一番悪かったのか?と言えばンナモン松坂桃李に決まってるだろ!(発端は)とも思うのですし、広瀬すずちゃんだって(中盤~終盤は結構謝り通しに謝りまくってるワリには)自分の感情の在り方なんかには実に確信的で頑なでもありますし…
どだい、このお話は横浜流星があーいう極端なキャラだから多少見え方が変わってる、とも思うのですね。で、彼がもう少し真っ当なキャラだったなら、またきっと全然違うお話に見えていた…とも思うのですよ。ソレこそが、つまりどーいうお話に放り込んでもこーなったであろう…とゆーのがこの二人のある種の「本質」なのであって、だから厳しい言い方をすれば(社会の中で正道を歩んでゆけそーにないという意味では)この二人は一種「社会不適合者」だ、とすら思うのですね(あくまで個人的には)。モチロン、ソコには「理由」とゆーのがチャンと在るんですよ、でもコレも、じゃあ何かしら理由が在るのならソレがそーであっても善いのか、とゆーと、そーじゃないだろ…とゆーのがまた私の結論なのですね(まあ、別に彼らは最後に「幸せ」に為れなかった…というワケでもないのでしょーから、外野の意見なんても~関係の無いコトかも知れませんケドも)。
その意味ではやはり重ねて、個人的にはちょっと本質的な意味で主役二人への感情移入の難しいお話ではありましたし、更にその意味でゆーと(どちらかってーと私は)彼らに巻き込まれて不運な目に会った種々の人々…の方に(少しだけ)同情してしまう…という感じなのですよね。観終わっては正直、ムムム…という感じでしたかね。 【Yuki2Invy】さん [映画館(邦画)] 6点(2022-05-14 00:01:15) (良:1票) |